岡山-1.旭 川(その8)平成26年10月29日(水)快晴

今日も快晴!今を逃してなるものかと岡山駅前から中鉄高速バスに乗車。久世の真庭市役所前で下車し、庁舎の中に入ると各課の案内板に「バイオマス政策課」なる課がある。生物資源の有効利用を目指す課のようで、誠に珍しい部署である。真庭市は全国で最も木材の有効利用を実施している地域で、高強度集積材の開発、間伐材や木材の樹皮等を高効率の燃料に変えるペレットの製造、利用、発電と今後の日本の山間部の希望の星である。テレビで出力1万キロワットの発電所が建設中で、来年4月から稼働すると放映されていた。市役所入口の受付でその場所を尋ねるがご存知ない。これでは市が力を入れている政策、事業が分かっていない。分からなければ直ぐに担当課に電話して聞けばいいのにそれもしない。

image1  01.真庭市にはバイオマス政策課がある

直ぐに旭川の方に向かい、国道181号が川を渡る久世大橋から遡行を開始する。橋際には見納めの柿の実が秋空に早く収穫してくれと語りかけている。

image2 02.名残の柿が川に映える

前回は左岸(北)側の国道を歩いたが、歩道が無く路肩もほとんどない道を大型トラックが通り過ぎる恐怖の道だったので今回は右岸(南)側の市道を西に進むことにした。南側の山が川に迫り出す厳しい地形の道は大規模な法面工事が行われている。開通間もない瀬戸中央道梅雨末期の大雨による福南山地区の法面崩壊とその災害復旧工事を本社、局からの早期開通をせよとの催促に悩まされたのを想い出す。本工事中から問題の有った現場だと知っていたので、中途半端な復旧では後日また災害を起こす可能性が有ると判断し、本格的な法面の切り直しと法面補強工事を行うためとりあえず2車線の対面通行可能な応急工事を1週間で行った。後日起こった原発事故の時には所長の気持ちは良く分かった。
image3  03.市道の大規模な法面工事が

こちらの山が後ろに退くと今度は対岸の山が川に迫る地形となる。市道を離れ土手の上の細い道を西に進む。高い所からの発電用送水管が目立つ湯原第二発電所が対岸に見える。湯原はまだ20km以上先なのに発電所名になっている。山が旭川に迫る窮屈な所を国道181号と姫新線が通っている。丁度単行の列車がやって来たのでカシャ。

image4  04.湯原第二発電所は出力27千KW

image5 05.山裾を姫新線と国道181号が並走

急峻な山しか無い所に橋の跡が残っている。対岸には何もなかよ!車の通らない桜並木の土手の道は最高である。秋空に葉を落とした桜が主役は空だと言っているようだ。

image6  06.橋の名残が

image7 07.車の通らない桜土手は最高

大上橋で北岸に渡るとバイオマス利用の温水プールが現れる。ペレットを燃やすボイラーの煙突が重油ボイラーとは異なる形をしているのが分かる。ここからは旧久世町から旧勝山町となる。材木集積場の向こうの北側の山裾にはペレットを製造し、これを自家発電する銘建工業の工場が見える。入口にはバスも止っている。バイオマスの見学ツアーのバスなのだろうか。

image8  08.バイオマス利用の温水プール

image9 09.奥が日本一のペレット製作工場

姫新線の中国勝山駅の裏を進むと巨大な釣鐘が目につく。高野山勝山大師堂なる寺の梵鐘であった。名前からすると真言宗かと思えるが、どこにも真言宗とは書いて無かった。

image10  10.巨大な釣鐘に吸い寄せられた

姫新線の旭川橋梁の直ぐ南側で西からの流れは北からに変わり、西から大きな支流である「新庄川」が合流してくる。岡山の三大河川の本流はいずれも北から南に流れているが、上流では西寄りになっており、旭川も北からの流れが一時西からの流れとなっている。北からの流れの直ぐ先には国道181号が川を越え新庄川と共に西に向かって行く。橋の北側の桁は城下町らしいお化粧をしている。

image11  11.正面(西)から支流の新庄川が合流

image12 12.勝山大橋の桁は純和風

勝山大橋を診てからは町中心の街並み保存地区に向かう。前回は真面目に川沿いの道を歩き、観光地の保存地区はパスしたので今回は人並みに街歩きを楽しむことにする。勝山は美作勝山藩の小さな城下町で、城下町の名残が南北に通る路の両側の家並みにある。また西日本有数の木材の集積場でバイオマスの土俵が揃っていた。

