兵庫6-4.野間川(その1) 平成24年7月24日(火)曇り一時晴れ

10時07分、三度目の西脇市駅に降り立つ。今日は加古川四番目の支流「野間川」を歩くため合流点近くのこの駅をスタート地点とする。この川は旧八千代町(現:多可町八千代区)の北端から流れ出し、西脇市に入って東の流れを変える、延長21.4kmの川である。西脇にはもう1本の大きな支流「杉原川」が北から合流する。本流と合わせ3本の川が集まっているのが、町の発展の基礎になっているようだ。
駅から500mほど南の最初の橋、県道17号線の「岩井橋」から調査を開始するが、今日も薄曇りで風が無く蒸し暑い。川の水は多くも無く、少なくも無く程よい水量で流れている。連日の夕立が適度な水量を確保しているのだろう。
広めの谷の堤防の道を西に向かう。今日の川近くを付かず離れず通る県道にはバスが上流部まで運行されており、途中でへばってもバスが捕まえられるので安心して歩ける。2本用意しておいた飲料水も直ぐに空になりそうで、自販機を求めて堤防から県道に寄り道をしていくと、自販機がズラリと並んだバス停前に休憩するのにもってこいの屋根と椅子のある場所を見つけ、今日はここで大きな爆弾おにぎりを食し、しばし休憩とする。
川はここで大きく方向を変え、北の狭い谷間に入っていく。一番狭まった所からが旧:千代田町となる。ここも平成の大合併で「中町」、「加美町」と合併し、「多可町」となった。郡名を新町名としている。旧町名の下に区を付け、合併でも旧町名は残しているのは姫路市の一部地域と一緒である。
八千代区に入ると直ぐにマンホールが見つかりカシャ。真ん中に大きく雉が描かれ、二輪の百合の花も添えられている。多分、町花と町鳥であったのだろう。

 01.ここから旧:八千代町

 02.八千代町は雉と笹ユリ

県道の分かれ道の広場には八千代区の案内図と敬老の日発祥の町の記念碑が高く誇らしげに聳え、その解説碑も根元にある。昭和22年に年寄りの日を当時の村が制定し、これが全国に広まって行ったとある。先見の明有り。

 03.多可町八千代区案内図

 04.敬老の日発祥町の碑は、いと高く

 05.発祥の謂われ解説

県道24号の方を進み、最初の橋の名前は「笹ユリ橋」。親柱にも大きな笹ユリがデンと構えている。先ほどのマンホールの花は笹ユリと合点がいく。こんなに簡単に答えが見つかるのは珍しい。

 06.ズバリ笹ユリ橋と笹ユリの親柱

遡行時から気になっていた川の濁りが徐々に強まり、この辺りでは土色の見苦しい色になっている。広くなった谷間の川の土手を進むと、町の中心部で3本の川が合流している地点に着く。真ん中が野間本流で、右側が仕出原川、左側が大和川で、この大和川が犯人と分かる。この川の上流部で下手な川の工事をしているのだろう。見た目も悪いが、川の魚や水草にも悪影響が出るので、工事は濁りが少なくなる工法を採用してもらいたいものである。

 07.濁りの正体は左からの大和川

10km余り歩き、暑さにへばりが加わり、予定していた18kmの歩きは諦め、2時間半前の丁度1本前のバスが通過する時刻が近づいたので、「花の宮」バス停から帰路につくことにする。花の宮とは優雅な地名である。遡行を始めて4度目の盛夏を迎えるが、段々きつくなってくる。遡行で見て来た景色をあっと言う間に通り過ぎ、20分で西脇市駅に到着。駅の待合室の片隅に生けられている生花に笹ユリが入っている。これでマンホール、橋と3拍子揃った。

 08.西脇市駅に偶然笹ユリが

今日の歩行距離:10.8km。調査した橋の数:20。
累計歩行距離:1,849.8km。累計調査橋数:2,375。
使用した1/25,000地形図:「西脇」(姫路3号-1)

