徳島4-2.赤松川 平成26年4月9日(水)晴れ
再び阿波に向かい、坂出で一旦下車して割引切符を購入して徳島に向かう。いつも乗る特急が今日は空いている。週半ばはビジネス客が少ないせいなのだろう。徳島で車掌に話をすると、「そうですね、今日は空いていましたね」。徳バスに乗り那賀川に向かう。今日は那賀川の支流の赤松川、明日は紅葉川を目指す。赤松川は旧相生町の南西端から東に流れ、一旦旧日和佐町に入り、途中で北に流れを変え再び相生町に入り、川口で本流に合流する延長22キロ余りの川である。
徳バスの終点川口で下車し合流点に向かう。那賀川の渓谷は山桜が咲き春爛漫である。今日は快晴であるが黄砂の影響か空気が澱んでいる。本流遡行時に渡った橋を再び渡り赤松川遡行を始める。
川口と日和佐を結ぶ県道19号には南部バスが5往復のバスを走らせている。ほぼ改良の終えた県道を南に向かう。気温がどんどん上がり薄着にして歩く。屈曲する川を避け短縮するトンネルが口を開けている彼方に鯉のぼりが見える。今年のお初の鯉のぼりである。当方は屈曲部に橋が有るのでトンネルを避け川沿いの旧道に向かう。大きく回り込んだ道を進み屈曲の先端で相生町から日和佐町に入る。
トンネルの反対側の県道に合流する地点に来ると、河岸段丘上の田には全て水が張られ田起こしの最中である。既に早々と田植えの終えた田もある。この辺りは早場米の地域なのだろう。田起こし作業の機械で濁らされた水が一部川に入り川の透明度が下がっている。今日の空と同じ状況である。
県道の舗装の打ち継ぎ目の僅かな隙間からはスミレが顔を出し、一列に並んで清楚な花が競っている。東側の山裾には「義民 要左衛門の碑」なる碑が建っている。先日の伊予に続いての義民碑である。かつては嘆願、意見を言うのは死を賭しての行為で、村のため人のためこれを実行した人は凄い!安易に従軍慰安婦や南京問題を取り上げた相当な地位の人たちは死罪ものである。
県道番号標識の下の地名欄に「美波町 阿地屋」と有る。伴淳さんにご登場願って言ってもらおう。「アジャパー」。
やがて県道はそのまま南の峠に、川は南からの流れが西からの流れとなる地点で県道を離れる。西に向かう川の両側に道があるが、往路は左岸側の町道を進むことにする。段丘上の田は何れも田起こしの真っ最中で耕運機のエンジン音が渓谷に鳴り響いている。田に水が入ったので蛙も負けじと鳴いている。空ではトンビ、烏、鶯などが鳴き、その賑やかなこと!1車線の道端の桜も満開で春を満喫しながら歩く。道の両側の庭木が大きく育ち、片方が反対側に迫り出し両者が合体したような状態の門を潜る。何とも気になる門である。
落花盛んな桜の花びらが川面一杯に広がり、桜色の薄い絨毯が敷かれた状態になっている。川の両側に有った道が1本となり県道290号を進む。広かった谷間も徐々に狭まる。
日浦地区の橋はお化粧直しの真っ最中である。最近は市町村管理の橋も交付金制度の拡充のせいかリニューアル工事が行われているのに良く出会う。
川又地区で川は二方向からの流れとなり、県道もここまでなのでUターンして東に向かう。帰路は右岸側の県道を歩くことにする。道端の石垣の上のつつじが見事な花を咲かせている。隙間なく花が咲き桜は当然良いけれど、ツツジも好いもんだ。
再び県道19号に合流する寺野で川口に向かう南部バスを待つ。30分ボサーと待ちやって来た南部バスに乗り川口に向かう。川口から予定していた上流に向かうバスが4月からはダイヤが変わり40分以上待つことになるので、今宵の宿の紅葉川温泉まで2kmの道を歩くことにする。前回歩いた国道を再度歩き道の駅併設の温泉に向かう。
本日の歩行距離:17.2km。調査した橋の数:10。
総歩行距離:7,020.6km。総調査橋数:10,708。
使用した1/25,000地形図:「桜谷」(剣山10号-1)
徳島4-3.紅葉川 平成26年4月10日(木)晴れ
今日も快晴!時間が有るのでゆったりと朝を過ごす。8時半に道の駅併設の日帰り温泉の宿を出る。直ぐ横が紅葉川が本流に合流する地点で川はダム湖に注いでいる。川名も道の駅名も温泉名も全て紅葉で、春爛漫の季節には馴染まない。国道の橋を渡り直ぐの紅葉川沿いの県道292号に入る。
500mほど歩くと県道の拡幅改良工事が行われており、車は1時間に10分だけの通行可で四国のどこでも実施されている時間パターンである。当方は歩行者なのでなんとか通過できる。上流側は改良済みで山側には高く擁壁と法面工が施工されている。
車が通過しないもみじ川渓谷に入る。今日の川は昨日の赤松川と異なり透明度の高い水が流れている。こちらの谷間の方は田圃が少ないのであろう。この川は旧相生町の北西端から南東に流れる13キロ余りの川である。水量は昨日の川に劣るが水質は抜群である。
人家の少ないこの渓谷にも1日2便の町営バスが通っている。これを頼りにこの川を歩くことにした。曲がりくねった渓谷を進むと突然バンガローの建物群が現れる。那賀町のパンフには記載されていない施設で、辺鄙な所に有るので本物かどうか確認するため頬っぺたをつねると痛い。
直ぐの民家の石垣の上にミツマタのホンマものの花が咲いている。なかなか綺麗な色取りの清楚な花である。この樹肌が1万円札に化けるのですぞ。
請ノ谷地区にやって来ると東側の川の合流点になかなか味わいのある社と樹木が混然と融合した神社が現れる。天神さんとのことである。神社の入口でとうせんぼをするかのように佇む樹がなんとも良い。
昨日の歩き方が悪かったのか左足の足裏に豆が出来たようで歩きづらくなってくる。
少し谷間が広がると川沿いに等高線に沿って細長―い棚田が伸びている。今時これだけの石積みをするとすれば途方もない時間と労力が必要であろう。昔の人は生活のため根気よく石を築いてきたのだ。対岸に渡る橋の桁の上部には蜂の巣が付いている。これまでも何度か見つけてきた蜂の巣であるが、橋の管理の程度が分かる。蜂の巣はつつきたくないのだろう。
やがて東から県道291号が合流し、西納地区に入る。予定では町営バスの終点の養鱒場前まで歩くつもりであったが、ビッコを引きながらの歩きは体には良くなく、丁度昼前の平野廻りのバスがやって来る時刻なのでここを潮時とする。最近は設計変更が多くなってきた。町営バスの車庫がここに有るようでバス停前には万屋もある。婆さんとお話をしながらバスを待っていると件のバスがやって来て乗車。直ぐ東のミニ峠を越え平野地区の満開の桜を車窓に見ながら旧相生町役場前まで下って行く。直ぐに徳島行き徳バスがやって来て帰路につく。宿で作ってもらったおにぎりだけの質素な昼を摂ることにする。初めは当方だけであったが、那賀高校前からどっと帰校する高校生が乗り込み満杯となる。満員の中で飯だけのお握りを隠れながら食べる。徳島まで2時間の長いバス旅である。あと2回は那賀川の支流歩きが待っている。
本日の歩行距離:7.3km。調査した橋の数:9。
総歩行距離:7,027.9km。総調査橋数:10,717。
使用した1/25,000地形図:「桜谷」(剣山10号-1)