高知-6.仁淀川(その4)平成26年5月2日(金)晴

朝6時前、宿のトイレは古い日本式で苦手なので昨日見つけておいたバス停の立派なトイレに向かい、そのまま宿を出る。隣のコンビニでパンを買い朝食とする。

6時50分発の上流に向かうバス迄時間が有るので昨日歩いた国道を上流に向かう。横倉神社の宮ノ前バス停まで歩いた所でバスがやってきて乗車。4km余りの橋の無い区間をバスで稼ぎ、筏津ダムのある野老山バス停で下車し遡行を開始する。このダムにはダム式の発電所もある。四万十川の本流には大きなダムは無いが仁淀川にはいくつかのダムがある。ダム湖の対岸の斜面はお茶畑になっている。高知県の大きな川の斜面は茶の有名な生産地である。

image1  01.筏津ダムの仁淀川第三発電所

image2 02.対岸の斜面はお茶畑

直ぐに861mの長い能秋トンネルに入る。ひっきりなしに通過する車の轟音が途絶えることなく、狭い歩道の際をライトも点けずに80km以上の速度で通り過ぎて行く。対岸は越知町から旧吾川村(現仁淀川町)と変わり、南向きの斜面には多くの人家と学校もある。日当たり見晴らしは抜群であろう。

道が左に曲がると国道が川を渡る地点となり、古い狭い寺村橋を渡る。昭和40年代までに造られた国道も橋も幅が狭く、歩道も無い。二けた国道は早くに一次改築が行われたため歩道が無く、二次改築がなされていない区間も多い。逆に県管理の国道や新しい県道は40年代以降に造られ、改築がなされたため歩道が多くついている。

image3  03.急傾斜地に小学校が

image4 04.橋の先の寺村集落

image5  05.見晴らしと日当たりは抜群ヨ

image6 06.橋を渡れば仁淀川町旧吾川村

橋を渡ると直ぐに再びトンネルに突入する。今度は572mの寺村隧道で歩道も無い。側溝の蓋の上を通過する車に気をつけながら冷や冷やでゆっくりと歩く。道路は車だけの物やないぞ、拡幅が無理なら隣に歩道トンネルを掘れよ!怖いトンネルを抜けると、抜けるような青空が広がる景色となり彼方には高い山も身近に見える。地獄から天国にやって来た。

image7  07.トンネルを潜れば谷間が広がり、高い山も

緩い坂道が続き、歩道のある区間と無い区間が混在する。葛原地区に来ると喫茶店が有るので休憩を兼ねて立ち寄る。店内はモーニングを食する年寄りが大勢いる。ここで朝飯を食べ新聞を読み、常連客同志の憩いの場のようである。直ぐ隣の民家の軒先には白い藤が垂れている。

image8 08.珍しい白藤が

左岸側の大きな支流「土居川」が合流する大崎の大きな集落に入る。1町2村が合併した仁淀川町の役場もここの旧吾川村役場に決まった。四国は平成の合併で大きな川名を市町名に取り入れた。「吉野川市」、「四万十市」、「四万十町」、「那賀川町」そして「仁淀川町」である。

街中から橋に向かう角には「武田の里、大崎」と書かれた大きな看板が目につく。武田最後の勝頼の墓もあるようで、なんで土佐に甲斐の武田なんや?帰宅して調べると、戦国時代に土佐を収めていた長宗我部と武田は親戚だったとある。「土佐の山々陽に映えて・・」となる。民家の石垣には小さな無数の白い花と花芽がビッシリと覆っている。

image9  09.何故かここに武田勝頼の墓が

image10 10.無数の小さな花が咲いている

やがて土居川の合流点に架かる川口橋にやって来た。落合、出合、川口何れも合流点の地名である。古い橋が左に新しい橋が直ぐ右側に並んでいる。旧橋は国の登録有形文化財に指定され、橋際には文化財のプレートが埋まっている。旧橋の姿を見るため狭い隙間に潜り込むと、説明板に書かれていた橋脚のフランス積の煉瓦が見事である。橋上はベネチアの橋よろしく小屋が並んでいる。文化財なのにお粗末な扱いをしている。この銘板が目に入らぬか!

