広島-2.沼田川(その3) 平成23年8月18(木)曇り一時晴れ
再び河内駅に降り立ち沼田川の3日目の遡行を始める。今日は川と並行している県道33号を歩き、バスの交差する上戸野を目指す。最初の河内の街中の橋の下に鯉が群れている。昨夜は虎が鯉に負けているのだが、本物はのんびりと泳いでいる。
image1  01.鯉が放し飼いに
長らく沼田川の左岸側を走っていた山陽本線が右岸側に渡る。しばらくすると支流の入野川が合流する地点に達し、山陽本線はここで西北西に向かう本流から別れ、南西方向から流れくる入野川にその相手を変え、西条の台地に上って行く。
image2  02.山陽本線とは此処でバイバイ
東西方向から南北方向に谷が向きを変えたので、心地よい南風が吹き、曇天も加わり暑さも和らぐ。比較的広い谷間を川と付かず離れずに県道が通り、歩道もあるため快調に歩く。道が山裾でカーブする地点に清水が湧き出、水が飲めるようになっている。メジャーな道路の道端に清水が湧き出ているのは非常に珍しく、暫し休憩する。
image3  03.県道脇に清水が湧き出ている
県道が川と離れている所では、県道を離れて川の橋に向かい、県道に戻ることを繰り返し、実際に歩く距離は川の長さを上回る。家々の屋根瓦が石州瓦が主流となり、丘の麓の河内西小学校の校舎も周囲の瓦の色に合わせた屋根とし、うまく周囲と溶け合っている。
 image4 04.周囲の景色にマッチした小学校舎
道端の蓮池にはお盆らしい蓮の花が咲いている。極楽の花らしく大きく清楚な花である。川には、この川を県だけではなく地元も加わっていることを示す看板が立っている。

image5  05.蓮の花がお盆らしい

image6 06.川を地元も管理しています
更に進むと屋根が石州瓦の神社が現れる。門前の鳥居が石なのでいささか不釣り合いなのだが、神社が瓦ふきとは珍しく、鳥居の上には白鷺が一羽。
image7  07.石州瓦屋根の神社(鳥居に鷺が)
途中のJA構内にベンチと自販機があったので昼食とし、大きめのおにぎり1個を食べ直ぐに出発。淡々と歩き、道が丘の上に上がった所が町境で、ここからは旧福富町となる。道を下ってくるとやがて国道375号が見え、12時50分、今日の目的地点「上戸野」にたどり着く。道路管理も地元が参加していることを看板が示している。一日3往復のうち有効な1時10分発のバスに乗り河内駅に戻る。このバスに合わせて計画を立てたが予定通りの歩きであった。真夏にしては良く歩いたものだ。運転手さんが「午前中県道を歩いておられましたね」と言ってくれる。このバスが河内駅から豊栄に向かう時に追い越して行ったのを覚えているのだ。今はその帰りの便である。

image8  08.ここから旧福富町

image9 09.道路管理も地元が協力
 今日の歩行距離:16.2km。調査した橋の数:27。
累計歩行距離:308.8km。累計調査橋数:396。
使用した1/25,000地形図:「河内」(広島2号-1)、「白市」(広島2号-3)、「乃美」(広島1号-4)
広島-2.沼田川(その4) 平成23年8月22(月)曇り一時晴れ
とうとう日帰り遡行の最遠点である西条にやって来た。先日の遡行折り返し点の上戸野まで行く河内からのバスは、下りの初電に乗っても3分の差で先に発車してしまうため、西条からの豊栄行きのバスで迂回して向かう。こちらは多くの便があり、遡行にとってはゴールデンルートである。青春18切符を使用する限り、どれだけ遠くなっても1日2,300円で済むのは有り難い。
image10  01.西条駅発豊栄行き芸陽バス
30分ほど乗車し、見覚えのある上戸野のバス停で下車。川沿いの国道375号を北に向かい歩くと、やがて福富ダム建設に伴う勾配のきつい移設道路になる。このダムは3年前に完成したてのダムで、手元の地形図にはダムの無い図面で、最新の道路地図でその位置とダム湖(しゃくなげ湖)を知る。
数日前から夏は何処かへすっ飛び、すっかり涼しくなったが、7%勾配の道を汗をかきかき登る。道路からは全く見えないダムの際に着き、ダムやダム湖の説明板を見る。県管理のダムでは最大規模とあるが、ダム本体のコンクリート量が21万㎥と、自分が関わった備讃瀬戸大橋の4A橋台の気中コンクリートの量が25万㎥なので、いまさらながら橋の大きさが分かる。
image11  02.福富ダム
image12 03.しゃくなげ湖案内図
湖の中央を大きなアーチ橋が横断している。橋の名前も「しゃくなげ大橋」。東広島市に合併される前の「福富町」の町花がしゃくなげで、湖にも橋にもその名がつけられている。ここ「福富町」も隣の旧「豊栄町」もいかにも、かつての村合併時に新町名の採用で揉めたのが推測され、目出度い字の組み合わせで矛を収めたようだ。
橋は今盛りの無塗装橋であるが、錆色の大きな目立つ橋が眼前に有るのは景観を損ね、醜悪ですらある。スレンダーな桁橋で目線よりも下に有ればまずまずであるが、大きな橋で多くの視線が見上げるような橋に錆色と錆色が斑に見える橋に採用するのは困ったものだ。あの空港大橋の優美な橋を完成させた同じ県とは思えない。ダム湖はここも満水で天端から小便小僧が2人放水している。

image13  04.しゃくなげ大橋

image14 05.ダム天端から放水
橋を渡れば最近開業した道の駅「湖畔の里福富」があり、早めの昼食を摂りしばし休憩する。地元産品売店には野菜と加工品が売られており、多くの種類の茄子を見つける。この近くにはダム建設に伴う集団移転家屋の団地があり、数千万円はしそうな二階建ての純日本家屋の瓦屋根の立派な家が並んでいる。こんな団地は初めてである。支所、郵便局も新しく、ダムのお蔭で皆集合したようだ。

image15  06.道の駅「湖畔の里福富」

image16 07.いろいろな茄子が有る
やがて旧福富町のマンホールが現れ、ここにもしゃくなげが描かれている。近くには良く整備されたパークゴルフ場が有り、一度はここでプレーしたくなるような湖畔のゴルフ場である。
湖が尽きる、新しい中学校の入口に架かっている橋に来ると、部活帰りの自転車に乗っている生徒が「ただいま帰ります」とそれぞれ挨拶をして過ぎ去ってゆく。橋の名前は「静学館橋」。珍しい名前の橋で、これからの日本も大丈夫ダ。

image17  08.旧:福富町マンホール(町花しゃくなげ)

image18 09.立派なパークゴルフ場
流は細くなっているが、地形は開けた台地で人家は切れない。予定では上竹仁から14時39分発のコミバス「ふくふくしゃくなげ号」に乗り、福富支所東で西条行きに乗る予定であったが、1kmほど手前のJA福富支店で一日に二本だけの丁度13時35分発の西条行きバスがあるのを知り、これなら夕飯も作れる時間に帰れるので設計変更。5分ほどバス停で待つと、停留所の裏の畑にしゃくなげを発見。ようやく本物に会えてバスに乗り込む。今日も貸切で川を下る。
 image19 10.バス停の裏にしゃくなげを発見
 今日の歩行距離:10.0km。調査した橋の数:18。
累計歩行距離:318.8km。累計調査橋数:414。
使用した1/25,000地形図:「乃美」(広島1号-4)、「井原市」(広島5号-2)