徳島-6. 日和佐川 平成26年3月24日(日)晴れ

 

今日は阿波の日和佐に向かう。四国の西と東を行ったり来たりの繰り返しである。岡山、高松、徳島と乗り継ぎ特急「むろと」で日和佐に降り立ったのが10時45分。かつて30年ほど前に車で訪れたことは有るが、鉄道で降り立ったのは初めてである。駅舎は三角屋根の多いJR四国の駅とは異なり、南国らしいユニークな姿をし、植樹、電話ボックス、自販機、トイレ、観光案内地図と見事に揃っている。観光協会の案内所も駅舎内に有る。ここ日和佐は海亀の産卵場所である大浜海岸と、厄除の23番札所の薬王院が有名である。

 

 01.日和佐駅はユニーク

 02.日和佐は海亀と13番札所薬王院で有名

裏の西側には道の駅もあるが、今日は先を急ぐので立ち寄らずに駅前から東に向かう。直ぐに南からの奥潟川と西からの日和佐川と海が接する海辺に出る。東側の海に突き出た小山の上には日和佐城の天守もどきが建っている。前に来た時には無かったような気がする。足元のマンホールにはアニメ風の海亀が絵柄になっている。蓋はこうでなくっちゃあー。

 

 03.海に突き出た小山の上に城が

 04.日和佐は海亀が出迎え

 

県道25号を北に進むと橋際の道角に22番と23番を繋ぐ遍路道の曲がり角を示す四国の道の石標が立っている。直ぐに日和佐川の河口に架かるその名も薬王院に因んだ「厄除橋」に出会う。厄年ではないがここで先に厄を落としておくことにする。

今日はこの日和佐川を西に遡っていくのである。川沿いの県道には路線バスもコミバスも走っていないので遡行対象に入れていなかったが、地図をよく見ると、上流部で合流する支流を2km余り遡行すればJR牟岐線の山河内駅に達するのを知り歩くことにした。橋から海を見れば城も海を見ている。ここの城主は海賊だったのであろう。

 

 05.橋際の角は遍路道の曲がり角

 06.厄除橋から海と城を見る

 

親柱の一方には当然海亀が鎮座し、下の黒御影石にはこの河口付近に生息する「イワツバメ」のレリーフと二段構えの柱である。もう一方にはこれまた当然の薬王院の塔とイワツバメがセットになっている。この塔を「瑜祇(ゆし)塔」と言うそうで、多宝塔を上に引き延ばした様な独特の姿形をしている。屋根の上には中央だけでなく四隅にも相輪が付いている。

 

 07.親柱には海亀、当然でしょう

 08.もう一方は薬王院の瑜祇塔

 

右岸側を上流に向かうとホンマモンが山の中腹に見える。このお寺は駅と国道から近く交通の便が良いのでお遍路さん以外の観光客も立ち寄るメジャーな札所である。札所の大半は寺と称し、院は数が少ない。何となく院は寺よりも規模の小さな所と感じているが、ここは馬鹿でかい!それにしても寺と院の違いが良く分からない。診療所と医院の違いが良く分からないのと同じようなものだ。

 09.本物の瑜祇塔が聳える

 

右岸側の細い土手路は西から北に大きく曲がると、川は西からの日和佐川と北からの北河内谷川が合流する地点にやって来る。本流が支流に合流するような形態である。合流点から直ぐ西の牟岐線と国道55号の橋を診て県道36号を西に向かう。

国道との交差点にあるコンビニに立ち寄り必要な品を買い求める。今日は暖かい南風がそよそよと吹き、まさに春風駘蕩到来である。右岸側の土手を歩くと鮮やかな黄色の光沢のある花が咲いている。厚手の花びらと葉は造花のような光沢がある。初めて見た花でその名前が分からない。

 10.造花のような鮮やかな花

 

日和佐川は日和佐町(現:美波町)の西端からほぼ東に流れ、途中で南から山河内谷川、河口付近で北から北河内谷川を合わせる延長20キロ弱の中河川である。流域に大きな集落も広い田畑も無いため水質はすこぶる良い。透明な水が程よい速さで流れている。春の川、さらさらさらと、流るかな。