image11  11.川口橋の袂の解説板

image12 12.川口橋は国の登録無形文化財だ

image13 13.精緻なフランス積の煉瓦橋脚

川口から道は西から南西に方向を変える。渓谷が狭まるにつれ国道は水面から離れ緩い上り道が続く。相能地区から対岸の久喜に渡る久喜沈下橋は渓谷の最も狭くなった底に在る。せっかく登って来た道から谷底の沈下橋に下る。この沈下橋も登録有形文化財になっている。谷底は大きな黒い岩が密集し、水面すれすれに頑丈な桁が有る。渓谷の大きさと橋の規模とが一致しない。ちょっと大雨が降れば沈下しそうな橋である。

image14  01.渓谷最狭部に架かる久喜沈下橋

image15 02.この沈下橋も登録有形文化財だ

image16 03.今まで見た沈下橋より遥かに短い

50mほど上の国道まで再び急坂を登り基に戻る。これは久喜では無く谷底沈下橋である。渓谷の高みを国道は通りV字谷が続く。

引地地区の国道脇の広場に茶店の軒先で美味げなおでんが鍋に入っている。ふらふらと店内に入りおでんと蕎麦を食す。コンビニで買ったおにぎりは夕食に廻すことにする。暫し休憩し歩きを再開する。

image17 04.この坂道を往復したのだ

image18 05.V字谷が続く

何度も渓谷を廻り込み進むと真っ赤な口紅色の化粧をしたトラス橋が緑一色の中に目立つ。古いトラス橋なので、まるで年増が厚化粧をしたように見える。近づいて良く見ると化粧の乗りが悪く見栄えが良くない。やはり遠くから見るのがよさそうだ。

image19 06.真っ赤な化粧をした年増が現れる

中津川が合流する名野川には細く長い水圧鉄管が山の中腹から川の発電所に延びている。集落は猫の額のような狭い谷間にひしめいている。越知から上流に向かう路線バスは大きな支流が合流する地点で支流にも足を延ばすため、1日10便ほどあったのが徐々に減り、名野川からは5本となっている。県境付近では3本と更に少なくなる。

image20 07.名野川発電所の水管は長い

名野川から川は南からとなり、北に向わなければならないのにどうなっているのだ。やがて上仁淀橋の袂に着く。川口で北から合流した国道439号がここで分かれ橋を渡り南に向かう。与作また何処かで会おうぜ。

大渡までやって来ると道は再び西からとなるが、丁度帰りのバスの時刻が迫ったのでバス停に急いで戻る。直ぐに佐川行き黒岩観光バスがやって来て乗車。

image21 08.ここから帰路につく

かつては国鉄バスが頻繁に走っていたが、高速道路のネットワークが完成し、高知~松山は遠回りになるが川之江経由の高速道路利用となり、この仁淀川の高知県内からは撤退した。この先の愛媛県に入ってすぐの落出までは遡行の難関区間である。先日テレビ東京系で放映していたバスの旅ではこの辺りの旅に苦労していた。

45分ほどの乗車で越知経由佐川駅に到着。JR四国独特の三角屋根もこの駅のはでかい。直ぐの各停で高知に向かう。

image22 10.佐川駅の三角屋根は大きい

南風まで40分ほど有るので駅前の案内所に行き、竜馬パスポートのランクアップの手続きをし、青から赤に変わっていたパスポートをブロンズに変えてもらう。この先にはシルバー、ゴールドとあるがランクアップの条件が厳しい。昨夜の宿の宿泊代が赤なので400円引きとなり助かった。

駅の売店を物色していると本場のアンパンマングッズがズラリと並んでいる。よくぞこれだけ可愛く擬人化したものだ。ご当地キャラの原点がここに在る。

image23  11.高知駅内のアンパンマングッズを見る

 

本日の歩行距離:15.7km。調査した橋の数:13。(支流を含む)

総歩行距離:7,115.4km。総調査橋数:10,792。

使用した1/25,000地形図:「大崎」(高知15号-2)