兵庫-1.千種川(その3) 平成23年11月30日(水)曇り
香川の遡行を終え久しぶりに兵庫の千種川を再開する。山陽本線上郡から智頭急に乗り換える。当初は各停に乗り前回の折り返し点である「河野原円心」駅で下車し、姫新線の播州徳久駅まで遡行する計画であったが、順序を逆にして川を下れば帰りの電車が1時間早いのを捕まえられるのが分かったので、京都からくる特急「スーパーはくと」に乗り込む。直ぐに佐用駅に着き姫新線に乗り換える。1駅先の徳久(とくさ)駅で降りれば、駅前に旧南光町のマンホールがあったのでカシャ。ここと佐用郡内の上月町、三日月町、佐用町が合併し、佐用町となった。郡、町、川が全て一致している。

image1 01.播磨徳久駅

image2 02.旧:南光町マンホール

旧南光町と上月町内の川は2年前の洪水で打撃を受け、護岸造成工事が延々と行われている。ここで働いている重機をよく見ると、いろいろな装備を付けショベル掘削、削岩、クレーン、土の敷均しなどの作業が直ぐに出来るようになっている。子供の時にほしかったいろいろな形をした金具を収めたスイス製の多機能ナイフのようでもある。

image3 03.千種川は護岸工事が延々と続く

image4 04.機能たっぷりの重機
大きな支流「志文川」が合流する地点を過ぎると旧:上月町に入る。こうづきとは耳に心地よい地名である。曇り空であるが、この辺りを歩くのには今が一番良い季節である(播州=晩秋)。上月町のマンホールは蛍と菖蒲であった。土手を歩いていると智頭急の第二千種川橋梁は手で触れるぐらい近い所にある。

image5 05.旧:上月町は蛍と菖蒲

image6 06.智頭急の第二千種川橋梁

橋の直ぐ下流で千種川最大の支流「佐用川」が合流する。本流沿いよりも支流沿いの方が交通の動脈になっており、国道も智頭急も支流の方に逃げ、本流は県道だけとなり母屋を取られている。
左岸の山の麓に紅葉に囲まれた真言宗御室派「清林寺」が佇んでいる。日本の秋はエエナー。

image7 07.清林寺が山腹に

両岸の山が迫ってくると上郡町に入る。第一千種川橋梁近くで高架橋を見ていて気付いたが、電化支柱の基礎が一定間隔に見える。計画時は気動車ではなく電車でないと高速走行が無理として電化準備工事をしていたが、工事完成前になって軽量大出力エンジンの採用で気動車でも130キロ走行が可能になったので電化は不必要となったようだ。かつての日本のディーゼルエンジンは船舶用を除き、車用も鉄道用もいまいちで、英独が優れていた。国鉄時代の気動車のエンジンは非力で音も大きく、加速力も最高速度も劣っていたが、民営化になり先ず英国製の強力エンジン(カミンズ)を装荷した特急がこれを打ち破った。その後国産エンジンも強力となり、今では電車に負けない加速力と速度を誇っている。国内外に常に目を向けておく必要があるようだ。

image8 08.智頭急は電化準備工事がなされていた

やがて河野原円心駅に近づき、前回寄れなかった駅近くの宝林寺の円心館に立ち寄る。館内には赤松三尊像が安置されており、寺の入口に三尊の由来説明板がある。

image9 09.赤松三尊像を収めた円心館

image10 10.赤松三尊像の由来説明板

円心館で時間調整をし、まもなく来た列車に乗り帰路につく。
今日の歩行距離:13.2km。調査した橋の数:12。
累計歩行距離:819.7km。累計調査橋数:1,219。
使用した1/25,000地形図:「上郡」(姫路11号-4)、「上月」(姫路11号-3)、「三日月」(姫路11号-1)
兵庫-1.千種川(その4) 平成23年12月7日(水)晴れ時々曇 
 
再び播磨徳久駅に7時58分降り立つ。朝6時06分発の姫路行きに乗るための早朝の出発は、夏はなんともないが冬は真っ暗なうちに出かけるためいささか辛い。足腰の筋肉痛は未だ残っているが、家でじっとしているよりは歩く方が少しは解消されるだろうと出発した。単行気動車は姫路地区の旧型車で、最近姫路地区の姫新線には新型車が配属されたが、いまだ乗車する機会が無い。

image11 01.播磨徳久駅で下車

前回は下流に向かった出発地点に戻り、今日は上流に向かう。姫新線の鉄橋付近まで来ると道は行き止まり。止む無く来た道を戻り大きく迂回して鉄橋の反対側に廻る。1km以上のロスが生じてしまったが、今日は川沿いの県道を佐用町のコミバスが通っているため、バスの起点まで行ければ上々であるが、途中の限の良いバス停からも乗れるので気楽に歩けるので良しとする。
川沿いを再開して歩くと、先年の洪水で橋げたを流された橋が橋脚と、彼方に流された橋げたを残して哀れな姿をさらしている。川沿いが歩けない区間では国道179号を通るが、立派な参道と大きな屋根が目立つお寺があった。真宗本願寺派のお寺で、さすがメジャーな宗派でマイナーな香川の興正派はとはスケールが違う。

image12 02.桁が濁流に流された橋

image13 03.参道が立派なお寺

今日は南北に細長い旧南光町の南端付近から北端付近まで千種川の中流を歩くことになる。先日も工事が行われていた川の改修工事が、今日の歩く区間でも行われている。こちらは発注が遅いのだろか準備工事中で、護岸工事を行う前の川の中に締切堤防を流れに沿って造成中で、水が遮断されたところから護岸堤を作るための掘削工事をやっている。
やがて河川工事の区間も終わり、全国名水百選に選ばれた川らしい清流が姿を見せてくれる。太田川以来の清流である。中国道が横断する場所に河川名の入った標識があったのでカシャ。

image14 04.全国名水百選の千種川

狭い谷間から広い谷間に来ると正面の紅葉の終わりを見せている山が雲間の陽を浴びている。両岸に田圃の有る川岸の木も鮮やかな黄色を見せてくれる。

image15 05.紅葉した山に陽があたる

image16 06.紅葉した木と柿の木

少し北上すると田圃に囲まれた川が突然見事な渓谷となっている。緑石と深い淵が濃緑色を見せ、突然変異に驚く。川岸には河童伝説と河童の説明板がある。川沿いを歩かなければ分からない珍光景に出合い、遡行ならばの醍醐味が味わえる。

image17 07.河童解説と田圃の中の淵

image18 08.馬螺が淵の河童伝説解説板

県道は歩道が続き、長い川沿いの道を歩き、18kmほど歩いた所でバスがやってくる時刻となり、予定していた起点のバス停から二つ目の1km手前のバス停でバスを待つ。丁度歩き始めた所でのロス距離分予定地点の手前で終わりとする。座る所が見当たらないため控えていた昼飯をバス停の止まり木に腰かけ取っているとバスがやってきて乗り込む。佐用駅近くの役場まで20kmほどを40分で走り300円。次回はこのバス停から再開し、源流部近くまで歩くとする。

 今日の歩行距離:18.0km。調査した橋の数:22。
累計歩行距離:848.2km。累計調査橋数:1,260。
使用した1/25,000地形図:「三日月」(姫路11号-1)、「土万」(姫路10号-2)、「千草」(姫路10号-1)