香川―1.土器川(その2) 平成23525日(水)晴れ

明日からは天気が悪くなり梅雨入りも間近なので連続して歩くこととする。8時23分琴平駅に降り立ち、昨日歩いた道を再び歩き土器川を目指す。途中9時前なのに既に空いているうどん屋があったので軽く一杯ひっかける。祓川橋から土手を南行する。直ぐに新しい国道32号の祓川大橋をくぐる。2車線の道路を4車線にする工事が行われおり、道路網の拡充が進んでいる。平野から広い谷間に入り満濃大橋に来ると親柱の上に果物らしき物がある。この辺りに名物となるような果物は知らないので、しばし見とれ結論は「花梨」。後で調べると「ご正解!」であった。

image1 01.満濃大橋の親柱

土手らしき物が無くなり、県道を歩くとまもなく「国営讃岐まんのう公園」の入口に着く。全国に今や17か所もある国営公園の一つである。国土交通省所管の都市公園で埼玉県の森林公園や東京都の昭和記念公園、淡路島の明石海峡公園などが有名である。

image2 02.国営讃岐まんのう公園入口

県道が国道438号に合流する炭所大橋の手前に国と県との管理境界標があった。河口から18.85kmの所で田圃の彼方にある。ここまではキロポストがあったが、この先には設置されてはいない。岡山でもそうであったが、国と県との管理水準の段差は大きい。最近架設された国道の「炭所大橋」の親柱には、伝説の満濃池の龍が鎮座まします。シミ、汚れのように見えるのは満濃池の平面図である。この池は巷ではかの弘法大師が造られたと言われているが、本当は既に池はあって、地震などで決壊した池の改修を命じられて復旧に当たったようである。

image3  03.国・県管理境界標

image4 04.炭所大橋の親柱

今度は坂出と徳島を阿讃山脈を越えて結ぶ国道438号を上流に向かって歩く。平成の大合併でまんのう町となった旧琴南町(ことなみちょう)に入るが、マンホールが無い。岡山でも2町にマンホールが無かったが、ここも公共下水道が無いようだ。谷間が狭くなった所の天川神社には3本の杉の巨木があり、国道の拡幅にあたりこのご神木を切るわけにはいかず、やむを得ず土器川の中に橋脚を立て、橋梁でしのいだのが分かる。後刻帰りのバスの運転手に聞くと「その通り!」。更に進むと国道脇のお寺の門前に鮮やかな色の「菖蒲」が満開で、梅雨の近いのを実感する。

image5  05.ご神木を避けた国道拡幅

image6 06.道端の菖蒲

谷が狭まり、道も急になり、わずか2日で下流から上流に達する。「尾井出」という珍しいバス停を見つけ、「なにこれ珍百景」に応募できるような名前である。返事は「来ました」。川を跨ぐ橋から下を見れば、見事な和泉砂岩の節理の間を水が流れている。和泉山脈から阿讃山脈にかけて分布する岩で、固い岩と脆い砂岩が互層状に重なり、節目に逆らって掘削施工すると後あと管理に苦労する岩である。温泉のある「ビレッジ美合」に到着したが、帰りの数少ないバスの時刻が迫っているので、入浴はパスして琴参バスに乗る。このバスはかつて丸亀、坂出と琴平を結んでいた琴平参宮電鉄の系列バスであるが、今は別の大川バスの子会社となっている。

image7  07.珍しい「尾井出」バス停

image8 08.和泉砂岩の節目に沿って流れる川

今日歩いた道をバスは難なく下り、いつもながらよくもこんなに歩いたものだと思う。坂出時代に良く食べに来た「長田うどん」と「小縣屋うどん」の前を通り、釜揚げうどんとザルうどんを想い出す。琴平駅まで900円!「ウーン高い!」。今日は21km以上歩き、5分後に特急が出るので、夕飯の支度のこともあり、1,150円はりこんで「南風」に乗り込む。1時間弱で岡山に着く。自分で作った橋であるが、我ながら、「早くなったもんだ」。

