京都1-1. 木津川(その5)平成30年2月20日(火)快晴

今日も大阪駅から大和路快速に乗り木津川へ。割安切符の冬の関西ワンデイ切符(3,600円)が有るのを思いだし購入しての旅である。庭瀬から上郡までの往復切符も買い上郡から関西地区内の何処でも乗り降りできるこの切符を利用する。この快速に連絡する加茂駅からの亀山行きには30分以上の待ちが有る。快速は15分おきに走っているので切符の特性を利用して先ずは斑鳩駅で途中下車し駅前のマンホール探索に。橋上駅の佇まいは流石、法隆寺の玄関駅である。蓋の絵柄にも法隆寺の塔と思われる塔と町の西を流れるモミジで有名な「竜田川」らしき流れが描かれている。

01.斑鳩町は法隆寺?と竜田川

02.法隆寺駅の姿は流石だなー

天王寺から奈良までの間には面積の狭い市町村が連なっている。大阪市の隣の八尾市から柏原市、王寺町、三郷町、斑鳩町、安堵町、大和郡山市、奈良市である。15分後の快速に乗り二つ目の駅である「郡山」でも下車。こちらは郡山と言えば金魚でしょ!金魚鉢で泳ぐ色つきの金魚えー、金魚!

 03.大和郡山市は名産の金魚えー金魚

度15分後の加茂行き快速に乗り加茂駅で亀山行き単行気動車に乗車。8両編成の電車から1両の軽快気動車との差に愕然とする。かつての名阪間の動脈であった関西本線の中間部の凋落は激しい。関西地区唯一の非電化区間である。車内は座席が全て埋まる状況で1時間に1本在るダイヤである。

04.8両の大和路快速から1両の気動車に乗り換え

5時間かけて「笠置」駅に到着。本来は手前の「加茂」駅から川を遡行するのだが、ここ笠置まで橋が無く国道163号の歩道の無い歩きが怖いので省略して笠置から開始する。この関西線の非電化区間のラインカラーはパープルでピョンチャンオリンピックのアイススケート場と同じ色である。気動車も青紫色一色である。名古屋では豚のもつ焼きを「トンちゃん」と言う。
ホームの南側には北を右に南を左にした細長い絵地図が立ち、あの柳生の里を紹介している。子供の時に読んだ柳生一族の里であるが、何時かは行ってみたい所である。

05.「笠置」駅で下車

06.笠置は柳生の里の入口に

駅前の小広場には昔流行ったようなジオラマが有る。後醍醐天皇がここ笠置山に籠もり鎌倉の北条軍と戦った「元弘の乱」の笠置合戦の勇猛な戦いの場面が演じられている。日本では勝った側よりも負けた方に人気がある判官びいきがここにも有るのだ。

07.笠置山の後醍醐軍が北条軍を山上から攻撃だ

08.元弘の乱笠置合戦の解説文

駅前から東に商店がちらほら並ぶ道を進む。直ぐに柳生の里から流れてくる二次支流の「白砂川」に架かる「大手橋」を通過する。橋の高欄の石柱には橋名の謂われが書かれている。かつては観光地として多くの客が来ていた名残の古い旅館が数軒ある。戦前は賑わっていたのだろう。ガラスケースの中に彩りよく描かれた小石が陳列されている。木津川の石に絵を描いた物だ。趣味なのか、販売目的なのかよく分からない。

09.「白砂川」に架かる「大手橋」の高欄柱に

10.木津川の石で創作した絵が陳列されている

突き当りを左折すると府道33号となり川に出る。屈曲して橋に到る。「笠置橋」は3径間のトラス橋で下流側には後から架けた歩道橋が並んでいる。橋は外側は若草色に内側はピンクの2色に塗られた落ち着かない色の組み合わせである。この2色には何かいわれが有るのかも知れない。側道橋から川を見れば「白砂川」が木津川に合流しているのが目の下に見える。

11.「笠置橋」のトラス橋は2色刷りだ

12.柳生の里を流れて来た白砂川が木津川に合流

対岸に渡り緒元を調べ来た歩道橋を左岸側に戻り「東海自然歩道」の案内板に誘われ河原に降りる。河原の端には「遊びカヌーの里」と書かれた石碑が立っている。遊びカヌーとは聞き慣れない言葉じゃなー。ここから上流部は両側から山が迫る狭い渓谷となる。山から落ちて来た巨岩が川に転がっている。関西では「武庫川」、「保津川」、「瀬田川」、「大和川」と山波を通過する地点では極端に狭い渓谷となる。歩道の無い遡行の難所である。

13.「遊びカヌーの里」の石碑が河原に

14.ここから狭い渓谷が始まる

自然歩道は河原から登り坂となり線路の直ぐ下を仲良く東に向かう。対岸の国道はトンネルで難所を通過している。坂道の連続で心臓が辛い。やがて線路と同じ高さとなり小さな沢を隣り合って橋で通過する地点に来る。左に川、右に線路の絶景である。暫し進むと間もなく上り列車の通過時刻になるので暫く待っていると1分後にやって来た。昼間は上下とも大和路快速に合わせた1時間に1本の定時ダイヤなので分かり易い。姫新線や因美線の列車と同じ軽快気動車であるが、線路の保守状態は良好で速度制限区間は無く快調に走って行く。さすが元幹線の腐っても鯛だ。

15.「東海自然歩道」の白眉!