image13 13.勝山の街並み保存地区

街並みの民家の軒先には全て異なる暖簾が懸かり、これが勝山の売りである。100は有りそうな暖簾の内お気に入りを連続してカシャカシャと忙しい。大きさ、形、デザインが全て異なり、見ただけでその商いの種類を知るようにできていて飽きない。秀作は郵便局、車屋、たばこ屋である。三叉路の店の暖簾が一番のお気に入りとなった。街並みに上手く合ったデザインと色である。

image14  14.通りの両側の店には全て暖簾が

image15 15.この店の暖簾がお気に入り

image16  16.暖簾もズバリ郵便局だ

街並みの所々には絵地図も完備され、歩く距離も程よくこれからはもっと多くの観光客が呼び込めそうである。城址の山から降りて来る道の階段と石畳は寅さん映画の監督の山田洋二監督がお気に入りに加えそうな姿をしている。

image17  17.観光案内地図

image18 18.この景色、山田洋二監督なら即採用

やがてお目当ての美作の銘酒「御前酒」の造酒屋の辻本店に着く。道路の西側の蔵の前には有った、寅さんロケ地の石碑が。東側の店の入り口の暖簾は祝い酒桶のシンプルな絵柄である。岡山県出身の俳優、長門勇の「御前酒飲まにゃあー」のテレビコマーシャルは岡山弁の忘れられないコマーシャルであった。これに誘われて蔵の中に入る。奥の棚には多くの種類の酒が並べられている。この酒蔵の酒は大半が純米酒で、時代を先取りしてきている。今までの遡行で4か所ほどの酒蔵の前を通過してきたが、まともに中に入るのはここが最初である。一番上段の右隅には1升2万円の超高級酒が鎮座している。大関級が1万円である。上には上が有る物だ。まあワインやウイスキーから較べれば蒸留酒なので安いが・・・。当方は一番下の段の飲み慣れた普通の純米吟醸酒をお買い上げとする。

image19  19.「御前酒」の造り酒屋も暖簾が

image20 20.酒蔵も寅さんに出演

image21  21.ケースの最上段の隅に最高の酒が

image22 22.当方はこのクラスでお持ち帰り

店の前の暖簾の下にベンチが有ったので岡山駅で買った駅弁「いいとこ鳥」の昼を摂る。買った純米酒を飲みたいところであるが、後の歩きがあるのでお茶で濁しておく。あと少しとなった街並みを進む。

image23  23.暖簾を見ただけで何屋かスグ分かる

image24 24.懐かしのピースだ

街並みが尽きる所に旧勝山町役場が建ち、その前には勝山喧嘩だんじりの収蔵庫が有ったので覗いておく。先日見た落合の舟だんじり、久世の喧嘩だんじりのポスター、そして勝山の喧嘩だんじりの秋の祭りは日をずらして連続して行われた。それにしても第三者が冷静に考えると、だんじり同士を何度もぶつけ合う祭りとはけったいな祭りである。
役場裏の神社の拝殿脇の2本の銀杏が色づいている。

image25  25.旧役場前に喧嘩だんじりの収蔵庫が

image26 26.神社の銀杏が素晴らしい

城山の裾を廻り込み対岸の国道313号に向かう橋の桁には、岡山県一の名瀑「神庭の滝」への案内が書かれている。橋げたにはこんな使い方も有るのだ。

image27  27.橋桁が案内標識に

橋を渡り歩道付きの2車線の国道を上流に向かう。中流の雰囲気から上流の雰囲気に変わる。道端にホウズキと思われる珍しい植物が実を付けている。左に道が廻り込むと滝に向かう県道201号が分岐している。この県道と神庭川の遡行も4年前の10月に行っている。

image28  28.珍しいホウズキが

image29 29.岡山県一の神庭の滝入口

大きく屈曲する川を2回の橋で越え、木橋の真ん中の径間が鋼桁になっている橋を見て、真庭市営バスのまにわくんのやって来る時刻となり、柴原バス停でバスを待つ。予定ではあと1kmほど先の山久世バス停であったが酒屋で足を取られた。
落合駅前で中鉄高速バスに乗り帰路につく。今宵はあの酒で乾杯だ。

image30  30.木に鉄を接いだ橋

今日の歩行距離:11.5km。再調査した橋の数:12。
総歩行距離:7,573.7km。総再調査橋数:56。
使用した1/25,000地形図:「勝山」(高梁6号-2)、「横部」(高梁6号-1)