徳島1-1.鮎喰川(その3) 平成24年10月4日(木)快晴
 
お遍路さんの団体と一緒に早い朝食を食べ、神山温泉バス停に向かう。寄井中行きの徳バスには神山分校に向かう高校生で座席は埋まり、立った状態でバスに揺られ遡行で初めての経験をする。役場前で降り町営バスを待つ。本来は遡行を続け最上流部からバスに乗れれば良いのであるが、最上流部の勘場に行くバスは朝夕の二往復のみで、夕方の降りてくるバスでは遅くなり過ぎであるので、止む無く先に上流に向かい昨日の打ち止め点に下ってくることにした。
役場前には町営バスの始発なのにベンチ一つ無く、味気ないバス停である。やって来た町営バスはスクールバスに使用している物で、途中のバス停では普通のマイクロバスに見え乗り損ねる恐れがある。途中から女性が一人乗り直ぐに下車し、以後はいつも通りの貸切車となる。役場前から終点の勘場まで540円とコミバスとしては高く、路線バスと同じ程度の運賃である。30分余り狭い曲がりくねった国道を走り、標高430m余りの勘場に着く。バス停は猫の額のようなUターンの出来る場所である。国道438号はこの先直ぐ西側を流れる穴吹川に向かって曲がりくねった峠道となる。この国道は四国第二の高峰「剣山」の9合目の見ノ越に昇り、祖谷川を下って行く。国道と言うよりは山岳スーパー林道と言っていいだろう。

01.神山町営バスはスクールバスを充当

02.一日2本の終点「勘場」バス停

車1台がなんとか通れる狭い国道の緩い下り坂を快調に歩く。直ぐ右側を流れる川は轟々と鳴り響き、清冽な水が多くの階段状の堰を乗り越え流下っている。今日も快晴でうっすらと汗をかくが、空気が澄みすがすがしい気分で歩く。

03.多くの階段状の堰を下る

04.青灰色の清冽な水が流れる

狭い谷間に集落は無く、朽ち果てた家屋が道沿いに散らばり痛ましい。所々に狭い谷間から山に上がる林道が現れるが、この辺りでは山の上にも家屋は無さそうである。やがて北から流れ下ってくるその名も北谷川が合流する地点で国道193号が合流する。とてもお互い国道とは言いにくい道路の分岐点である。
やや広くなった国道193号(438号も重複)を進むと、前方の川の上に建物の一室が迫り出しているのが見える。片持ちでよくぞ持ちこたえている物である。建物の有ると思える所まで来ると、川魚料理もやる食堂であった。客はスリル満点の部屋で鮎を喰うのであろう。これぞ「鮎喰川」である。

05.どちらの道もこれでも国道でっせ

06.思いっきり川に迫り出した食堂の部屋

やがて上分地区の中心「川又」に入る。ここで再び国道193号は袂を分かち、神通谷川に沿って南に向かう。この国道は高松から徳島県の南西端の海部に通じる道で、四国の山を何度も乗り越えて行く。まさにイクサの道である。別れて直ぐの橋は古強者を感じさせる橋で、桁などに蔦、苔が絡まっている。直ぐ上流部には新橋が完成しているがアプローチ部が未完成で、古強者よ後しばらくはがんばれヨ。
橋の直ぐ下流部で二つの川が合流し、直ぐ下流の橋から合流部を見れば、どちらが本流か見分けがつかない状況で、川の形状から地名の川又が川股からきたものと推察する。

07.古強者を感じる国道の橋

08.右:鮎喰川、左支流の合流部の地名はズバリ川又

谷間が幾分広くなり上分地区から下分地区に入る。国道は左岸側から右岸側に移り、川の激しい屈曲も収まる。対岸に巨大な鳥居が大樟の樹の陰に見える。その名も宮前橋を渡り宇佐八幡辰の宮に来ると周りを圧倒する大きさである。マイナーな神社にも係わらず鳥居はメジャー級である。

09.巨大な鳥居と大樟

10.宇佐八幡辰の宮と宮前橋のコンビ

稲原集落ではバイパスが川沿いに作られ、山側の旧道を東に向かってひたすら歩く。栗生野(くりゅうの)に向かう橋の下の青灰色の水と対岸の岩の青色、そして緑色の草の間の赤い彼岸花の色の鮮やかさに思わずカシャ。

11.青い水、岩と緑の草、そして赤の彼岸花

昨日の折返し点近くのバス停から町営バスに乗り、役場前から徳バスに乗り帰路につく。今日も又違う経路の便で、園瀬川沿いに南から徳島に向かう経路のバスである。徳島から乗った特急は、鮎喰川、吉野川、旧吉野川を立て続けにあっと言う間に通過して行く。さて次は何処にするかな?

今日の歩行距離:11.0km。調査した橋の数:13。
総歩行距離:5,079.7km。総調査橋数:8,459。
使用した1/25,000地形図:「阿波寄井」(剣山9号-3)、「阿波川井」(剣山13号-1)