岡山-2. 高梁川(その1)平成26年11月22日(土)快晴

(はじめに)

次は岡山県二番目の川、高梁川の出番です。

岡山の河川の次は前回は吉井川であったがより身近な高梁川を歩くことにした。高梁川は岡山3大河川の中では最大の流域面積(2,670km2)を持つ広島県にもまたがる大河川である。

前回と同じようにJR倉敷駅の西にひっそりと建っている水島臨海鉄道の倉敷市駅に向かう。何故か駅名は倉敷では無く倉敷市である。この鉄道はJR貨物、倉敷市、岡山県、コンビナート内企業等が株式を保有する三セクで、貨物輸送を主なる目的としているが旅客列車の運行本数も数多くある。旅客列車の大半は倉敷市~水島間であるが、朝夕には水島駅の先の三菱自工前までの列車も運転されている。貨物列車は1日8往復が20両の長大編成で東海道、北陸、山陽方面に直通運転されている。高架駅の水島から線路は東西に分かれ、東は東水島貨物駅に、西は三菱自工前を経て倉敷貨物ターミナルに至る。

8時48分、三菱自工前駅に降り立ったのは2名のみ。広い道路と広大な工場に線路と駅は挟まれ、ホームは細長い。乗客を降ろした列車は更に西の倉敷貨物ターミナルの留置線に向かって行く。ここが高梁川河口に最も近い公共交通機関の最寄駅である。それでも河口までは3kmほどあり、交通不便な川である。

image1  01.線路は東西に分かれる

image2 02.終点は道路と工場の間に

大型トラックだけが通り過ぎる広い道を西に向かう。人っ子一人も見当たらないゴーストタウンのような道の歩きはつまらない。やがて巨大な川鉄(現JFEスチール)水島製鉄所の手前に倉敷貨物ターミナル駅が現れる。先ほど乗った単行の気動車も休憩している。国鉄時代の古い気動車も現役で活躍しているようだ。

image3  03.倉敷貨物ターミナルは気動車のたまり場

このまま進めば川鉄構内に入ってしまうので一旦道を北に進み、次の交差点で国道430号を西に向かう。水島はコンビナートの優等生として誕生した大工業地域で、高梁川の豊かな水、広くフラットな土地、比較的固い海底地層に恵まれている。このため川鉄、東京製綱、新日石、三菱化学、旭化成ケミカルズ、ジャパンエナジー、三菱自動車などの大規模な工場群が出現した。高梁川の対岸の玉島地区にもクラレ、住重などの工場が展開している。山陽筋からはその間の小高い山に遮られて水島は見えない。川鉄の正門に当たる北門は半端な大きさでは無い。まるで高速道路の本線料金所のような幅である。

image4 04.川鉄正門はデカい

国道は工場群から離れ遊水地の北側を高梁川左岸に向かって行く。遊水地の上を川鉄の敷地に向かって新しい橋の工事をやっている。こんな所に橋を建設するとは何故といぶかって通過する。これは高梁川の堤防に上がって原因が判明する。

image5 05.新しい道が工事中

前回と全く同じ経路で同じ堤防に上がると、景色が一変している。ゼロキロポスト位置と形は変わっていないが、500mほど下流の半ば海のような所に橋脚が林立している。なんと1300mほどもある広い河口に橋を建設中である。しかも道路管理者では無く港湾部署が建設しているのである。直ぐ上流に水島大橋が有るのに巨費を要する橋を建設するとはもったいない!日本は予算の使用法を間違えているのではないだろうか。港にお金を使う所が無くなると手を広げて本来とは異なる部署にお金を使う。

image6  06.こんな所に橋を架けるとは

image7 07.半ば海に橋脚がズラリと

image8 08.ゼロキロポストの下流に橋が出来る

ゼロキロポスト付近の川幅は1km以上も有り、この川幅は吉野川とほぼ同じで、横綱クラスで中国地方では一番であろう。

左岸(東側)の堤防の上を北に向かう。堤防下の狭い河川敷は真新しいコンクリートに覆われ5年前とは景色が変わっている。漁船の船溜まりも出来ている。直ぐ北側に架かっていた新日石のパイプラインの長い橋が跡形も無く無くなっている。浦島太郎のような心持で道を進む。今日は快晴の土曜日で大勢の人が魚釣りを楽しんでいる。今が旬のママカリ釣りであろう。

image9 09.5年前とは景色が違う!

