広島―1.芦田川(その2) 平成23713日(水)晴れ

昨日は久しぶりに最高気温が30度未満の涼しい一日であったが、今朝は快晴、湿度も低く爽やかな天候である。朝早く出かけ先日の終了点、草戸バス停に降り立ち遡行開始。左岸の土手下をルンルン気分で歩き始めたが、気温の上昇とともに気分が萎えてくる。最近完成した「法音寺橋」の広い歩道の橋脚上の小広場には、かつてこの付近にあった草戸千軒遺跡の説明板があった。

image1 01.橋の広場にある草戸千軒遺跡の説明

右岸の土手上の狭い道を車に脅かされながら歩き、明王院と草戸稲荷の前を通り過ぎる。明王院の国宝の五重塔と本堂は鬱蒼と茂った木々に隠れ、草戸稲荷の入口には鮮やかな朱色の2連の太鼓橋が目立つ。これらの社寺は中世の草戸千軒の経済が盛んだった証のような存在である。

image2 02.木々に隠れた明王院

image3 03.草戸稲荷と太鼓橋

国道2号線の「神島橋」に来ると、かつて尾道から建設省福山工事事務所(現;福山河川国道事務所)の所長との打ち合わせにこの橋を度々通ったことを想い出す。

image4 04.国道2号線神島橋

橋の上下左右を調べ、再び左岸の河川敷を歩き山陽本線、山陽新幹線を下から見上げ日本の動脈が集中している地点を通過する。河口堰による広い水面が無くなりごく普通の川になった所に、桁はスリムでスレンダーなのに橋脚がやたらに太い市道橋に巡り会う。上部工は暫定2車線で将来拡幅する予定で、橋脚は完成形で施工しているので、上下のバランスが良くないせいもあるが肥満体である。

image5 05.上半身はスリムなのに下半身が・・

ここでも上下左右と見て右岸の河川敷を歩く。福山河川道路事務所の現地出張所の管理境界標と、直ぐ近くにあった水位観測塔の柱に警戒水位などが記入された物を見つけ写真に収める。

image6 06.内輪の管理境界標

image7 07.水位観測塔の水位表示

山陽道の桁の下フランジの塗装の剝がれに愕然とし、今日も暑さがこたえるので歩きは午前中とし、福塩線の横尾駅に向かう。駅の手前で芦田川に合流する「高屋川」の橋を渡る。高屋川は岡山県から唯一他県に流れ出る川で、昨年の春に三大河川以外の川の最後の川として、井原市内を上流から下流の広島県境まで歩いた川で、再度本流への合流部付近で再会することになった。

image8 08.2年ぶりの高屋川に下流で再会

かつての山陽道は今の2号線や山陽本線のルートではなく、もっと北側の高梁川の大きな支流「小田川」とこの高屋川沿いにあり、両川の境は標高も低くフラットな地形である。川を最大限利用できるルートが本道だったようである。

旧国鉄らしくない私鉄の雰囲気の漂う福塩線の横尾駅で30分余り待ち、2両編成のワンマンカーに乗り込みクーラーの有り難さを実感し帰路につく。

今日の歩行距離:9.2km。調査した橋の数:7。

累計歩行距離:210.0km。累計調査橋数:205。

使用した1/25,000地形図:「福山西部」(岡山及丸亀10号-3)、「新市」(岡山及丸亀9号-4)

 

広島―1.芦田川(その3) 平成23716日(土)晴れ

朝7時30分、大勢の高校生と福塩線横尾駅に降り立つ。こんな時間に登校とはサマータイム制を採っているのだろうか。駅近くの狭い国道の端を歩き、高屋川を渡り芦田川左岸の土手下を進む。川はこの辺りで南北方向から東西方向に大きく回り込む。

土手に上がると左岸の広い河川敷には本格的なゴルフコースが広がっている。ゴルフ場の途中に対岸に渡る沈下橋があり、右岸側に渡る。橋の際に川越の160ヤードのショートホールがある。池越えはいくらでもあるが川越のコースは珍しく、ここは埼玉県ではないよナー。

image9  01.本格的なゴルフ場が

image10 02.珍しい川越のショートホール

川の屈曲部にせり出した山の麓の森の中の今日唯一の日陰の中を西の方向に歩く。ここから府中までは芦田川の第二の平野で、河口付近の南北方向の平野よりも広い。福塩線はこの平野の外周付近を大きく迂回しながら線路が引かれ、福山、府中間は電化され、駅が数多くある都市近郊路線であるが、府中~塩町間は一日に8本の気動車が走る完全なローカル線である。国鉄全線乗りつぶしで数十年前に乗って以来の線区である。かつては全線を通しで走る列車も有ったが、今は府中で乗り換えとなっている。広島の可部線も類似した線区である。

川の両岸の土手の上は狭い道路で、見通しが良いので車が速度を落とさずに脇をすり抜けて行く。運転手に一度歩行者になってこの感覚を体験させれば、少しは速度を落として走るのだが・・。土手に頼る道路行政はやめてほしい。

この辺りは沈下橋が数多くあり、長い物は45径間もあり、径間数を数えるのも難しい。また、コンクリートゲルバー桁も続き、簡素な橋が多い。

image11  03.長い沈下橋

image12 04.これがゲルバーコンクリート橋

南北から山が近づいた所で福山市から芦品郡新市町に入る。ここも平成の大合併で福山市に編入された地域で、町域は芦田川の支流「神谷川」沿いの南北に細長い町である。神谷川が本流に合流する手前に国と県との管理境界標があった。芦田川は国の管理区間が岡山の川に比べて長いようだ。

image13 05.神谷川の国と県の管理境界標

13キロほど歩いて新市駅に着く。上り電車まで45分ほどあり、下りが10分後に出るので、暑い駅よりもクーラーの効いた電車の方が良いので下りに乗り込む。今回の芦田川遡行では「岡山・尾道お出かけパス」(1,800円)を使用しており、府中までは乗り降りOKなので活用することにする。

府中駅で一旦下車し、マンホールを探すが府中市も福山市と同じで、つまらない個性の無い幾何模様の蓋なので写真はパス。広島県は広島といい、尾道といいつまらない蓋が多い。県毎にデザインに対する意識に差があるようだ。

再び府中から福山行きに乗り込むと反対側に三次行きの単行気動車が停車している。次回以降はこの列車に乗って奥に向かうことになる。今日は横尾駅から新市駅まで福塩線の9駅分を歩いたことになる。いかに福塩線の駅の間隔が短いことか。

image14  06.府中駅の福山行き電車と三次行き気動車

 

本日の歩行距離:13.0km。調査した橋の数:11。

累計歩行距離:223.0km。累計調査橋数:216。

使用した1/25,000地形図:「新市」(岡山及丸亀9号-4)