愛媛-6. 金生川 平成24年12月25日(火)曇り一時晴れ

 

久しぶりに土讃線阿波池田駅に降りたつ。前回降り立った時に工事中であった狭い駅前広場は見違える姿に変身している。今日は愛媛県最東端の川「金生川(きんせいかわ)」を歩くのであるが、予讃線の川之江駅と川の最上流部の七田とを結ぶ瀬戸内バスは1日1往復しか無く、朝の便は上流から下り、夕方の便は駅から上るので当方の思いとは全く逆のバス便である。このバスが利用できないため、愛媛県の裏側から攻めることにし、徳島県の阿波池田駅から三好市営バスで県境近くの佐野終点まで行き、そこから歩いて県境を越え、金生川の源流部から川を下ることにした。隣県から攻めるのは初めてである。

バスまで30分ほどあるので駅横の食堂兼喫茶店兼土産物店で時間を過ごす。9時30分発の市営バスに乗車。客は当方を含めて2名。こちらのバスは1日4往復ありこの朝の上り便が決め手となった。吉野川遡行時に歩いた時の道や橋を見ながら進み、町の西外れで本流に合流する「馬路川」の谷間にバスは入り、西に向かう。30分程で馬路川上流部の佐野バス停に到着。数名の客が立派な佐野駅の看板の残るバス停の待合室で待っている。池田から川之江に向かう国道192号は徳島から吉野川に沿い、池田からは馬路川に、県境からは金生川に沿ってほぼ一直線に中央構造線に沿って東西に走る国道で、高松経由の国道11号よりも距離は短く、交通量は多い。高速道路の徳島道はこの国道のバイパスのような性格を有している。

 01.三好市営バスを終点佐野で下車

バスを降りると緩い傾斜の続く国道を西に向かう。歩道は無く、比較的広い路肩の側溝の蓋の上を歩いて行く。大型トラックが坂道を走って行くが、先日の国道11号の桜三里ほどの恐怖感は路肩が広いので無い。国道脇の気温表示は1度。今年は夏暑く冬寒いメリハリの利いた天候のようだ。テレビで酷暑が北極海とシベリアに影響し、冬に寒波が南に下がる仕組みを解説していた。

 02.国道192号の気温は1度

 

2kmほどで阿波、伊予の国境のその名も境目峠の下を潜る境目トンネルに着く。四国山地の支脈である法皇山脈の東端部が浮気をして阿讃山脈に繋がった山波の最も低い所がこの峠である。

850m余りの長いトンネルの路面よりは一段高くなった狭い排水溝の蓋の上の歩道まがいの路を歩く。トンネル内は大型車のすさまじい轟音が鳴り響き、三沢、那覇、千歳空港で聞いたジェット戦闘機の離陸時のような音が続く。トンネルを出ると愛媛県四国中央市川之江川滝町七田地区である。直ぐに川を渡る橋が現れ遡行と橋の調査開始。

 

 03.徳島、愛媛境の境目トンネル

 04.県境の徳島県側

 05.県境の愛媛側

 

国道のせとうちバスの七田バス停の次の久保内バス停で小休止するが、1日1便ではどんならん!三好市も四国中央市も平成の大合併で成立した市であるが、4便の市と1便の市の差は住民にとっては大きい。

 06.この時刻表ではどんならん

 

愛媛県に入ると狭いながらも歩道が有る!「狭いながらも楽しい我が路」である。こちらの方がキツイ坂道を楽々と下ってくると、高い屋根を持った小屋が見えてくる。このけったいな建物は何やと近づくと、お遍路さんの休憩所で中で寝転ぶことも可能な構造である。それにしても雨風が入りやすいこんな高い屋根にしなくても良いのにと思うのだが。65番三角寺と66番雲辺寺を繋ぐ遍路道の途中で、どちらも高い山の上に有りここで寝泊まりする人もいるのだろう。

 

 07.このけったいな建物は何や

 08.お遍路さんの休憩所でした

 

川には数多くの橋が在り、国道から橋に行ったり来たりを繰り返す。この谷間は阿波と伊予を繋ぐ古くからの路で集落も多い。それなのに1本とは。

谷間が広がると海岸部の製紙工場群から発する嫌な臭いが漂ってくる。子供の時に自転車で国道2号線の神崎川を渡った時に尼崎から漂ってきた匂いを想い出す。この川之江には二つの高速道路のジャンクションと一つのインターのある要衝で、市名も四国中央市とでっかく出ている。そのうちに日本中央市が出てくるカモ。高知道と松山道の天空を過る橋の下を潜り、市街地に入る。金生橋の親柱は二段構えになっている。手前の1段目には紙の町らしく製紙状況がレリーフされ、二段目には紙を使った折り紙のカニ、折鶴、兜などが描かれている。

 

 09.金生橋は紙の町らしく紙漉き

 10.親柱には折り紙のカニが

 

川之江市のマンホールにも折鶴が多く描かれ、紙の町とも書かれている。

 11.紙の町は鶴の折り紙

 

延長13km余りの川の源流部から歩きだし河口に到着。全線歩くのは珍しい。河口は新産業都市らしく工業港になっている。北側には川之江城が小高い山のテッペンに天下を取ったかのように建っている。伊予は数多くの藩が林立していたが、川之江藩も一時存在していた。

 

 

 

 12.河口は工業の町らしい

 13.小山の上に川之江城が鎮座

 

河口で折り返し川之江駅に向かう。何度も乗っている特急しおかぜに乗車するが、今日は宇和島から直通のアンパンマンディーゼル特急である。

本日の歩行距離:17.8km。調査した橋の数:46。

総歩行距離:5,431.1km。総調査橋数:8,883。

使用した1/25,000地形図:「伊予新宮」(高知5号-1)、「伊予三島」(高知5号-3)、「川之江」(岡山及丸亀8号-4)