徳島1-3.穴吹川(その2) 平成241122日(木)雨後曇り

朝8時半に穴吹駅から登ってくるバスに乗り込み昨日の折返し点に向かう。今日も貸切状態で昨日歩いた道をバスはゆっくりと登って行く。運転手さんはバスに取り付けた無線で、狭い国道をすれ違う地元のダンプや木材運搬トラックと会話し、お互いの位置を確認しすれ違いの待ち合わせ場所を調整している。いささか関係の無い話も織り交ぜながら見事に運転して行く。車同士が同じ周波数を使用して途中での鉢合わせを避けているのには感心する。昨日の次のバス停である二戸入口で下車する。バス停の前に大きな立て看板が立ち、近づくと木屋平村に伝わる昔話が紙芝居のように書かれている。先ず現れたのはここで合流する二戸谷川の奥の二戸地区に伝わる話である。

image1  01.木屋平村昔話がバス停前に掲げられしばし読む

国道から30m程下の川に架かる橋を調べ、また坂を上がり国道に戻り遡行を開始する。川はここで東西方向から再び南北方向に流れを変える。三ツ木地区に入ると人が歩いているのが珍しいのか犬が盛んに吠えてくれる。歓迎の挨拶と理解して返礼をしておく。川の曲がり角の先の北側の山に今朝降った雨が残っているのか、雨雲が山腹の集落にかかり幻想的な景色が広がっている。

image2  02.歩き人が珍しいのか身を乗り出して吠える犬

image3 03.山峡に雨雲が立ちこめる

東側の対岸の山腹の集落に向かう橋を調べると、親柱に「徳島市へ68キロ」の表示が有る。徳島県の橋によく見かける徳島市までの距離表示であり、他県には無い独特のものである。徳島県は全国でも珍しい1国1藩(阿波藩)でかつそのまま県になった所で、藩主の居た徳島が絶対的な存在である。その名残が橋に現れている。橋の上から上流側を見ると、丁度深い淵が続く所で山水画のような景色が見える。

image4  04.山水画のような景色が開ける

image5 05.一国一藩の阿波での徳島は絶対の存在

再び昔話の紙芝居が現れ、東側の山、東宮山(H=1,090m)に係わる話である。この先でもいくつか現れ遡行に変化を与えてくれる。更に狭くなった渓谷の底に一つだけ周りの岩と違う赤紫色の大きな岩が転がっている。まさに紅一点の岩で相当遠くから流されてきたのであろう。

image6  06.国道沿いに昔話の紙芝居が続く

image7 07.青灰色の岩の間に赤紫の巨岩が

やがて前方の谷間が広がり、木屋平村の中心「川井」地区の集落と学校が小高い丘の上の平地に広がっている。長い川の唯一のまとまった平地が此処である。新しい中学校の校舎の前から後ろを振り返ると、北側の山の上まで民家が点在しているのが雲間から見える。

image8  08.木屋平村の中心川井集落が広がる

image9 09.川井の谷向こうには山の上まで民家が

50m下の谷底の橋まで下り、また急坂を戻り、川井集落の中に入って行く。車1台がようよう通れる集落の中の国道を進むと突然周りの景色にそぐわない大きく立派な建物が現れる。これが旧村役場で現在は支所となっている。玄関前がバス乗り場で、庇の下に丸太のベンチが有るのでここで昼食を摂ることにする。昨夜、この先に食堂か売店が無いか聞くと、それらしきものは無いとのことなので、夕食に出た釜飯を7割ほど残しこれを容器に入れて持ってきたのでこれを昼食とする。コンビニねえー、食堂ねえー、有るのは廃屋と郵便局と農協だけ。オラこんなの嫌だ、嫌だとも言えず遡行を続ける。

image10  10.超狭い国道の先に旧役場が見える

image11 11.こんな山奥に大きな建物が、信じられない

南からの流れが少し西方向に向きを変え、この国道492号と先日歩いた鮎喰川沿いを通り、川井トンネルからこの川井に下ってきた国道438号とが交わる交差点に着く。どちらも1車線の国道で信号機は無い。この木屋平村には信号機は不要である。

image12 12.山奥の国道のジャンクション

350mほどの高度のこの辺りまで来ると谷間は少し広がり、対岸の家の周りには柑橘や茶の樹が多く見られるようになる。

image13 13.川向うの家を柑橘とお茶の樹が囲む

道は再び東西方向となり国道も2車線の区間が続く。地形図を良く見ると、○○地区の対岸に○○カケなる地名が何か所も現れる。このカケは向こうを示しているのかな?帰りのバスの運転手さんに聞くと、それは影の濁点が取れた物で、○○が南向きの集落に対し、対岸は北向きで陽が当たらないので影と呼んでいた、と言われる。ガッテンガッテン。

寺内で川は再び南北方向となり、最後の区間になる。途中の神社に好きな正方形の屋根のある社殿を見つけカシャ。谷底への往復に時間を取られ予定していたバスの起点の川上には間に合わず、少し手前のバス停から市バスに乗る。穴吹駅まで貸切乗車で運転手さんと話をしながら1時間半の乗車である。駅まで1,500円!うーん高い!

image14  14.大好きな正方形の屋根のお社がここにも

 

本日の歩行距離:16.1km。調査した橋の数:15。

総歩行距離:5,304.7km。総調査橋数:8,677。

使用した1/25,000地形図:「阿波川井」(徳島13号-1)、「谷口」(徳島13号-2)