直ぐに渓谷となり、下流も中流も省略していきなり上流に入った雰囲気である。四国の川はおおよそ長さの半分が上流で、残りの6割が中流で4割が下流といった風情である。世の中もこれぐらいの比率なら良いのだが・・。この川はいきなりの上流である。

山裾を走る右岸側の県道は地形に合わせてアップダウンを繰り返してくれる。見事に手入れされた杉林の奥に立派な墓が鎮座している。花粉症で無ければ最高の墓所である。反対側の県道と川との間の雑木林に柑橘樹と思われる木が実をつけている。野生化した樹でも実が付くようだ。

 

 11.杉に囲まれた墓が川を見ている

 12.雑木林の中に柑橘樹が

 

出かける時は4枚であった服を2枚にして今日も歩くが、うっすらと汗が出てくる。古い地形図では池になっている川沿いの平地がソーラーパネルでビッシリと覆われている。これだけでこの流域の電力が賄えそうで、これぞ地産地消である。

 

 13.巨大なソーラー施設が

 

やがて山河内谷川が合流する落合に到着する。ここも落合である。帰りの列車の時刻から逆算して行ける所までこの先を進む。北側の川向うには頂上に多くの無線鉄塔が立ち並ぶ堂々たる山が眼前に迫っている。地形図で確認すると「玉厨子山(H=540m)」のようである。山名から何か因縁話が有りそうな山である。

 14.玉厨子山(H=540m)が際立つ

 

1kmほど進むと町道の橋の全面補修工事が行われている。昭和28年生まれの橋の橋脚には鋼板が巻かれ、既に補強が終わり上部工のリニューアル工事の真っ最中である。ヒビの入った床には特殊樹脂の注入、桁の間に伸縮装置が無かったのか装置を組み入れるスペースのコンクリートの剥ぎ取り、桁の塗替え塗装と大修理である。これからはこのようなリニューアル補修があちこちで行われていくことだろう。

 

 15.西山1号橋はリニューアル工事中

 16.橋脚は完了

 

予定ではもう一つ先の橋まで行くつもりであったが補修工事を暫し見ていたのでタイムアップとなり、来た道を戻り落合に向かうことにする。昼飯の座る場所が無いのでU字型水路の端に座って急いでお握り2個を食す。5分で歩きを再開し落合から山河内谷川沿いの町道を南に向かう。

見慣れない清楚な花が下向きにうなだれて咲いている。今時下向きの物は珍しい。帰宅して家人に聞くと、クリスマスローズとことなのでインターネットで確認する。やはりこの花は下向きに咲くとのことだ。直ぐ近くの民家の庭の大きなコブシの木が満艦飾で際立つ。

 

 17.クリスマスローズの花は下向き

 18.大きなコブシの木が満開だ

 

狭くなった渓谷を進むと国道55号が東側の山からトンネルで抜けてこの川に降りて来ている。直ぐ傍では牟岐線も付き合っている。阿南から南側の海岸は急峻な山が海に迫り、複雑な海岸線を形づくっている。このため両者とも内陸に逃げ川に沿い、峠をトンネルで躱し次の川に沿いを繰り返し南西方向に向かっていく。

国道にやって来ると瀟洒なレストランが有ったので列車の時間までの20分ほどを館内で過ごす。物産も販売中で、なんとメダカが売られている。メダカにも姿、色の異なる多くの種類が有るようだ。

 19.各種メダカを販売中

 

5分前に直ぐ近くの駅に向かうと、駅前の民家の庭には紫白の対のモクレンが植えられている。モクレン咲くああー南国の春である。

狭いホームに上がると直ぐに徳島行ワンマンカーがやって来て乗車。徳島まで2時間弱もかかる。次は徳島最遠部の海部川になりそうである。

 

 20.紅白のコブシが揃い踏み

 21.山河内駅から帰路に

 

本日の歩行距離:12.1km。調査した橋の数:12。

総歩行距離:6,976.3km。総調査橋数:10,655。

使用した1/25,000地形図:「日和佐」(剣山6号-4)、「山河内」(剣山10号-2)