兵庫-2.揖保川(その1)平成23年12月15日(木)晴れ 

1月10日まで有効な青春18切符を有効に利用するため、千種川の支流の遡行は後回しにして庭瀬から片道1150円以上の運賃になる相生以東の川を目指す。播磨2番目の川として「揖保川」を歩くこととし、網干駅に向かうが吉井川、金剛川の川霧で電車は10分程度遅れる。新快速や快速の始発駅にもなっている京阪神の住民には馴染みのある駅名である網干駅は、名前の割には駅前は寂しくそっけない。駅南側の神姫バス停から乗車し3km南の山電網干に向う。かつて鉄道めぐりで訪れたことのある山陽電鉄網干駅の行き止まりホームには見慣れた電車が止まっている。
揖保川は延長70km、流域面積810km2の1級河川であるが、下流部で中川が分流しており、今日は両方の川を一筆書きで歩くためクイズをしているような感覚になる。先ず駅近くの本流の網干大橋を渡り河口に向かい、河口の網干臨海大橋を渡って西側の中川の最下流の橋を目指す。
国道250号の網干大橋は複雑な構造で、通行車両の増大と歩行者道の分離に伴い拡幅が繰り返された。河口側の外桁には歩道を追加するためにブラケットが取り付けられている。当初の桁の設計時に予め見込んでいたのか、余裕があったから可能であるが、見込んでいなかったのならば悪く言えば過大設計である。

image1 01.網干大橋は構造が複雑

image2 02.河口側の歩道はブラケットで張出追加施工

揖保川の河口部は中川と分かれているせいもあるが、千種川と比べると幅も狭く貧弱な様相をしている。両岸には漁船やプレジャーボートも舫われている。葦も広がり素朴な景色が続く。河口の老人ホームの前に川と海の境界を表す標識が海に向かって立っている。目の前には長くスマートな網干臨海大橋が横切っている。加古川から続く播磨工業地帯の西端が網干で、臨海部には多くの長い橋がある。かつて県から委託を受け、近くの広畑地区に計画された長大斜張橋の委員会検討業務を京大の松本先生を委員長にお願いして実施したことが思い出される。

image3 03.葦が広がる河口部

image4 04.川と海の管理境界標識

image5   05.河口の網干臨海大橋は長い箱桁橋

長い臨海大橋を渡り、日本触媒、西芝電気などの埋め立て地の工場を見やりながら中川の河口部の橋を目指す。工場群のはずれに広い大きな寺が過去にタイムスリップしたかのように広がっている。西播の名刹、臨済宗妙心寺派の龍門寺である。

image6 06.中川河口近くの龍門寺境内は広い

中川と本流の間の道を北上し本流に架かる八十大橋を渡る。この橋は播州の首都姫路から外港である室津港を結ぶ街道の橋で、親柱にはかつて土手沿いにあった千本松と高瀬舟がレリーフされ、高欄には大名行列もある。
本流の左岸を進み王子橋を渡れば揖保川町(現:たつの市)になる。橋の真下で本流と中川が分かれているが、可動堰も無く中川は流れが細い。姫路市のマンホールはつまらない絵柄でパスしてきたが、旧:揖保川町のはユニークなのでカシャ。

image7  07.揖保川(左)と中川(右)の分流部

image8 08.旧:揖保川町マンホール

右岸の県道は左が山、右は細い支流が灌木に覆われ薄暗い。右側の支流には車から投げ捨てられた多くのごみが散乱し、今までの遡行では見たことも無いひどい状況で、通行者のひどさと道路と河川の管理者の怠慢が際立つ。倉敷でも見られたが工場群を目指す道路の状況は悪い。揖保川には他の1級河川に見られるキロポストも無く、川の状況も2級河川と変わらずこれが国が管理する川かと疑問を感じる。
新幹線、山陽本線、2号線と動脈の橋を診て、竜野駅に向かう。踏切で通過列車を待っていると、最新形式のモハ225系が横切る。正面のブラックフェイスと側窓が大きくなっているのが特徴である。旧龍野市には無く揖保川町にある竜野駅に到着。旧龍野市と揖保川町、新宮町が合併してできた市の名前は「たつの市」。たつの、竜野、龍野と使い分けがややこしい。

image9  09.最新のモハ225系が竜野駅を発車

今日の歩行距離:13.5km。調査した橋の数:13。
累計歩行距離:881.5km。累計調査橋数:1,304。
使用した1/25,000地形図:「網干」(姫路8号-3)