今や最初の橋となった水島大橋に着く。1974年に完成したこの橋も旭川の岡南大橋と同じく県の有料道路橋として整備された。水島と玉島を結ぶ道路として「水玉道路」として開通した。直ぐ西には玉島と金光を結ぶ道路も計画されたがこちらは「○○道路」となってしまうのだが。

5年前には◎として評価したが河川敷から箱桁の下を見ると点錆が多く発錆している。やや厳しいが△とする。河口部の橋は強風時に海からの海塩粒子を受け錆びやすくなっている。特にフランジの下は粒子を受けやすくまた雨粒が当たらないので錆が出やすい。岡山は海が南側に有るのでまだましである。冬の北の季節風をまともに受ける日本海沿いは深刻である。海沿いの橋は定期的に真水を桁にかけて海塩粒子を除いてやれば良いのだが・・。中古の台船に伸縮できる塔を立て、真水を台船に入れて橋の下から放水してやれば良いのだが・・。

image10  10.水島大橋も海塩粒子の影響を受けている

やがて河川敷が広くなりゴルフ場が現れる。岡山3大河川の何れにも下流部には河川敷ゴルフ場が有り、ここも南北に細長くコースが設定されている。今日は快晴無風の絶好のコンデションでスコアの悪さを天候のせいにはできない。今日はコンペが有るのか次から次と組が通過して行く。ゴルフをしなくなって8年にもなってしまった。

image11 11.無風快晴、今日は絶好のゴルフ日和

ゴルフ場が尽きると旧国道2号線(現国道429号)の霞橋が姿を見せる。下流側に新橋、上流側に旧橋が並び、旧橋は自歩道橋になっている。大学生の時の車での九州旅行で通過したころはこの旧橋だけで大型車のすれ違いが困難な橋で、これが2号線の橋かと驚いたものである。橋の東側は国道429号と430号の複雑な立体交差構造になっている。

倉敷地区と水島地区とを隔てる山が川に迫り出す所では国道に面して大きなお地蔵さんがこちらを見つめ、土手下には色鮮やかな瀟洒な家が建ち、そのアンバランスさにカシャ。

image12  12.かつてはこの橋が2号線であった

image13 13.モダンな色使いの瀟洒な家

堤防の国道に歩道が無いので土手下の河川敷の砂利道に降りる。国道2号線の高梁川大橋を潜るとやっと河川敷公園となり、歩きやすい道となる。足阿知の住宅地域なので河川敷も整備されている。岡山の3大河川は他の地域と比べ河川敷の整備がよろしくない。

山陽本線の橋梁まで来ると河川敷の公園も終わる。5年前には架け替えられた真っ新な橋は状態は良い。大きな2本の主桁の間に横桁を中間に張り渡し、複線のレールと縦桁がこの横桁に乗る最新の形式である。すっきりとした姿と、レールが主桁の中間部に有るため音が直接外に出ないため騒音も低い。

image14  14.JR山陽線高梁川橋梁

image15 15.2主桁の間に線路が填まっている

やがて西阿知と対岸の船穂を繋ぐ新船穂橋に到着し、今日の遡行はここまでとする。次の公共交通利用可能なのは10km以上先になるのでここまでとする。前回もここで西阿知駅に向かったので全く同じ工程である。12時前にJR西阿知駅に到着する。朝飯前ならぬ昼飯前である。

image16 16.今日はここまでとする

今日の歩行距離:11.6km。再調査した橋の数:6。

総歩行距離:7,638.4km。総再調査橋数:90。

使用した1/25,000地形図:「玉島」(岡山及丸亀5号-2)