徳島4-1.桑野川 平成26年3月3日(月)晴れ

 

二日前の母校での講演のため遡行を中断していたが無事終えたので再開する。再び阿波に向かう。阿波最長の那賀川本流の歩きを終えたので多くの支流のつぶしに取り掛かる。先ずは本流の河口部に同時に合流する桑野川からやっつけることにする。河口付近の二つの橋は本流遡行時に一緒に見ているので三番目の橋からとする。

青春68切符が利用可能となったので早速これと四国エンジョイ倶楽部の割引切符の併用とする。高松⇒阿南、徳島⇒高松は時間節約のため特急利用とし、高松駅で3割引きのエンジョイ倶楽部利用切符を購入し、庭瀬⇔高松と帰路の新野⇒徳島は68切符利用と、早く安く行く方法を考える。四国は単線に特急を多く走らせているため、各停は時間がかかり特急を利用せざるを得ない。早く安くつく関西の新快速が羨ましい。

岡山、高松、徳島と乗り継ぎ直ぐの牟岐線特急の「むろと」に乗り阿南10時17分到着。予讃、土讃、高徳各線の特急はJR四国お得意の振り子式であるが、牟岐線、徳島線は国鉄時代の古い気動車特急である。

勝手知った駅前から1km北東のスタート地点に向かう。今冬は大雪の次にぽかぽか陽気となり、今日は普通の冬日和で風が強い。直ぐの桑野川の土手に上がると北北東からの強烈な風が吹き付ける。前回遠くから見えていた水管橋にたどり着き、橋際には河口から3.2キロの距離標識も立っている。

 

 01.特急むろとを阿南で下車

 02.王子製紙の水管橋からスタート

 

直ぐ近くの県道沿いには那賀川と桑野川を管理する国土交通省の河川事務所が有るので仁義をきっておく。川の直ぐ傍に河川事務所があるのは珍しく、事務所を訪れるのは初めてである。今まで仕事などで数多くの道路事務所、河川・道路事務所を訪れたが、ここ那賀川河川事務所は敷地の広さは狭く、建物も簡素で好感が持てる。写真を撮って仁義を切り土手に戻る。名前はマイナーであるがこの桑野川は1級河川なのである。土手の草は見事に刈られ、清々しい姿をしている。

 

 03.那賀川河川事務所は簡素な造り

 04.支流なれど一級河川だぞ

 

牟岐線の鉄橋を潜り市役所の北側に来ると、大きな不動明王像が強風に煽られた旗を従えて立っておられる。その顔は、憤怒の形相というよりは泣きそうな顔つきである。強風がこたえているのだろう。「北風まともやんか!何とかしてくれ!」

 05.後ろに市役所を従えたお不動さん

 

西からの流れが南西からの流れとなると、風は後ろからとなりどんどんと当方を前にせきたたせてくれる。国道55号を過ぎると富岡の市街地が尽きいつもの景色となる。井関地区で南側の山が川に迫り、右岸側から左岸側の土手に移動し風に後を押されながら進む。

やがて遠くからも目立つ異形の橋がその姿が分かってくる。なんとも御大層な仰々しい橋である。この程度の川幅には似合わない形式の橋である。今までも何度か出会っているが、橋の計画段階で橋を○○一とか特殊形式にしたい人が無理やり押し付けた橋が有る。何橋かは施工の難しさからその監理やその後始末に参入した思い出がある。国や県レベルなら特殊橋梁でもなんとか管理して行けるだろうが、市町村レベルでは荷が重い。

 

 06.なんとも御大層な橋が現れる

 07.斜吊式鋼PC複合構造連続下路トラスだ

 

北側は広い平地、南側は山が川に迫る左岸側の堤防を進み北側からも山が迫ってきた所に長生橋が架かっている。橋を渡り右岸側に来ると本流でも見かけた水位情報掲示板がここにも有る。向こう側の橋脚に水位の注意段階を色で分けた表示が有り、情報板と対比できるようになっている。ここのがベストの表示である。

土手の反対側には現在4代目である長生橋の歴史説明と歴代の親柱が展示されている。ここまで保存、記録されているのは驚異的である。よくぞ残してくれました。涙がちょちょぎれるほど有り難い。橋の名前が良かったのだ。

 

 08.この表示は分かりやすい

 09.長生橋は3代の親柱を保存

 

更に上流に向かうと明らかに土手の草の状況が違う。やっぱり有りました、9.3キロ付近に国から県管理の境界標識が有る。それにしても支流にしては国管理区間が長い。

 10.河口から9.3kmで県にバトンタッチ

川は南からの流れとなり北風の影響が益々強くなる。気温は6度と普通であるが10m前後の風が吹き体感気温は5度程度と寒い。県道24号に合流ししばし県道を歩く。やがて川名の基になった桑野地区に来ると東から国道195号が合流し今度は国道を歩く。ここから暫くは本流遡行時にバスで往復した国道である。高松駅で買っておいたお握り弁当を食べられる場所がなかなか見つからずに彷徨していると、国道沿いに大きな中華レストランが有る。寒さもあり温かい食事をと、店内に入りチャンポン麺を食す。おにぎりは晩飯に廻すことにする。身体にガソリンを入れ20分ほどで歩きを再開する。県道下の広場では大勢のお年寄りがグランドゴルフに興じている。寒さもなんのその、全員マスク着用で頑張っている。

 11.強風も何のそのGゴルフは楽しい

 

やがて国道195号は何時までも支流に付き合っていられないので袂を分かち、西側の峠に向かって登って行く。今度は県道284号を南に向かう。分かれ道の近くには枝ぶりの良い枝垂れ梅が見事に咲いている。奥の黄色の花との競演である。堤防上の道を進むと、川側に紅白の梅が交互に咲き、白梅は嫌いな黒がかった色ではなく黄色味を帯びた色でグッド。県道側では50年物の桜並木が出番を待っている。梅はー咲いたが桜は未だじゃ!

 

 12.見事な枝垂れ紅梅

 13.紅梅と白梅が交互に

新野地区に入ると川は再び西からの流れとなり、直角に曲がっている。帰りの列車の時間があるので遡行はこの曲がり角迄とし、そのまま南に向かい牟岐線新野駅に向かう。直ぐ西の山裾には22番札所の平等寺が有り、南側に馬場の門前の街並みが広がっているはずであるが、ここで遠くから遥拝しておく。

 14.川はまだまだ広いがここまでとする

 

駅はせせこましい所の奥にポツンと佇み、鉄道模型の駅舎にしたいような小さな駅舎が可愛い。トイレ、公衆電話、郵便ポスト、自販機、植木と駅の5種神器が揃っている。列車まで20分ほどあり、待合室の座布団のあるベンチで今日の歩きの整理をしてホームに上がる。細長いホームには小さいながら屋根付きのベンチも有る。牟岐線には1日3.5往復の特急が走っているが、内1往復はこのミニ駅にも停車するのだ。JR四国独特の新しい単行気動車で徳島に向かう。

 

 15.模型にしたくなるような新野駅

 16.1日1本だけ特急も停車するぞ

 

本日の歩行距離:17.4km。調査した橋の数:22。

総歩行距離:6,906.1km。総調査橋数:10,571。

使用した1/25,000地形図:「阿波富岡」(剣山5号-1)、「橘」(剣山5号-2)、「馬場」(剣山5号-4)