高知-2.四万十川(その11 平成25年12月5日(木)快晴

朝6時半過ぎに朝飯を作ってもらう。質素ではあるが数多くの野菜料理が付いた1泊2食で6千円。昨夜は民宿のおばさん達と話が弾みお燗2本はサービスとのことである。次の梼原川遡行時に機会が有れば再訪を約して寒さ厳しい早朝のバス停に向かう。7時28分発の須崎行き高知高陵交通バスに乗り込む。このバスも高知県交通の分社化されたバス会社である。7時47分、昨夕寒さに震えていた舟戸に到着。

image1  01.舟戸バス停に到着した高知高陵交通バス

舟戸集落を通り抜け1車線の県道378号を北に向かう。田畑は朝の冷え込みで霜が降り真っ白である。手元のミニ温度計は2度である。細い流れとなったごく普通の川沿いに上流に向かうと朝霜の田の彼方に広い境内の神社が見える。近づくとこちらの社も昨日の神社と同じように雨戸に覆われている。神社名は五社神社。窪川に有った神社と同名である。

image2  02.朝霜の彼方に神社が

image3 03.五社神社も雨対策の雨戸が

渓谷最後の家屋と田畑が尽きると道は急坂になり、どんどん登って行く。いよいよ最上流部に入ったことを足は実感する。県道の奥地で工事が行われているのか大型ダンプ3台が狭い路を登って行く。谷は極端に狭まり両側は急傾斜の山が迫る。杉と桧の森林が続き、途切れた所から西側を見れば不入山の東山腹が川に迫り出し、石灰岩の岩肌も覗かせている。

image4  04.急坂を登り源流点へ向かう

image5 05.不入山東山腹の岩場

山の名前は、この山が森林に覆われ土佐藩の重要な資産であるので、人の立ち入りを禁止したことから名づけられたという。木曽山中の森林に立ち入ると打ち首獄門が待っていたのと同じである。急坂をゆっくりと歩き1時間ほどで源流センターに向う分かれ道にやって来る。小高い所に2名の僧の像が立っている。解説によると室町時代の高僧、名僧の「義堂」と「絶海」とある。2僧はこの津野の出身で将軍足利義満の信任が厚かったとある。2僧は南の里の方向を向いて立っておられる。

image6  06.室町時代の高僧、義堂・絶海はここの生まれ

センターへの道に入り川の方に降りて行く。センターは朝早いのと宿泊客が無いからか閉まっている。更に川に近づくと川向に鍾乳洞(稲葉洞)の入口がぽっかりと口を開けている。真正面に来ると龍の顔が見えると書かれた板がある。龍の顔と言われてもそのようには見えないのだが・・。有名な源流の碑が有る地点はここからまだ1時間半ほど山道を登っていくのだが、ここが自分の決めた遡行限界点なので、ここを最終点として折り返すことにする。

image7  07.か細い川の向こうに稲葉洞が有る

image8 08.鍾乳洞入口が龍に見えるかな?

やって来た急坂を今度はほいほいと下り、3台のダンプとは何度も出会う。舟戸集落の北端の旧小学校跡地に建つ新しい店でお茶休憩を取る。地元名産の源流茶を飲み、気に入ったのでお土産に購入して国道197号に向かう。

帰りのバスまで1時間以上あるので、国道を須崎に向かって歩き道の駅「布施ケ坂」で時間調整をすることにする。手元の地形図とは全く異なるルートに国道は有り、かつての曲がりくねった峠の道は高規格の道となっている。峠のトンネルを越えると四万十川水系から新庄川水系の深い谷間が見える山腹になる。吉野川水系から長いトンネルを越えれば仁淀川水系の雄大な峠の景色が有ったが、これに劣らない絶景である。北側に東西に延びる山脈の稜線には20基もの風力発電の風車が並んでいる。今日は快晴無風で回転休業状態である。

image9  09.布施ケ坂トンネルを抜けると雄大な景色が

image10 10.東西に延びる山頂に20基の風車が立ち並ぶ

道の駅で20分ほど時間調整し、直ぐ近くの棚田の米が売っていたので2kg入りの米を買う。今回も米の買い出し旅となった。須崎寄りのトンネルの名前は「羊腸トンネル」と有る。旧道は曲がりくねった道の連続でその名残を残しておきたいのであろう。

image11  11.道の駅「布施ケ坂」で須崎行きバスを待つ

image12 12.「羊腸」、旧道の凄まじさが伝わる

5分ほど遅れて須崎経由高知行きのバスがやって来て乗車。バスは峠からどんどん下界に下って行く。かつての酷道は今や準ハイウエイである。

須崎駅で次の遡行に備え、岡山自由席トク割回数券(岡山~高知)(4枚)とくろしおS切符(高知~中村)(4枚)を買っておく。前者は45%、後者は25%の割引で、ジパング倶楽部の用紙が残り少なくなったので有り難い。高速バスの有無が割引率の差になっている。

本日の歩行距離:8.5km。調査した橋の数:5。

総歩行距離:6,554.0km。総調査橋数:10,284。

使用した1/25,000地形図:「新田」(高知16号-4)、「王在家」(高知16号-3)