兵庫6-4.野間川(その2) 平成24年7月27日(金)晴れ

再び西脇市駅に降りたち、昼の12時38分発の大屋行きバスに乗り込む。今日は歩く距離(時間)と数少ないバスのダイヤを見比べながらこのバスに決めた。先日の折返し点の優雅な名前の花の宮バス停で降り、川沿いの県道を上流に向かう。直ぐにまたまた優雅な名前の「山中」なるバス停を通り過ぎる。何処かで見た名前のバス停名である。川の向かいには八千代町役場であった多可町八千代地域局が見える。この辺りが八千代の中心部のようだがバス停名が山中とは?

 01.初めての同名のバス停がある

 02.旧:八千代町役場は地域局に

広めの谷間には人家が途切れず続き、これが最上流部まで路線バスが今も走っている要因のようだ。川の名前になった野間集落を過ぎると、県道脇にお馴染みになった山田錦契約田の幟に交じって見慣れない赤色の幟がはためいている。近寄って見ると富山県の酒造店の契約田とあり、えらく遠い所からも酒米の青田買いが入っている。この酒名は秘密の県民ショーの飲み会に出た酒だったのを想い出す。
幾分谷が狭まった所の県道143号が川を渡った所に「蛍の旅路」の案内看板が建ち、川の土手が遊歩道になっているのでこちらを歩く。
今日も酷暑で汗だくの下着を脱ぎ、これを歩きながら乾かし、ある程度乾くとシャツと入れ替えて着、今度は汗だくのシャツを乾かしながら歩く。少しでも背中の汗疹が重くならないように気をつける。

 03.富山県の酒屋がこんな所に進出

 04.蛍の旅路の土手を歩く

赤坂集落を過ぎた所で大きな堰が現れ、道路沿いに堰を管理している農水省に河川管理者の国交省が水利権の使用を認める看板がデンと建っている。今まで数多くの堰を見て来たが、農水省直轄の堰は珍しい。

 05.国(国交省)から国(農水省)への許可証

門田地区のバス停に屋根とベンチがあったので暫し下着干しに休憩する。それにしても暑さがこたえる。連続した歩きが困難な暑さである。
下村地区の入口に地形図には載っていない新しい大きな診療所が目につく。木造平屋(一部二階建て)の診療所とは思えないような建物である。
集落半ばの県道沿いの民家の軒下に、クレヨンしんちゃんの小便小僧がミニ水車を回しているのに遭遇する。ナニこれ珍景色に加えておく。

 06.町営の大規模な診療所

 07.「しんちゃん」の小便水車

次の中村集落の北外れに立派な鳥居が立ち、西の山裾に木々に囲まれた社殿が見える。ここの貴船神社で、鳥居には大歳神社の名前と並列で記されている。

  08.貴船神社の鳥居は立派

坂元集落の入口に「マイスター工房」なる施設が現れ、今日はあいにくの定休日とある。建物の入口にテーブルとイスが数脚あったので、これ幸いと休憩と物干しに座り込む。予定では二つ先のバス始発停留所の大屋まで歩くつもりであったが、この暑さで歩行速度が極端に遅く、帰りのバスに間に合わなくなる懼れがあるので、ここを潮時としここでバスを待つことにする。
炎天下の歩きに無理は禁物、禁物と自分に言い聞かせて西脇市行のバスに乗り込む。貸切状態であっと言う間に西脇に到着。帰りの姫路からの岡山支社の旧型電車はクーラーが効き過ぎ、灼熱地獄から今度は氷雪地獄に様変わりする。

  09.ここで衣服を乾かしバスを待つ

今日の歩行距離:7.3km。調査した橋の数:14。
累計歩行距離:1,857.1km。累計調査橋数:2,389。
使用した1/25,000地形図:「西脇」(姫路3号-1)、「中村町」(姫路2号-2)