広島―1.芦田川(その1) 平成23711日(月)晴れ

ほぼ10年ぶりに福山駅前に降り立つ。駅前は未だに整備工事が行われ、バス乗り場は懐の深い駅前の外れにある。駅前を見ると左角に天満屋が、右奥に中国銀行があり、これから乗る中国バスは最近両備グループに属し、岡山の井笠バスも路線を持ち、JRも岡山支社であり、備後地方は広島よりも岡山に実質属している印象を受ける。

広島県の河川遡行の第一号は備後地方の最大の川、一級河川の「芦田川」とした。この川は三原市北部の世良台地の源流らしからぬ標高570mの所から東に流れ、最後に南に方向を変えて瀬戸内海にそそぐ延長86km、流域面積860kmの中規模の川である。広島県は東西両端部の高梁川の支流成羽川と太田川を除き、北部の大半の水は日本海に流れ、大分水嶺が県の半ばの台地を通る気候、風土が陰陽二面を併せ持つ県である。

仮設のお粗末なバス停から芦田川の河口付近まで行くバスに乗り、その名もずばり「河口大橋入口」バス停で降りる。広島県の大半のバス事業者がプリペイドバスカードを最近作ったようで「PASPY(パスピー)」と称している。PASS、SPEEDY、HAPPYを合成したようで、キャラクターは熊とのことで、先日の琴電のイルカ、イコカの可愛くないカモノハシなどキャラクター無には過ごせない世の中になった。

バス停から300mほど西に坂道を上がると河口堰に併設された河口大橋に着く。この付近がゼロキロかと思っていたが、堰の海側に1.2キロのポストが見えたので左岸側を海側に歩く。1車線の狭い道を行けども行けども標識は無く、どう見ても川と言うよりは海岸を歩いている感じで、2キロほど歩き西の彼方に鞆の浦と仙酔島の見える地点でゼロキロポストを探すのをあきらめ、Uターンする。今まで歩いた一級河川では必ずゼロポストが有ったが、ここは設置をする効果が無いと判断したのかやる気がなかったのか、残念である。

image1 01.芦田川河口堰

image2 02.どう見ても海なのに

image3 03.西の彼方に鞆ノ浦と仙酔島が

河口堰管理所で小休止し、左岸の土手上の道を遡行する。堰で水面が上がり、500mの広い川の幅一杯に水があり、土手から水面までの距離が短い。直ぐに2.0キロポストが現れ、どうやら多くの人の目にふれる所には設置したようだ。歩道脇に芦田川の説明と流域図があったので写真に撮っておく。

image4  04.2.0kmポストと斜張橋

image5 05.芦田川流域図

3年以上の遡行で初めて斜張橋に出会う。県道380号の芦田川大橋。地形図では工事中と注記されていたが、平成15年に完成したようで、最新の知見が織り込まれている。広島県は自治体として日本で一番多くの長大橋(最大スパン200m以上の橋)を手掛けた県で、瀬戸内海の島と本土とを繋ぐ政策を長年続け、本四にも数多くの県技術者を出向させ、技術と経験を積んできた。広島空港と県北部を繋ぐ新しい道と、深く広い沼田川渓谷に壮大な日本一のアーチ橋を建設している。我々から見れば長期的視野に立った活力ある県である。

image6 06.芦田川大橋

左岸から右岸へ移り水面近くの河川敷を歩いていると、幅の広い水面と西側の山に風が遮られ、絶好の漕艇環境だと思っていたら、ここが漕艇場でかつてのアジア大会での会場にもなっていたとの案内看板があった。さもありなん!

image7 07.漕艇会場説明板

再び左岸の河川敷に戻ると、ミニゴルフ練習場がある。飛距離200mが限度の草茫々のうらぶれた打ちっぱなし場である。自動販売機があったので冷たいサイダーを練習場の椅子に腰かけ、練習を見やりながら飲む。

河口探しに4kmほど予定外に歩いたのと、草戸大橋の直ぐ近くに鞆鉄バスのバス停があるので、午後の強い日差しを避け、ここを潮時とバス停に向かう。

福山~鞆の浦間はかつて軽便鉄道が走っていたが、今はバスに変わり頻繁に走っている。この鞆鉄バスは福山と尾道と鞆の浦を三角形の頂点とするエリアに路線を有するバス事業者で、下津井電鉄バス(岡山、倉敷、下津井)と良く似た環境である。下電、井笠バス、両備バスとも軽便鉄道が母体で、両備は西大寺鉄道(後楽園~西大寺)が母体で、現在は岡電、猫駅長で有名な和歌山電鉄、そして中国バスと県外にも事業を拡げている。両備(備前、備中)から三備(備後)と社名を変えた方がよさそうだ。

今日の歩行距離:10.4Km。調査した橋の数:5。

累計歩行距離:200.8km。累計調査橋数:200。

使用した1/25,000地形図:「福山東部」(岡山及丸亀10号-1)、「福山西部」(岡山及丸亀10号-3)