高知-10.香(こう)宗川(そうかわ)(その2)平成29年4月3日(月)

春本番到来!香宗川の続きに出かける。南風3号に乗り今日は何事も無く後免に到着。乗客が多いのでベテラン車掌が大歩危・小歩危で吉野川の説明をする。「吉野川は四国の高峰、石鎚山系から流れ出し・・」と声が流れる。これまでは「石鎚山から・・」と言っていたので数か月前のご注意が功を奏した様で修正されている。土佐山田駅到着前にも「次は土佐山田です。アンパンマンミュージアム方面のJR四国バスは駅前の乗り場から11時35分発です」と案内している。これも先日車掌に言った「バスの乗継案内をしないのは同じJR四国同士なのに水臭いネ」と言ったのが効いたようだ。所帯の小さなJR四国ならばである。
土佐くろしお鉄道に乗り継ぎ「赤岡」駅で下車し高架ホームから降りて来ると、後免で電話しておいたタクシーが待っており直ぐに乗車。川の次の橋まで2kmほどタクシー利用で時間を稼ぐ。680円を支払い春うららの土手路を上流に向かう。今日は正真正銘の遡行である。最初の橋も次の「高知東部自動車道」の橋も手元の地図には載っていない新しい橋と道路である。国の直轄事業として高速道が少しずつ出来つつある。高速と言っても自専道のバイパスと殆ど変らず、地元を満足させるための方策に思える。橋際の盛土法面は植生工が最近施工されたようで草1本も生えていない。橋は2径間連続箱桁であるが、川の流れのど真ん中に橋脚が立てられている。普通は両側の高水敷に橋脚を設置し3径間とするが、堂々と真ん中に立っている。

 01.県東部にも高速道の一部が完成

 02.川のど真ん中に橋脚を立てるとは!

旧赤岡町から旧野市町に入り左岸側の土手を北に進む。北から西に延びる山波の南端の山の上には中世の欧州の城に似せた建物が下を見下ろしている。対岸の家には早くも鯉幟がたなびいている。テッペンの普通は吹き流しが有る所には大漁旗のように見える子供の名前が入った旗がはためいている。ゆったりと右にカーブする土手を東に方向を変えだすと北から支流の「山北川」が合流してくる。

 03.早くも鯉幟が風に泳ぐ

 04.左に支流の「山北川」が合流

やがて土手路が無くなり土手下に降りて進むと旧香我美町に入る。今は香南市となったかつての町村は多くの小さな自治体の塊で、西から吉川村、野市町、赤岡町、香我美町、夜須町と海沿いの町村が一緒になった。市役所は最大の人口を要した野市町に置かれた。一面に水が張られた田圃とビニールハウスの間を進むと丁度田植え中の御夫婦に出会う。道に居られた奥さんに高知での二期作について尋ねると、「二期作ならもっと早く田植えをしないと。今は殆ど二期作はどこでもやってはおらず、早めの田植えで秋の台風前に収穫するんよ」と言われる。なるほど、減反政策に反する二期作はしにくくなったのだ。

 05.香我美町に入ると田植えの真っ最中

南北に真っ直ぐ延びる町道(現:市道)を橋に向かうと2車線の車道橋の左に幅広の立派な歩道橋が並んでいる。どちらも平成11年完成で、何故歩車道一緒の橋にしなかったのか疑問に思い、北の方の橋の彼方を見ると400mほど先に新しい中学校の校舎が見える。通学路として敢えて歩道橋を分けて建設したようだとガッテン、ガッテン。
再び土手路を進むと巨大な物流倉庫のように見える工場が建っている。半導体を製造する「ルネサス」の高知工場である。岡山県の千田川遡行時に見た村田製作所の工場を思い起こす。

 06.車道橋の横に立派な歩道橋が

 07.倉庫の様なルネサスの半導体工場

右岸側の土手に未だ若い桜並木が続く。東京では満開とのことであるがここは未だ咲き始めで、大半はつぼみの状態である。土手に久しぶりに見るベンチが有るのでコンビニおにぎりの昼を摂る。これで満開なら申し分ないのだが。

 08.桜が咲き始めたが今年は遅いなー

 09.久しぶりのベンチで昼を摂る

15分ほどの休憩を取って遡行を再開する。野市から延びて来た県道230号の橋を見てから川は北からの流れとなり平地から低い山あいの間の流れとなり、屈曲を繰り返す。「八王子橋」バス停の直ぐ先にはそれらしき橋と田圃の彼方には鳥居と鎮守の森が見える。遺跡の解説板も立ち絵になる風景である。

 10.橋の向こうに鎮守の森と神社が

大岩地区に来ると土手に土筆の群落を見つけカシャ。県道231号の道沿いの民家の軒下には椿の大きな花が鈴なりになっている。植物は季節に敏感に反応するのだ。

 11.土筆を見っけ!

 12.大きな椿の花が鈴なりに

県道は右岸から左岸側に変わり緩い坂道の渓谷を進む。平地が広がると福万地区で誠に目出度い地名である。集落に向かう橋際には城跡の解説高札が立っている。小高い目立つ山の頂上で重機が動いている所が城だったのだろう。

 13.縁起の良い地名の城跡は高札の上に

再び薄暗い渓谷となり道幅も狭くなる。何度か曲がると再度平地が広がり下山川地区となる。ここが予定していた打ち止め点で、5分ほど待つと香南市営バスの⑧系統「のいち駅」行きがやって来た。1日3往復のこの便が今回のキーポイントであった。

 14.遡行はここまでとする

 15.直ぐにのいち駅行き香南市営バスが

貸切であちこちに立ち寄り16時04分ピッタリに駅に到着。後免行きは16時10分発なので急いで駅前のマンホール蓋の写真を撮る。駅の北1.5kmほどの所に第28番札所「大日寺」があるのでお遍路さんもホームに数名待っている。外人さんもいるぞー。直ぐに列車はやって来て16時19分後免着。同じホームの反対側に南風が入線し21分発車。なんとも接続の良い帰路であった。

 16.旧:野市町は椿の花か

 17.とさ黒鉄道の駅にはそれぞれのマンガキャラが

本日の歩行距離:9.6km。調査した橋の数:18。
総歩行距離:9,424.6km。総調査橋数:11,405。
使用した1/25,000地形図:「後免」(高知7号-2)、「手結」高知3号-4