16.ラインカラーと同色の気動車の色

自然歩道と言うよりも関西線の保守道路のような道で人とは出会わない。線路を越える踏切から東を見ると見事なお椀型の小山が顔を出している。直ぐに関電の「布目川発電所」の横を通過する。この近辺には3カ所の発電所が有るようだ。

17.見事なお椀型の小山が迫る

18.布目川発電所に在った関電の看板

歩道は一旦木津川から離れ、二次支流布目川の左岸側を川上に向かう。再度の登り坂である。樹木の間と川の上をしめ縄らしき縄が横断して張り渡されている。直ぐに道は布目川を渡る橋に到る。橋際にこの川沿いの公園の解説板が立ち、その最後にこのしめ縄のことが書かれている。

19.太いしめ縄が川を越えて

20.しめ縄の説明が最下段に書かれていた

Uターン型に右岸側に行くと小さな集落に入る。集落名は「飛鳥路」となっている。この川を南に進むと天理市の東を通過し飛鳥まで通じていたのだろう。市のコミバスがここまでやって来るバス停の直ぐ近くの三叉路の角にかつて地区民に慕われていた庄屋の大きな石碑が立っている。

   21.領民に慕われた庄屋が居たのだ

路を下って行くとコミバスが上がって来て出会う。里に下りて来ると東海自然歩道の絵地図が有り、路は川の南側を川沿いに東に向かっているが当方はここで袂を分かち直ぐ北側に架かる橋に向かう。本格的な潜水橋が木津川にも有るでないでがだ。ここ山城では「潜没橋」と言うようでこの言い方が一番実態に合っている気がする。

22.何故か山城まで「東海自然歩道」が進出している

23.ここ山城では「潜没橋」と言うのだ
橋を歩いていると先ほどのコミバスがUターンしてこちらにやって来る。急いで渡りバスに道を譲る。河岸段丘の上の「上有市」集落に坂道を登る。国道は相変わらず歩道の無い状態である。対岸を見ると関西線が左岸側から右岸側に渡る鉄橋が見える。3連の変断面トラスであるが、中央径間のトラスはごく普通の形式であるが側径間のトラスの形状がおかしい。当初は等断面のトラスで計画したがこれでは断面不足なのが分かり急遽上に部材を継ぎ足したように見えるが如何かな?

24.両端のトラスは後から上部を継ぎ足したように見えるぞ

国道は地峡のような狭い谷間を線路と一緒に緩い坂道で東に真っ直ぐ延びている。右側の30cmほどの路肩を歩く。左側は路肩の無い状況である。車が来るたびに立ち止まりガードレールに寄り添ってやり過ごす。こんなに長い区間に歩道を設置しない京都府はおかしい!国道としてレッドカードだ。2kmに渡って冷や冷やの連続である。やがてサミットとなり笠置町から京都府唯一の村「南山城村」に入る。

25.この狭い路肩の登り坂が延々2kmも続いたのだ

26.この鞍部で「南山城村」に入る

下りになると直ぐに地形図に載っていないバイパスが完成して、車はそちらからとなり旧道を大手を振って歩く。どんどん下り関西本線のガードを潜り川沿いの道となる。二つ目の潜没橋が現れ、橋名は「恋路橋」となっている。19径間もある長い橋である。

27.二つ目の潜没橋は「恋路橋」という橋名だ

下り列車の時刻が迫って来たので急いで「大河原」駅に向かう。4分前に着くと「山城列茶」などと茶化したポスターが貼ってある。「大河原」、何処かで見た覚えのある駅名である。ああー、宮城県の東北本線に在ったぞ。それにしても同名駅名は関西と東北での組み合わせが多い。

28.だ茶れだぞ!これは

29.同じ駅名が宮城県の東北本線に在ったぞ

パープル列車はこれも座席が全て埋まる盛況である。車体が短い軽快気動車では定員が少ないので本来の気動車を投入すべきだな。
木津からは片町線で「北新地」で途中下車し堂島のジュンク堂本店で地形図を購入する。大和路快速で大阪に出るのも片町線の区間快速に乗っても所要時間は同じである。これが木津が大きく発展している原動力である。

本日の歩行距離:7.8km。調査した橋の数:5。
総歩行距離:9,807.0km。総調査橋数:11,843。
使用した1/25,000地形図:「笠置山」(京都及大阪4号-1)