高知-6.仁淀川(その5)及び愛媛-15.面河川(その1)
平成26年6月25日(水)前半 晴一時曇り

心臓の不整脈も落ち着いてきたので仁淀川遡行を再開する。梅雨の合間に2日間連続の雨無し日はなかなかやって来ない。なんとかなりそうな日の前日に宿の予約を入れておく。
10時17分、仁淀川へのベース基地となる土讃線佐川駅に降り、直ぐに1日2往復の愛媛県久万高原町の落出行き黒岩観光バスが発車する。登り道は堪えるので終点の落出まで乗り、本流沿いに下り前回の折返し点付近の宿まで歩くことにした。

image1  01.佐川駅から落出行き黒川観光バスに乗車

バスは国道33号を快調に走り丁度1時間で落出に到着する。川の合流点の2大地名である「落合」と「出合」を合わせたなんとも贅沢な地名である。川は土佐から伊予に入ると名前が変わり、仁淀川から面河川となる。四国(西日本)の最高峰である石鎚山の南側から流れ出した川である。昭和30年代に高知から松山まで座席指定の特急マイクロバスに乗ったころの国道はまさに酷道で、当時の時刻表で調べると佐川~落出間が2時間15分も掛かっていた。2車線の線形が改良されたのは昭和40年代後半である。ここから松山まではJR四国のバスが継続して運行している。
かつての国道の橋は1車線で橋脚からは結構大きな植物が育っている。当然評価は△である。古いバスの待合室で当時の思い出に耽り川を下ることにする。国道33号を南に向かい直ぐに伊予最初の支流である「黒川」が南西方向から合流し、面河川は東に方向を変える。

image2  02.旧橋には植物が同居

image3  03.愛媛県最初の支流「黒川」が合流

竜宮大橋を調べ歩道を進むと草が鬱蒼と繁っている。ほとんど歩道の無い国管理の国道で、やっと歩道に巡り会ってもこの状態である。毎日巡回しているパトロール要員は何処をみているのだろうか?県の巡回車は応急補修の道具を荷台に載せて走っているが、国道事務所のパトに道具は見当たらず、ただ漫然と走っているだけである。国道は全て県管理にすべきである。

image4 04.これでは歩道が歩けない

四電のダムで堰き止められた川は青い湖面となり、対岸の崖には中国の渓谷に良く見られる大きな文字が書かれている。ダム湖には民家は無く、川と歩道の無い道が延々と続いている。高知~松山間は高知道と松山道開通で大半の車が高速利用になったので国道33号の量は少なくなった。

image5  05.中国の川のような崖の文字

image6 06.歩道の無い道が延々と続く

未だ新しい吊橋の入口が通行禁止になっている。対岸の斜面が土砂崩れを起こしておりこれで禁止にしたのだろうか?やがて愛媛県最初のダムである面河第三ダムが現れる。四万十川はダムが無いことになっているが、仁淀川には多くのダムが有る。対岸には発電所も在る。

image7  07.橋は新しいのに通行禁止だ

image8 08.愛媛県最初の面河第三ダム

ダムから下り坂を降りてくると、この先に有る大渡ダムの管理事務所と愛媛県との管理境界標識が良く目立っている。湖面が無くなった渓谷の川は大きな岩がゴロゴロと谷底を埋め尽くしている。更に進むと大渡ダムの湖面が現れ出し、ゴロゴロ岩は湖面に隠れてしまう。

image9  09.国と愛媛県との管理境

image10 10.ダムの下流は大きな岩がゴロゴロ

image11 11.川と国道しか無い!

ダムから2kmほど下流が伊予と土佐の国境である。篠川、益田川、広見川に続く4番目の予土国境である。四国の2桁国道の川沿いの国境は国道32号の吉野川の大歩危付近と此処だけである。

image12 12.4番目の予土国境だ

image13 13.2桁国道の川沿いの県境は此処と大歩危だけ

国道の県境の標識から数メートル高知県寄りに大きな「愛媛県管轄境界標・・・」と彫られた石柱が立っている。こちらの方が味が有る。直ぐ際の沢には短い橋が架かり、親柱には「両国橋」とある。江戸の両国橋は武蔵と下総の境の隅田川に架かっているが、はりまや橋も両国橋も土佐の橋はこんまいで。

image14  01.かつての県境の管理境標柱

image15 02.この沢に架かる両国橋が境だ

直ぐの対岸には1本の長い導水管を抱えた発電所が水車を回した水を勢いよく川に流している。もう一度水車を廻せるのにと思ってしまう。対岸に合流する川は岩屋川で、この渓谷の山腹に有る秋葉神社の2月の祭りは有名で、長い棒の先に鳥毛を付けた物を狭い山道で相手の男に投げ、それを落とさずに受け取る様子は興味深い。土佐最後の橋となる「別枝大橋」の橋際には神社の案内石柱が立っている。それにしても土佐に遠州の秋葉さんとは合点がいかぬ。

image16 03.発電所はフル稼働

image17 04.秋葉神社の祭りの鳥毛ひねりは有名

対岸の沢渡地区は山腹に茶畑が広がっている。川沿いの斜面は茶の栽培に適しているようで、静岡の大井川、京都の木津川、土佐の四万十川、新荘川などいずれも渓谷である。川霧が生育に良く、冬の寒さも川沿いは厳しくないのが良いのだろう。国道脇に大きな実がビッシリとなった琵琶が有る。琵琶は買えば高い果物となってしまった。琵琶の大きな葉も茶になるのだ。

image18  05.山腹に茶畑が広がる

image19 06.琵琶が鈴なりに

秋葉口を越えるとトンネルが連続する。狭い路肩を冷や冷やしながら歩く。これからは赤色回転灯が必要になりそうだ。国道の山側に名の無い細く長い滝が一条の流れとなっている。高さは15mほどある。

image20 07.国道脇に細く長い滝が

鷲ノ巣集落を越えると再び魔の隧道が口を開けている。トンネルを抜けると眼前にダム湖を渡る吊橋が見える。吉野川の早明浦ダム湖に架かる上吉野川橋の再来である。今宵の宿は湖の対岸に有るのでこの橋を渡り南側に向かう。

image21  08.大渡ダム湖に架かる吊橋

image22 09.吉野川の早明浦ダム湖の再現だ

すっかり静かになった湖岸の道を東に向かう。道路沿いには数多くの紫陽花が満開の花を競っている。大好きな青紫色の額紫陽花もたくさん咲いている。梅雨時の曇り空に紫陽花は良く似合う。

image23 10.大好きな額紫陽花が並ぶ

宿は大渡ダムを見下ろす山の上に有り、50mほどの坂道をそろりそろりとゆっくりと登って行く。歳は取りたくないものだ。旧仁淀村が大渡ダム完成に合わせて建設した記念公園の中に宿は建ち、部屋からダムが眼下に見える。早明浦の宿はダムが見えなかったが、ここはモロ見えである。
かつてバスで通過した時はこのダムは未だ無かったが、コンクリートも黒ズミ古強者になっている。早めに宿に入りゆっくりと風呂に入る。他の客は短中期の工事、調査関係者が3組と今まで泊まった宿、民宿と同じである。

image24 11.宿の部屋から真下にダムが見える

本日の歩行距離:14.1km(伊予7.0km。土佐7.1km)。調査した橋の数:9。
総歩行距離:7,281.2km。総調査橋数:10,974。
使用した1/25,000地形図:「柳井川」(高知15号-4)