一昨日と同じダイヤの列車を乗り継ぎ智頭急に乗ると、車内に季節物の杉玉がぶら下がっている。智頭は杉の名産地で新酒が出来たことを知らせる杉玉をぶら下げ12月の到来を知らせている。
智頭急佐用駅に降り立ち、駅前の佐用町役場に向かいコミバスを始業時刻前で電気が消えている庁舎内で待つ。駅名は「さよ」と読むのに、町名、郡名、河川名は「さよう」と読んでいる疑問を感じ、開庁準備中の職員に尋ねると「さあー?」との返事。帰宅後調べると、本来は「さよちょう」と駅名と同じ読みであったが、昭和30年の町村合併時に旧町名との区別をつけるため「さようちょう」と読みを変更したらしく、これにつられて郡、川も右に倣えとなったようだ。町内には「佐用都比売(さよつひめ)神社」があり、本来の地名の基となっている。駅名を変えなかった旧国鉄の毅然とした姿勢が両者の差になった。
先日の折り返し点の横坂バス停で降り遡行開始。今日は冬本番となり県道脇の気温表示は4度。二つ先のコミバス終点の船越は真言宗の古刹「瑠璃寺」別名「南光院」の参道入り口で、大きな絵馬が迎えてくれる。院の名前が旧南光町の名前の基になっている。由緒ある古い地名が無くなったり、変化するのはさびしい。
谷が狭まるとやがて長細い南光町から旧:千種町(現:宍粟市千種)に入る。直ぐに道の駅が現れ立ち寄るが、食堂は開店準備中で食事をここでと予定していたが諦める。トイレを除くと最新式のウオシュレット付なので試に利用する。
谷間が少し広くなった県道脇に岡山でよく見かける「一里堂」が佇んでいる。江戸時代の街道には一里毎にこのようなお堂があったようで、今では希少である。東側の山腹では2年前の大雨で崩れた山腹の復旧工事がなされ、完成したところもある。
千種町の中心に近づくと西北方向の岡山県境の山には雪雲がかかり、山にはうっすらと雪が積もっている。今年の1月には雪に輝く岡山県の最高峰「後山」を見上げたが、その後山の前山が見えている。
今日は寒いのでコンビニのおにぎりを食べる気がせず、温かい食事がしたいのでコンビニで教えてもらった街中の食堂にたどり着くとお休み。止む無く街中の狭い道路を歩いていると万屋があるので立ち寄ると、お弁当が出来上がったところだとのこと。450円の熱々のごはんの入った弁当を持って、教えてもらった近くの神姫バスの車庫に行き、車庫前のベンチで昼を取る。
標高350mの千草でこの寒さだと、今日目指している上流の西河内は550mもあり、厳冬期の服装をしていないのと、寝不足とで無理をするのを止め丁度山崎行きの時間となったのでバスに乗り、今日の遡行はここまでとする。ここの町の中心部の地名が「千草」。ここにも異字同音の組み合わせがある。多分、元は千草なのではないだろうか?
これからは神姫バスに乗ることが多くなるので、ICカードを車内で買おうとすると山崎の営業所で買ってくれとのこと。50分かかって揖保川沿いの山崎で買おうとすると、対応のまずい係員とやりとりしてやっと購入する。他のバスでは車内で買えたのに神姫バスは辛気臭いことをさせる。バス待ちで近くをうろつきマンホールを見つけカシャ。川魚と花の組み合わせの良くある絵柄である。
1時間待って龍野、網干方面行きのバスに乗り込む。次の播磨の大河「揖保川」の下見となるバスで川沿いに南に向かう。JR網干駅前で降り帰路につくが、大きく迂回しないと戻れない千種川の上流部は難物である。
今日の歩行距離:10.1km。調査した橋の数:13。
累計歩行距離:858.3km。累計調査橋数:1,273。
使用した1/25,000地形図:「千草」(姫路10号-1)
兵庫-1.千種川(その6)平成23年12月12日(月)曇時々晴れ
JR網干駅から山崎、斉木口とバスを乗り継いで千種にたどり着いたのが12時過ぎ。岡山から一番早いルートで到着がこの時間。本来なら佐用駅から初便の佐用コミバスで終点の横坂に行き、山崎から千種に向かう神姫バスに乗りたいのであるが、神姫バスは5分前に先行し横坂では接続待ちをしてくれない。かつては神姫バスが運行していた路線なのであるから、コミバスとの接続を考慮してもいいと思うのだが・・・。山崎からは千草に直行するバスがあるが、待ち時間が1時間以上になるため、10分後に出る揖保川の上流部の原行きに乗り、斉木口で5分後にやってくる山崎行きに乗り換えるルートを見つけた。斉木口のバス停の目の前の国道29号に旧波賀町のマンホールがあったのでカシャ。
乗り換えたバスは、貸切状態で揖保川から千種川の間の山道を登り、最近完成した長いトンネルを越え、千種川水系を下る。神姫バスのICカードは普通と徳用の二つの機能が併用できる優れもので、9時から16時までの利用では徳用を利用し、これ以外の時間帯では普通を利用するとお得である。普通はチャージした時に1割増しの金額がチャージされ、徳用では3割増しとなる。これからの遡行では兵庫県の過半を網羅する神姫バスを利用するのでこれを逃すわけにはいかない。車内で徳用もチャージしておく。普通のICカードは運賃そのものを割り引くが、神姫の「ニコパ」は入金その物を割増す方式である。バスの機械にタッチすると、普通と徳用の二つの残金が表示される。1時間以内の乗継であれば1回だけであるが80円引きともなる。
千種のバス車庫で先日と同じベンチに座り、庭瀬駅で買っておいたおにぎりを食べ、プロローグの長かった最後の遡行に出発。直ぐの笛石橋の親柱には笛石山(H=894m)が描かれ、ふと見上げれば本人が見下ろしている。
道は少しずつ勾配がきつくなり、標高も400mを超える。県道脇には久しぶりのミニ滝が迎えてくれる。更に進むと大きな石造りの観音様が道路を見下ろしている。交通安全を祈念して建立されたようである。
左からの渓谷が現れると後山(H=1,344m)の登山道の入口となり、信仰と修行の山を示す像や解説板が並んでいる。
川井地区で川は千草川と河内川が合流する。河内川は三室山(H=1,358m)の麓から南に流れ、千種川は、岡山、鳥取、兵庫の三県境の麓から南東方向に流れ、ここで一緒になる。道を左にとり本流沿いを歩く。ケーブル以外は全て木製の鄙びた吊橋が本流に架かっている。西の彼方には雲間から後山が姿を見せている。岡山の東粟倉から見た時の姿の神々しさは見られず、信仰の山の姿としては岡山側がふさわしい。
道はますますきつくなり、西河内の広い谷間と多くの集落が現れる。路線バスがこんな山奥に今も残っている理由が分かった。道の奥に大きな学校の講堂のような建物がある。近くのおばさんに聞くと地域の公民館とのことで、規模が大きい。
バスの起点である西河内を過ぎ海抜600m近い、ちくさ高原入口の木地山の県道の橋を調べた所で打ち止めとし、Uターンすると眼下の谷間の向こうの山が視線の先に見える。帰りもバスの乗継で姫路に出る。
今日の歩行距離:9.7km。調査した橋の数:18。
累計歩行距離:868.0km。累計調査橋数:1,291。
使用した1/25,000地形図:「千種」(姫路10号-1)、「西河内」(姫路9号-2)