岡山-2. 高梁川(その2)平成26年11月24日(月)晴

一昨日に続き高梁川に向かう。前回の折返し点の新船穂橋から10km以上も一般橋梁が無いので、今日は少しズルをして橋から2.5kmほど上流の水江の渡船場から始めることにして、倉敷駅北口から両備バスの水江循環線に乗車する。乗客の大半はイオンモール倉敷で降りたつ。開店前なので皆イオンの従業員なのであろう。当方は古水江バス停で下車し高梁川の土手に向かう。

万里の長城のように延々と連なる土手に上がり一旦下流側に向かう。直ぐに渡船の案内看板が土手上の県道に立っている。河川敷に降り、川への進入路を水面に向かう。コンクリートで固められた道は沈下橋ならぬ沈下道である。増水時には水に沈んでしまう道である。

image1  01.高梁川には渡し船が有るのダ

image2  02.沈下橋ならぬ沈下通路

渇水期の水面は池のように見え、対岸(西側)に渡し船が舫い船頭さんの姿は見えない。何処かでこちらを見ているのだろう。大きくゼスチャーをすれば迎えに来てくれるのかな?直ぐ下流には新橋が倉敷市の手で建設中で、早ければ今年度末にも開通しそうである。

ここから上流部の高梁川の右岸側(西側)は山が川に迫り、山の西側には遊水地も有り、集落も道路も無い信じられない地域で橋も無い区間である。

image3  03.渡し船は西側で待機

image4  04.直ぐ下流で橋が建設中

土手に戻り県道には歩道が無く、路肩も狭いため安全のため堤外の水路沿いの道に降りて川とは一線を隔てて北東に向かう。彼方には広大なイオンモールの建物が見える。手元の古い地形図にはイオンは載っていない。

image5  05.彼方には広大なイオンモールが

前回と同じように2条の水量たっぷりの水路沿いに進む。2本の水路の内右側は倉敷市の水道用水である。渇水期の今は川の水量よりもこちらの方が豊かに見える。

image6  06.この水が倉敷の水道に

image7  07.渇水期の今は川よりも水路の方が多い

やがて高梁川からの水を引き込みあちこちに分水する酒津配水池に到着する。アーチ型の水門から5つに分水された水路が見事である。新たな3条の水路は水島地区、倉敷阿智地区等への農業用水である。かつての高梁川はここ酒津から真っ直ぐ南に流れ、先日乗車した水島臨海鉄道の線路付近を通り、水島港付近から水島灘に注いでいた。近代日本は大河川の付替え、改修で成り立ってきたのだ。

image8  08.酒津配水池から水は5つに分けられ

image9  09.3つは農業用水に使用

配水池の東側の遊歩道を進み紅葉真っ盛りの秋を堪能する。水辺の紅葉も好い物だ。ここはやや北に寄り過ぎているが倉敷市民の憩いの場で、春の桜の名所でもある。土手下の桜並木が美しい。

image10  10.酒津公園は紅葉真っ盛り

image11 11.ここは市民の憩いの場

image12  12.秋の桜並木も良いものだ

伯備線の倉敷駅と次の清音駅間は7km以上もあり、ここ酒津付近に駅がほしい所である。

大きな配水池の北の端にも水門があり、倉敷地区北部への農業用水が配水されている。ここの水門は土木遺産に指定されているのが青銅製のプレートで分かる。かつての田圃の多くは宅地に変わり、農業用水としては利用量が減ってきていることだろう。

image13  13.配水池の北からも農業用水が

image14  14.水門は土木遺産に指定

酒津公園の北端から土手に上がると県道396号は倉敷からの県道24号に合流する。伯備線も直ぐ山側を走り、山が高梁川に迫る狭隘部を県道と伯備線が並んで西に向かう。東西からの山に川は挟まれて大きくS字状に流れている。西からの流れが北からの流れに変わる地点に西から最初の大きな支流である小田川が合流する。この喉首の部分に山陽道と山陽新幹線が並んで渡河している。市街地を避けた結果がこの地点の通過と相成る。

