徳島1-1.鮎喰川(その2) 平成24年10月3日(水)快晴
徳島駅から徳バスに乗り昨日の折返し点の森林公園口に向かう。バスは石井町にある支援学校に通う生徒の貸切状態で出発。国道192号は朝のラッシュで渋滞している。昨日と異なるルートを通り若干遅れて到着する。徳島駅から神山町の中心である寄井までのバスは4つも経路の異なる路線があり、途中まで行く場合は乗り間違えないようにする必要がある。
今日も快晴でいよいよ遡行のベストシーズンに突入する。狭い渓谷に涼しい風が吹く気持ちの良い歩きである。名前の通り少し平地が広がった広野地区に来ると、中学校のグランドの片隅に真新しい木造のトイレがある。12番と13番の間は距離が長く、お遍路のコースの所々にお遍路さんのためのトイレと休憩所が有り、当方も助かる。
対岸に渡る橋の上から南の方を見れば、見事な山容の山がデンと居座り、青灰色の清流の流れと合わせてエエナー。大きな写真にして部屋に飾りたいぐらいのこれぞJapanである。
渓谷は更に狭まり、川と県道は仲良く屈曲を繰り返す。一人歩くのがやっとの狭い潜水橋が谷底に有った。対岸の数軒の家と県道を結ぶ橋で、かの家の人達の生命線である。
阿川地区に入ると案山子が県道沿いにぽつぽつと置かれ、単調になりがちな景色に変化を見せてくれる。大作は撫子ジャパンのサッカーに興じている案山子で微笑ましい。
阿川のバス停には古いバス停の看板と徳島港から阪神へ通う夜行の船の案内看板が残り、半世紀以上前にタイムスリップした感覚に陥る。かつて四国の人達は船で阪神に向かっており、比較的近い徳島でも夜行の船があった。今では高速バスで神戸まで1時間半、大阪で2時間となり、夜行で向かっていたのは嘘のような話である。
やがて狭い谷間が広くなり川は南からの流れが西からの流れに変わる。ここで川から離れ東にある道の駅「温泉の里神山」に向かう。途中のスダチ園の傍らに昨日道路情報板で見た「あっわっ発見伝」の観光キャンペーンの幟がはためいている。これが本物か!高知では知事が出演している「竜馬の休日」の幟がはためいていたが、四国は4県それぞれ頑張っている。
久しぶりの道の駅で神山名産のスダチ、梅入りのぶっかけうどんを食す。これ以上さっぱりとした食べ物が無いぐらいのうどんであった。農産物売り場を覗くと、今が盛りのスダチがズラリと並んでいる。10個以上入った物が何と100円。種無し葡萄ならぬ種無しスダチに初めてお目にかかる。かつての秋一番の食べ物は鱧と松茸の入った土瓶蒸しで、これにスダチを絞れば至福のひと時であったが、鱧とスダチは徳島名産で今でも数多く取れるが、肝心の松茸は激減し、今では中国、韓国産が幅を利かせているが、この2国の物は絶対食べる気はしない。地の産物を組み合わせて食べるのが一番で、話の分からない国の物とはまっぴら御免である。
暫しの休憩の後、再度川に戻り遡行を再開する。北岸の町道を歩いていると蜜柑の盆栽かと見まごう見事に手入れされたスダチの樹が並んでいる。背丈は1mあまり、樹の大きさは実の大きさに比例するのだナー。
南岸の国道438号線を更に西に向かい、町の中心の寄井をバイパスした道を歩く。県立の徳島城西高校神山分校を過ぎると、12番札所焼山寺に向かう県道が分かれる交差点に着く。直ぐ北側に川を渡る寄井喜多橋があるのでここを今日の打ち止め点とする。橋は昭和6年完成の古い橋であるが、お遍路道であり、多くのバスも通る橋なので橋脚、橋台、桁ともリニューアルされ、90歳のお婆さんが20代の美人に若返ったようである。
徳バスの出発点である寄井中バス停から徳島駅行きに乗り、神山温泉前で下車し、日帰り温泉と宿泊施設のある宿に向かう。2日連続で温泉とは幸せだナー。湯は宮城の鳴子温泉郷の中山平温泉のウナギの湯に負けないぐらいトロトロのぬめりがある湯で満足、満足。
今日の歩行距離:17.0km。調査した橋の数:17。
総歩行距離:5,068.7km。総調査橋数:8,446。
使用した1/25,000地形図:「石井」(徳島12号-2)、「川島」(徳島12号-4)、「阿波寄井」(剣山9号-3)