愛媛1-5.黒瀬川(その1平成25年5月6日(月)快晴

 

またまた大洲駅に降りたつ。今日は数多くの支流を有する肱川の最後の大きな支流である「黒瀬川」に向かう。同じ名前の川は広島県に有り、既に歩いた支流の小田川は岡山県に二つ、中山川は同じ愛媛県にも有り、同名の川は至る所に有る。バスまで30分ほど有るのでバス営業所近くのスーパーに入り弁当を物色する。魚売り場を見ると地元の宇和海で獲れた太刀魚の安いこと。5切れで1切れの値段にはビックリする。バスの待合室で298円のから揚げ弁当を食べ終えると丁度バスがやって来て乗り込む。

 01.高級魚の太刀魚がこのお値段

 

11時22分発の卯之町経由野村行きは1日1本しかない便利なバスで、先日利用した大成乗り換えやJRで卯之町まで行きそこから野村行きに乗るよりも早く、安い。本流遡行時に最後に利用したバスとは反対のルートで肱川の最上流部にあっと言う間に達し、川をこんどは卯之町を経由して野村まで下って行く。1時間余りで野村に着き、次の大成行きまで1時間以上あるので今度は近くのスーパーとJAのスーパーを覗き時間をつぶす。こちらの太刀魚は大洲の倍の値段であった。スーパーの入口に濃い黄色の花が密生して咲いている。

 02.濃い黄色の花が群生

 

1時半になり乗り慣れた大成行きのバスに乗り15分ほどで黒瀬川と舟戸川の合流点の河成に到着。朝6時45分に家を出て遡行開始が13時50分。7時間もかけてやって来たのだ、心して歩くことにする。直ぐの国道197号に入り、右岸側の歩道完備の道を南に向かう。それにしてもこの国道197号は全線に歩道が設けられ、所々には車道との間に防護柵もある。地形狭隘な渓谷にもかかわらず歩道を設置する愛媛県さん有難う。先日の安威川のダンプ街道とは大違いである。右岸側から野井川が合流する地点の手前で旧野村町から旧城川町に入る。

 03.再び国道197をイクヨ

 04.狭い渓谷にもかかわらず歩道が完備

 

鹿野川湖が尽き普通の川の流れになった所に河川管理の境界標識が建っている。川の水は清流のはずであるが米のとぎ汁を薄くしたような濁りが少しある。上流が先日の舟戸川と同じく石灰石地帯なのでこれの汚れが混じって薄い白濁色になっているのだろう。更に進んだ所に鍾乳洞の案内板が有ったのがその証拠のようである。

 05.久しぶりの管理境界標識

 06.黒瀬川には鍾乳洞がある

 

やがて左岸側から魚成川が合流する。ここまでの渓谷を走るバスは無いが、この魚成川沿いの県道には野村からのバスが通っている。こちらの川の方が集落が多く商売になるのだろう。

川は南から東からの流れになる。南の彼方には甲山を高く端正にしたような山が見える。地形図には名前が無いが標高662mの山である。一旦国道を離れ橋を診る。二つ目の橋には広い歩道が車道に負けない幅で幅を利かせている。直ぐ近くに中学校が有るので広くしたのだろう。

 07.形の良い山が彼方に

 08.どちらが歩道か分かるかなー

 

国道に戻ると大きな石碑が建ち、「宇和島藩農民一揆、野村騒動ゆかりの地」とある。裏面の解説文を読むと、明治3年の飢饉で多くの農民が一揆を起こしこの地に集合し、野村に向かったとある。明治になっても3年はまだ藩制が残り、年貢は減じられたが首謀者は宿毛沖の島に流されたとある。徳川時代なら打ち首獄門であっただろうから少しは良くなった時代である。直ぐ横には一揆を取り締まるために建てられたのではないのだろうが純和風の派出所が建っている。赤橙と看板が無ければ交番には見えない。

 09.宇和島藩時代の野村騒動碑

 10.直ぐ横に純和風の交番が

 

川と国道が90度曲がる地点に道の駅「きなはい屋しろかわ」が現れる。「きなはい」とはいらっしゃいの意味である。トイレ休憩と物産を見て直ぐに遡行を再開する。

 11.道の駅「きなはい屋しろかわ」

 

道の駅のあるここが旧城川町の中心で町役場(現支所)もある。ここの地区名が「下相」で、これで「おりあい」と読む。ここでバスを降りると「折り合いが着いた」となる。再び渓谷となり国道は一時川を離れ短いトンネルで南に向かう。手元の古い地形図では改良前の国道が地形に忠実に曲がっている。改良に当たってはこの渓谷の景観を守るためトンネルを選んだようだ。

 12.この景観を保全するため国道はトンネルで対処

 

谷間が少しずつ広がり右岸からは三滝川が合流する古市に入る。この三滝川の直ぐ上流には最大の集落の土居が有る。この三滝川は長さが約10kmで遡行対象に入れるか入れざるか迷う川であるが、取りあえずはパスすることにした。

中流部の狭隘な渓谷から集落と田畑が点在する上流部に入る。やがて今宵の宿のある「クアテルメ宝泉坊」に着く。ここは町の三セクが運営する大規模温泉施設とロッジがある有り難い所で、この一連の遡行の最大のキーポイントの場所である。早速風呂に入ることにする。入るのなら今でしょう。

 13.こんな所に大規模温泉施設が

 14.入るのなら今でしょう!

 

本日の歩行距離:13.2km。調査した橋の数:16。

総歩行距離:5,901.3km。総調査橋数:9,487。

使用した1/25,000地形図:「野村」(松山8号-2)、「土居」(松山4号-4)