愛媛-1.肱 川(その3) 平成241024日(水)晴

再び大洲駅に降りたち、先日の折返し点の鹿野川大橋に向かうバスに乗り込む。3日連続晴天が見込まれる今日から明後日までに肱川の遡行を完了させるつもりで出かけて来た。1時35分に鹿野川大橋バス停に到着。大洲駅で電話予約をしておいたタクシーがバス停で待ってくれている。今日は西予市(せいよし)旧野村町野村まで歩く予定であるが、野村には宿泊施設が無さそうなので卯之町のビジネスホテルを予約した。野村から卯之町までのバスの最終便に間に合わせるには、ここから野村まで歩いていたのでは間に合いそうにも無いので、止む無く次の橋である鹿野川湖大橋までの4kmほどはタクシー利用とした。

湖岸沿いの道はカーブの連続であるが国道197号はトンネルの連続で難なく進んで行く。途中で国道から別れ湖岸の道を進み、鹿野川湖に架かる橋の袂で車を降り、うねうねと曲がる湖岸の道を南に進む。本流に大きな支流である黒瀬川と舟戸川が合流する川の交差点のような坂石地区に来ると、国道197号が長いトンネルとトンネルの間に顔を出し、新宇和川大橋で本流を跨いでいる。直ぐ下流にも県道のアーチ橋が並行して跨いでいる。

image1  01.鹿野川湖に架かる橋からスタート

image2 02.鹿野川湖には国道197号の橋がトンネルの間に

本流はここで南からの流れが西からの流れとなる。川はひしゃげた丸い時計の文字盤のような形で流れ、大洲を時計の文字盤の11時の位置とすると、今日の出発点の鹿野川が3時ぐらいの位置で、ここは3時半ぐらいである。今日終点の野村が5時半、卯之町は7時半で、遡行の終点が9時と言うところである。

川沿いの県道29号は狭い谷間に2車線と歩道が完備され、険しい地形にも係わらず歩道が張り出して整備され、愛媛県の道路整備の方針が分かってくる。あちこちと歩いて来たがこの地形と交通量なのに歩道が完備されているのは驚異的である。有難う愛媛県!

image3  03.この山間に歩道が続く!

image4 04.険しい地形にも係わらず有難う

集落が殆ど無い谷間をひたすら進むと道路の川側に石の慰霊碑が建っている。石碑の裏側を見ると、昭和26年11月3日に野村発大洲行きの国鉄バスがこの地点で炎上し32名の乗客が焼死したとある。バスに積んでいたフイルムが燃え出し、瞬く間にバスが燃えた結果とある。バスの転落事故での大勢の死傷者事故はあるが、バスの炎上事故は珍しく、戦後しばらくは桜木町電車炎上事故などの大事故が多発していた。

image5 05.昭和26年の国鉄バス炎上事故の慰霊碑が

左岸側の県道は勾配も無く快調に歩ける。ある集落の片隅の「川カニ」の大きな看板が目につき立ち寄ると、大きな水槽に川カニを入れた網袋がたくさん沈めてある。川カニは小さくて食べにくいが、すりつぶして味噌汁や鍋に入れると美味いのだが、持ち帰るわけにもいかないのでパスする。川側に今度は三葉虫化石発見の大きな看板が立っている。道路工事に伴い発見されたようで、この辺りは古い地層が露頭しているようだ。

image6  06.大量の川カニが水槽に、味噌汁に入れたらうまいぞな

image7 07.道路工事で見つかった三葉虫化石発見場所

北側から県道44号が合流する荷刺で県道は本流を渡り、川から離れ台地に上がっていく。久しぶりの坂道を登ると忽然と平地が現れる。牛糞の匂いも漂ってくる。早速野村町のマンホールが現れカシャ。図柄は相撲が描かれ、丁度目の前に畜産指導センターが有ったので職員に聞いてみると、「ああこれは野村町で毎年秋に行う乙亥(おとい)大相撲ですよ」とのこと。直ぐ先に大きな看板が見つかり図柄と同じ絵が描かれている。ガッテンガッテン。今年は11月27日、28日に開催され、全国にも珍しいプロとアマの勝負も行われるようで、「時々アマが勝ちますよ」とのたまう。ここ野村町は昔から相撲が盛んなところで元玉春日もご当地の出身のようだ。

image8  08.マンホールに相撲の絵が?

image9 09.同じ図柄の看板が有った

再び川を渡り野村町の中心部に入ると、遠目にも直ぐ分かる高い櫓と両国国技館そっくりの建物が見える。建物の前まで来ると数多くの幟が立ち並び、乙亥相撲に先立ち10月26日には大相撲の地方巡業の野村場所が行われるようである。そういえば先日は小豆島でのニュースが流れ、倉敷でも開催されるようである。11月の九州場所に先立つ地方巡業が今年は瀬戸内一帯で行われるのであろう。

image10  10.野村町名物の乙亥大相撲が絵になっていた

image11 11.まるで両国国技館のような雰囲気

最終バスまで未だ時間があるので川沿いに進み野村ダム入口のバス停まで歩くことにする。途中から国道441号となった坂道を80mほど登り、後を振り返ると野村盆地が眼下に見え、よくぞこんな所に大相撲が毎年やってくるなーと感心する。やがて最終の卯之町行きの宇和島バスに乗り込む。乗客は我一人、貸切で渓谷を進み卯之町営業所まで乗車する。

image12  12.野村ダムバス停から野村の町が眼下に

ホテルで教えてもらった店で、さしみ、焼き魚、煮魚とビール、お酒、焼きそばと食し、3千円余り。安くて美味い夕食であった。

今日の歩行距離:15.5km。調査した橋の数:11。

総歩行距離:5,181.9km。総調査橋数:8,527。

使用した1/25,000地形図:「鹿野川」(松山8号-1)、「野村」(松山-8号-2)