前回△を付けた山陽道の下り線のトラス橋は錆が大きく広がり、厳しく×を付けておく。上り線は△としておく。

image15  15.酒津から北は県道24号を北に

image16  16.山陽道下り線トラスは錆が多い

県道の狭い歩道を進むと道端に3体のお地蔵さんが並んでいる。この付近で交通事故で亡くなった人を弔うお地蔵さんであるが、同一場所に3体も有るのは解せない。事故を起こした本人に問題が有るのだろうが、事故が集中しているのは道路の線形、構造に問題が有る可能性が有る。道路構造から許容される速度以上の速度が出しやすくなっているのだろう。この県道は倉敷、水島から総社、矢掛方面に向かう道路で対岸に道路が無いことから交通が集中している。4車線有っても良いぐらいであるが川と伯備線に挟まれ拡幅が困難になっている。伯備線の下り線を別線になっている上り線の方に移設して拡幅するか、対岸にバイパスを建設するかが必要である。

image17  17.ここで交通事故が多発したのか

直ぐに倉敷市から今は総社市になった旧清音村に入る。きよねとは字面も音の響きも良い村名であったのに惜しい。伯備線の複線電化の折、川沿いに沿っている線路の腹付線増をやめ東側を長いトンネルで通過したが、複線トンネルにしておけば良かったのにと悔やまれる。

image18  18.倉敷市から総社市旧清音村に入る

image19  19.伯備線は上下線が別線に

山陽道に較べ状態の良い山陽新幹線の大きなトラス橋は、遠くから見ると塗装の塗替えと勘違いしていたが近づくと遮音壁の取り換え工事と分かる。

image20  20.山陽新幹線は遮音壁の取り換え中

やがて歩道も無くなり路肩歩きとなる。今日は祭日で自転車も多く通過して行く。川が西から北の流れとなる付近で山地が尽き、県道と伯備線との間に市道が現れこちらに退避する。県道は再び土手の上を歩道無しで北に向かって行く。直ぐに旧清音村のマンホールが現れカシャ。川魚と花の組み合わせである。

やがて井原鉄道の巨大なトラス橋が上空を覆っている。初期の無塗装鉄道橋で、安定錆らしき錆で一面に覆われ異様な感じがする。

image21  21.旧清音村は川魚がデザイン

image22  22.巨大な錆色の井原鉄道のトラス橋

土手の上の県道歩きは恐ろしいので土手下の市道を北に黙々と歩いて行く。やがて新船穂橋以来の対岸に渡る一般橋である川辺橋に到着し、土手の上に上がる。それにしても橋の間隔が長い。

image23  23.新船穂橋から10kmでやっと一般橋に出会う

暫く土手の裏側を歩く。東に広がる平地には工場や倉庫が出来、前回とは景色が変わっている。裏道が尽きたので土手に上がり河川敷のお粗末な砂利道を歩く。疲れが出て来た足に砂利道はこたえる。下流には3番目の新橋が架設工事中である。

image24 24.河口から3番目の新橋が架設中

足を鞭打ち進み今日の打ち止め点である総社大橋に到着する。この橋の塗色は濃い若草色で年増の若草の風情である。なんとも悩ましい色である。橋を診終え総社駅に向かう。駅近くまで来ると女性が急ぎ足で駅に向かっていたので、これは発車が近いなと判断し当方も急ぎ足で駅に向かう。橋上駅の改札を通り階段を降りて行くと電車が入って来て滑り込みセーフ。慌ただしい最後であった。

image25 25.総社大橋で打ち止めとする

image26 26.この橋の塗色は珍しい

本日の歩行距離:12.7km。再調査した橋の数:6。

総歩行距離:7,651.1km。総再調査橋数:96。

使用した1/25,000地形図:「倉敷」(岡山及丸亀1号-3)、「箭田」(岡山及丸亀5号-1)、「総社西部」(高梁8号-2)