愛媛1-2-1-1. 麓 川 平成25年3月7日(木)快晴
宿の豪華な夕食と朝食を堪能し朝7時40分に出発。放射冷却で今朝の最低気温は零度。日中の予想最高気温は20度!その差は20度と服装の調整が大変である。昨日とは違う道を歩き、街外れの麓川が中山川に合流する地点に寒さに震えながら向かう。内子には数多くの川が合流し、物産が集まる地の利の良い場所である。
街かどの伊予銀の内子支店の建物は瀟洒で、愛媛県のハイカラな土地柄を良く示している。伊予独特の文化を感じさせてくれる。西日本のあちこちを歩いて来るとなんとなくその地域の雰囲気の微妙な差が分かってくる。街外れ近くの角に古い木造の食堂が佇んでいる。建物の側面には大きな歓迎文と品書きが書いてある。素うどんは400円じゃ。
街外れは丘が迫り出し道は複雑な形になっている。中山川が小田川に合流する地点の直ぐ上流部に麓川が合流している。この川は内子町の北の端から流れ出し、わずか3km先の伊予灘に向かうことは800m級の山々に阻まれ仕方なく南の中山川に向かって流れてくる。名前に惹かれて歩くリストに加えた。
谷間は狭く交通量の少ない県道を北に進む。川の入口にここから上流の満穂地区の案内図が建っている。この川には由緒のある古い堰が数多く有るようで、屋根付き木橋も有るようで思わぬ掘り出し物に出会ったようだ。
やがて高さ5m以上もある大きな石垣の上に豪勢な家が現れる。お寺と見まがう大きな民家である。芳我家の末裔か?
最初の論田の西井手堰が白い水しぶきをたてているのが見える。江戸時代に作られた石造りの堰である。先日の重信川上流の石造り堰ほど大きくは無いが、狭い渓谷にうまくマッチした姿でこれも文化財に指定されている。解説板、銘板、木柱も揃っている。狭いながらも米作りに必要な水の確保に苦心して作られたようだ。
更に進むと、今度は樋口橋の対岸の橋際に正体下堰の解説板が図面付きで立っている。その構造は魚に優しくよく考えられている。県道から堰の流れを見るとミニミニ九寨溝のように見える。川にはコンクリートよりも石が似合う。マイナスイオンが充満している気が大いにする。この川沿いの歩きは絶好のハイキング路で内子の街並みの散策と組み合わせ、1泊2日の旅は如何かな。
川に突き出た山裾を廻り込むといきなり屋根付きの木橋が現れる。案内図にあった田丸橋である。地元有志が橋の再建、管理に携わっていると解説板に紹介が有る。テレビで放映された「坂の上の雲」のロケ地にもなった橋で、一服の絵のような風景である。
河内の中組に来ると県道沿いに農協の出張所と簡易郵便局が併設された純和風の建物が目につく。両脇に赤いポストとベンチ、それにタバコ自販機が控えこれも絵になる風景である。
この川に架かる多くの小さな橋の袂には、橋の建設に当たり寄付した人達の名前が掘られた石版が目につく。かつては生活に必要な橋の建設、架け換えに地域の人もお金を出し合ってきたのだ。
石畳地区の入口に小学校が未だ健在のようで、今まで歩いて来た川の上流部では見られない状況である。堰といい、橋といいこの地域の人はがんばっている。
やがて今日の遡行終着点の落合のバス停に到着する。ここにも有った落合が。1日3往復半のバスまで30分、農協のミニ売店でパンを買い、前のベンチで食しながらバスを待つ。道の向かい側に二体の花が添えられたお地蔵さんもどきの焼き物の像がこちらを見ている。近づいて見るとなんともユニークな像である。やがて内子町営バスがやって来て乗り込み駅に向かう。内子はエエとこや。
本日の歩行距離:13.0km。調査したはしの数:18。
総歩行距離:5,720.6km。総調査橋数:9,202。
使用した1/25,000地形図:「内子」(松山7号-2)、「中山」(松山7号-1)