岡山-2. 高梁川 (その11平成27年3月6日(金)晴れ

新見市千屋の国道脇の雪も無くなって来たようなので遡行を延期していた高梁川最後の区間に向かう。前回と同様に備中高梁まで各停を利用し、高梁からは特急やくもを使用して新見駅に到着。たった5分バスの発車を遅らせてくれれば特急を利用しなくて済むのだが。35分待って乗ったバスの人のよさそうな運転手さんに、「鉄道とバスはお互いに少ない本数なので営業所に帰ったら、鉄道のダイヤも横目に睨んだバスのダイヤにしてくれるよう言っといて」と頼んでおく。

前回積雪のため途中で遡行を打ち切った「ゆうゆうセンター」で下車する。今日は焼肉の匂いはせず、雪の無い道を北に向かう。緩い坂道が続くなか、国道180号から対岸に渡る前回△に判定していた市道の橋の多くが前回の遡行の後に塗装の塗替えが行われたようで今回は◎とする。◎になっているのを見ると気分もルンルンである。

国道の橋際には最近良く見られるようになった「凍結防止剤自動散布装置」が両岸に鎮座している。春とはいえ未だ活動中のようで、どのように作動させているのか見たいものである。

「反田」地区に入ると谷間が少し広くなり、直ぐ西の鳥取県境に有る花見山(H=1,188m)がはっきりと見える。県境はここから2kmの所に有り、鳥取県最大の川である「日野川」が岡山県と島根県の間に割り込んだように両者を分けている。

image1  01.この凍結防止剤自動散布装置は どう動くのか?

image2 02.岡山、鳥取県境の花見山(H=1,188m)

広くも狭くも無い谷間を国道と川はひたすら北に向かう。「井原川」が合流する「相文」地区に入るとスキー場を案内する大きな看板が目につく。千屋地区は新見市北部の南北に細長い地域で、岡山県での最低気温はいつもここのデータである。今日のゴール地点の千屋温泉まであと4kmである。

image3  03.岡山最北西端はスキー場が多い

image4 04.温泉まであと4kmだ

一端狭くなった渓谷が再び広くなると真北に見事な正三角形の山が見える。前回も見えたが今日は無風快晴の青空と雪の大地をキャンバスに凛々しい姿を見せてくれている。剣には見えないが山の名は「剣山(H=962m)」である。高さは低いが岡山県の名山ベスト3に入れておく。

国道脇には「後醍醐天皇の休石」なる史跡の大きな木柱が立っている。集落の名前も休石である。院庄の後、天皇一行は出雲街道を西に、そして新見から高梁川沿いに北上して来られたのだ。

image5  05.見事な三角形の剣山(H=962m)が顔を出す

image6 06.後醍醐天皇は此処にも立ち寄られたのだ

脇道の斜面には早春の可憐な花が小さな多くのお地蔵さんの周りに咲き誇っている。これぞ自然豊かな美しき良き日本である。反対側には一段と近くなった剣山がこちらを見下ろしている。後醍醐天皇もこの山を見ながらお休みなったのであろう。

image7  07.早春の花が可憐に咲いている

image8 08.快晴の空と雪と山

国道から離れた川に向かい段丘から下って行く。左岸側の道を進み「井原川」を越えてから国道に戻る。「相文」バス停は屋根付き、扉付き、座布団敷きのベンチもある最上のバス停である。ここで高梁駅前のコンビニで買った弁当の昼を摂る。雪国のバス停は良いなー。15分ほどの休みのあと遡行を再開する。

井原川の合流点を過ぎると川幅は極端に狭まり、遡行調査の対象外となるが温泉が有るので北を目指す。直ぐの市道に架かる橋は、古い鋼桁の上に後から鋼桁を載せた面白い二段桁の橋である。

image9  09.座布団付きのベンチで昼を摂る

image10 10.親亀の上に子亀を載った橋

一段と勾配がきつくなった国道をゆっくりと進む。450mからここまで標高差200mも上がってきたのである。国道は北北東に向きを変え、県境の「明知トンネル」に向かい、当方は西に向きを変えスキー場と温泉のある建物に向かう。5年前には更に北に向かい県境から500mまでの所まで行って折返し、この温泉に1泊したのである。3月であるがスキー場は未だ充分に雪が有り、絶好の天候の下雪山を楽しんでいるのが見える。スキーはもう50年もやっていないなー。5年ぶりの千屋温泉は今日が金曜日で65才以上は500円。ラッキー。温泉で岡山三大河川の二つ目の遡行を終える。

image11  11.久しぶりのスキー場は未だ滑れるのだ

image12 12.5年ぶりの千屋温泉で三大河川遡行を終える

1時間30分温泉を堪能して15時50分発のバスで新見駅に向かう。

帰りの伯備線の車窓から、往路で見つけた2か月前からの大きな変化の状況を写真に撮っておく。「有漢川」に架かる国道の橋の橋脚の耐震化工事が終わり、見事な大根足となった。

image13 13.「有漢川」の橋脚耐震工事が完了

備中広瀬の新橋完成により通行止めになっていた玉川橋の撤去工事が最盛期のようで、3径間の内の2径間の姿が無い。解体されたトラス材が駅と国道との間の空き地に仮置きされている。「御苦労さんでした。なんまんだぶ、なんまんだぶ、無事成仏してくれよ!」

image14 14.旧「玉川橋」が撤去工事中

本日の歩行距離:8.5km。再調査した橋の数:17。

総歩行距離:7,913.4km。総再調査橋数:294。

使用した1/25,000地形図:「千屋実」(高梁10号-1)、「根雨」(高梁9号-2)

 

高梁川とその支流群を歩いた結果、これらの川を市内に持つ新見市の鋼橋の保全状態が良くなっているのに拍手を送りたく5年前との比較表を作成したので添付しておく。岡山県全体の市町村管理道路の橋の平均値を下回っていた同市の橋が市長さんを頭に担当部署の努力で格段に上昇している。

新見市市道橋(鋼橋)の5年間の変化

 対象河川:前回は延長5km以上の18河川、今回は10km以上の9河川

判    定
河川名         今回調査 今回調査に対応した前回分
× ×
2.高梁川 6 3 10 1 20 1 3 13 3 20
 2-7.小坂部川 3 1 4 1 9 0 1 7 1 9
 2-8.西 川 3 1 1 0 5 0 0 4 1 5
 2-8-1.本郷川 4 2 8 1 15 0 3 10 2 15
 2-8-2.神代川 6 1 6 1 14 0 0 13 1 14
 2-8-3.油野川 1 1 0 0 2 0 1 1 0 2
 2-8-4.和忠川 0 0 1 0 1 0 0 1 0 1
 2-9.熊谷川 3 4 1 1 9 0 5 4 0 9
 2-9-1.大畑川 0 0 1 0 1 0 0 1 0 1
  合  計 26 13 32 5 76 1 13 54 8 76

 

評価点 10 7 4 1 10 7 4 1
点数 260 91 128 5 484 10 91 216 8 325
平均点 6.36 4.27

 

前回調査時(H21~H23)

岡山県全市町村平均 5.15
新見市 4.49