岡山-1.旭 川(その7)平成26年10月19日(日)快晴
今日も快晴、空気が美味い!岡山駅前から中鉄高速バスに乗り落合に向かう。先日の帰りに車内で買った往復券の復券を利用する。落合まで片道1,970円であるが、往復券を買えば往復2,300円で片道では1,150円と大幅な割引率の優れものである。しかも有効7日と至れり尽くせりである。これではだれも岡山から勝山、久世、落合方面に向かうのに大回りで時間のかかるJRは利用しない。
バスは岡山道、中国道と通り落合ICで一般道に降りる。ICから直ぐの落合高校前で下車する。バス停名が真庭高校落合高地前なる長―い名前に変わっている。真庭市誕生に伴い高校も合併した結果である。それにしても「・・・高地」とは聞き慣れない新造語である。ゼロメートル地区でもこう名付けるのだろうか?
前回の折返し点の旦土から暫くは橋が無いので、次の橋のある野原地区まで下流側に歩く。県道脇の気温表示装置は16度を示している。暑くも無く寒くも無く絶好の気温である。こういう時に宮沢賢治はどう言うだろうか?
2kmほど歩いて間瀬橋を見てUターンし、県道を再び上流に向かう。不便になったものだ。北からの流れが西からと90度変針し、東からは「河内川」が合流する。直ぐに本流は西からの流れが90度変針し北からの流れに戻る。この変針点に西から大きな支流である「備中川」が合流する。この合流点の地名があのメジャーな名前の「落合」である。合併前の町名でもあった本家本元の落合である。
高地前に戻り、備中川沿いにやって来た国道313号が本流沿いに北に向かうので、ここからは国道との長い付き合いとなる。直ぐに津山からやって来た県道411号の「落合大橋」となる。橋の袂には石燈籠が建ち、高欄には高瀬舟があしらわれている。
続く旧道に架かるトラスの「落合橋」を診る。前回は塗装状態が悪いことから×としていたが△に訂正する。遡行を始めて間もない時で本四での状態から見て余りにもの悪い状態から×としたが、その後数多くの橋を見て来たことから×では厳しいので△とした。今は×に近い△とする。国道沿いの広場で舟型の屋台が引き出され祭りの準備が行われている。落合祭りは明後日の21日行われる予定である。旭川の落合、さすがの舟屋台である。
中国道を潜ると国道313号は南北方向の真っ直ぐな道となる。地図で調べると7km以上の長さの直線で、北海道も真っ青の長さである。西から山が迫り、国道がほんの少し曲がる地点の山側に「大山みち」なる標識柱が現れる。この道は中国地方最高峰の大山への道なのである。中国地方では山をヤマとは読まず、センと読むことが多い。蒜山はゼンと読む。岡山では村を「ソン」と読む。土佐、伊予の大きな山は「○○森」と表記する。遡行を続けていると勉強になるなー。
「福田大橋」に向かう交差点の南東角に新しいお地蔵さんが建っている。5年前には無かったのでその間に交差点で交通事故が有り、無くなった人の遺族が建立されたのであろう。合掌。
真っ直ぐな国道の左側の歩道を北に進む。今が熟れごろの葉を落とした柿の鈴なりの実が青空に映える。春の桜も青空に映えるが、葉の無い柿も好い物だ。着ていた衣装を全て落として、早く食べてと言っているように見える。
やがて旧落合町から旧久世町に入ったのが直ぐ分かる。それまで無かったマンホールが現れる。絵柄は久世祭りのだんじりである。こちらは25日、26日に開催され、明日からは更に上流の落合の祭りが始まり、この1週間は旧3町の祭りが続く。直ぐのバス停には乗って来た中鉄高速バスと先日乗ったさくらバス、そして真庭市営の「まにわくん」と3者の時刻表が付いている。3者のバス路線は誠に珍しい。
国道が少し左に曲がる交差点で国道と別れ、川に向かう。市道の北側には今や真庭高校久世高地と名前の変わった久世高校が広がる。
旭川右岸の堤防を歩く。川は少しずつ方向を西に変えていく。「いずみ橋」を渡り左岸側に向かうと、向こうに新しい真庭市役所の大きな建物が広がる。4階建ての単純な家屋構造の市役所で、余計な装飾は一切無い。
橋を渡った突き当りが国道181号で、県北を東西に走る幹線国道である。国道を左折し市役所正面に向かう。5年前には完成間近かの状態であったが、今は広い広場を正面に持った堂々たる姿で完成している。市役所正面がバス乗り場で、瀟洒な待合室も設置されている。9町村が合併した真庭市はこれらの旧町村との公共交通の確保と利便性向上が大事なのが良く分かる。
広場の外周部には9本の木製の柱とこれらを繋ぐ回廊が目立つ。この柱はどこかで見た物に似ていると思ったが、そうだ金沢駅前の姿に似ている。回廊にはこの回廊の解説柱が有った。平成の大合併で9もの町村が一緒になったのは此処だけではなかろうか。郡名を摂った市名である。長い旭川の半分はこの真庭市を流れているのだ。140kmもある旭川本流は岡山市、美咲町、真庭市の3市町だけなのである。
瀟洒なバス待合室にはまにわくんの路線図と時刻表が分かりやすく表示され、遡行する者としては誠に有り難いバス路線である。このバスと言い、林業再生のための努力と言い地方再生の星と言っていい自治体である。この待合室などには木材を方向を変えて接合する複層材が使われ、この複層材を市内の会社が早くから開発、製造している。欧州では高層ビルにも使用されている複層材である。間伐材などのチップを利用した発電所の建設、ストーブ、ボイラーの開発など森林と林業の再生に先頭を切って頑張っている。里山資本主義にも紹介された市である。頑張れ真庭君!
トイレを借用し、歩きを続ける。前回も見た旧遷喬尋常小学校の校舎が秋空をバックに堂々と自慢げにこちらを向いている。一度見たら忘れられないユニークな建物である。建物は国の指定重要文化財である。
国道から次の橋を見るため街中の道に入る。東西に長く連なる商店街の店先には久世祭りのポスターが貼られている。もうそこし日にちをずらせば祭りが見られたのに残念。
小さな川を渡る橋の横に大きな黒松が聳えている。巨大な黒松の1本松である。こちらは市指定の文化財で天然記念物である。黒松も青空をバックに、どうだと言わんばかりに胸を張って立っている。
直ぐ近くの商店の店先に柿が有ったので、先ほどの姿を想い出してお買い上げ。2個で140円とお値打ちで、帰って早速食すると上品な穏やかな甘さの柿であった。柿の名は「久世西条柿」である。
「中川橋」を診て久世駅に向かう。ここから高速バスに乗れば往復券の使用が出来そうにも無いのと、やがて新見行きがやってくる時刻なので、誰も利用しないJR利用で帰路につくことにした。かつて何度も乗ったさくらバスの起終点がこの久世駅である。
本日の歩行距離:11.0km。再調査した橋の数:9。
総歩行距離:7,537.1km。総再調査橋数:44。
使用した1/25,000地形図:「久世」(高梁2号-4)、「勝山」(高梁6号-2)