本日の歩行距離:21.6km。調査した橋:17橋。

累計歩行距離:41.1km。累計調査橋数:32橋。調査日数:2日。

 

香川―1.土器川(その3) 平成23531日(火)晴れ時々曇り

朝10時。琴平駅に降り立つ。10時10分発のバスで前回の折り返し点に向かう。10時50分に落合橋バス停にて下車。またまた落合橋がある。橋際で土器川本流と明神川が合流している。昨日朝までの台風2号接近と梅雨前線活発化に伴う大雨で白濁した激流がぶつかっている。源流部では250mm以上の雨が降ったようだ。どちらの水流が多いか甲乙つけ難い。和泉砂岩の白色の脆い砂岩部が浸食を受け、流れだし白色の川となっている。白骨温泉が喜びそうな色合いである。大雨の後は1日間を空けて出かけることにしている。雨が止んでも土砂崩れや道が川の状態になることがあるため、一日様子を見るためである。落合橋の親柱には牛の像がある。これは、かつて阿波から讃岐に農耕牛が農繁期に阿讃山脈の峠を越えて貸し出されていた借耕牛(かりこうし)の牛を表しているのだろう。

image9  01本流(正面)と明神川(左)の合流部

image10  02.落合橋の親柱

今日は川歩きというよりは登山となりそうな歩きである。落合橋の標高が310m、源流部の県境が640m。8kmほどの歩きで330m登ることになる。合流部付近の谷底の集落を結ぶ橋と県道が本流を渡る橋を過ぎると、道は狭く深い谷間から山の中腹に上り、川は遥か下の方になる。途中に1か所、谷の反対側の集落に向かう町道があり、県道から谷底に下り、橋を見ると坂道を県道に戻る。県道は地形に忠実に支流と沢を曲がりくねりながら超えていく。途中から2車線の道は1車線となり、すれ違う車も少ない。やがて遥か下の音はすれども姿は見えなかった流れが近づいてくる。極端に細くなった流れが県道と並行していると、流れの中にごみやビニールの破片が散らばり、車から投げ捨てられた様子で源流のイメージがぶち壊しである。この流れを本流にするのは異議あり!県境に近づくと源流の道路案内標識があり、県道から東側に少し入った所に源流の碑があった。出張所で碑が有ると聞いていたので、これを見るため登ってきたのである。県境の源流部は平たん地形で直ぐ南側は開けた峠である。碑のそばに山から湧き出す水が枡に落ちている。これも白濁しており飲む気にはなれない。

image11  03.土器川源流の案内標識

image12 04.源流の碑

image13 05.源流の湧水

徳島県に入り、開けた峠から南を見ると絶景!遥か下を吉野川が水流豊かに緑色の水を流している。緑色は吉野川上流の岩の色で、青石として庭石として尊重されている岩である。信号機の色で緑色を青信号というのと同じであろう。いつかはこの川を歩き、この峠を仰ぐつもりである。谷間の向こうの山の遥か先には四国第二の高峰、剣山が霞んで見える。

阿讃山脈は香川側は緩やかで、徳島側は急峻である。不等辺直角三角定規の長辺を底にして立てると、30度の方が香川で60度の方が徳島となる。直線距離で3km余りの所を吉野川(標高70m程度)が流れ、反対側の讃岐平野までは15km近くある。県道を帰路につくとタヌキとご対面。しばらくお互いに見つめ合っているのでカメラでカシャ。やがてあちらさんがドロン。帰りは楽チン楽ちん、足早に落合橋まで戻り15時55分発のバスで帰路につく。

image14  06.県境から吉野川を見下ろす

image15 07.県道でタヌキとばったり遭遇

本日の歩行距離:16.0km。調査した橋:4。

累計歩行距離:57.1km。累計調査橋数:36。調査日数:3日。