岡山-1.旭 川(その6)平成26年10月16日(木)晴れ

台風19号が足早に通り過ぎ今日も絶好の遡行日だ。歩くのなら今でしょう!今朝は季節を冬と夏の二つに分けるならば、冬に入ったと思われる寒さである。夏のいでたちを冬バージョンに変えて出かける。

津山線福渡駅から予約しておいた「御津・建部コミバス」の旭川線笑田行きに乗り、笑田口に向かう。回送でやって来たバスに貸切で前回歩いた旭川沿いの県道を北に進む。5年前には真庭市久世まで行くさくらバスに乗ったが、今は岡山市とは絶縁してやっては来ない。前回の折返し点であった旭川ダムから暫くは橋が無いので、コミバスで行ける最遠点の笑田口まで乗車することにした。

20分余りで県道から山の上に在る笑田集落へ登る細い路の分岐点に到着する。ワゴン車のコミバスは狭く急な道に登って行く。お互いの気をつけてと言いあって別れる。

image1 01.コミバスは急坂の細い道に

1.5車線と2車線とが混在する湖岸の県道30号を気持ちよく歩く。台風19号がもたらした雨で旭川湖は茶色混じりの濁った水で満杯である。直ぐに岡山市から旧旭町(現:美咲町)に入る。ここからは美作国である。6日掛かりの岡山市であった。

image2  02.大雨で濁った旭川湖が広がる

image3  03.6日掛かった岡山市と別れる

更に1kmほど進むと、県道の左側が少し広くなった場所に差しかかると、ここが朝夕2本ずつの御津・建部コミバスとさくらバスが南北からやって来て乗り継ぐ場所である。昼便は全く関知せずの場所である。なんだか38度線みたいである。

image4  04.朝、夕2本ずつのコミバスがここで出会う

北東から流れてくる「大瀬毘川」に架かる栃原橋を渡り、道は西に方向を変える。前回も立ち寄った独特の姿をした垪和郵便局に立ち寄る。これで「はが」と読む岡山一の難読地名である。川沿いはダム湖となったので、垪和の集落と田圃は緩やかな山波の上に在る。岡山唯一の棚田百選の棚田も山の上にあるようだ。

旭川湖に東から大きく突き出たような山の突端に久しぶりの橋である「江与味橋」が見える。南西から豊岡川と一緒にやって来た国道429号が県道30号と合体する橋である。

image5  05.5年ぶりに立ち寄った垪和郵便局

image6 06.この先から国道429と重なる

前回の歩きで見つけた左岸側橋台の後の巻き込み石積のクラックの状況を見るため河川敷に降りる。草茫々となった歩き辛い河川敷を進むと、石積みの大きなクラックは前のままになっている。前回の写真と見比べて見ると草木の量が多くなっている。

image7  07.橋台裏の石積みのクラックはそのまま

image8 07-1.江与味橋(旭川)橋台のクラック

image9  08.草茫々の河川敷から江与味橋を見る

がっかりして道に戻り橋に向かう。橋の手前に道路工事中の看板が有り、文面を読んで判明した。この国道と県道が交差する三叉路の拡幅と左岸側橋台の改築が行われているのだ。やはり手を打ってくれている。遡行調査は無駄ではなかったようだ。

image18  09.改築工事の看板が有った

image11  10.橋台付近の工事が始まっている

image12  11.クラックの石積みも新しい物に変わるだろう

橋は昭和11年完成の古強者で幅が1.5車線分しかないので大型車同士のすれ違いが困難な橋である。国道429号は岡山県の第二と第三の市である倉敷市と津山市を最短距離で結ぶ道で近年国道に昇格した道路である。2連のトラスの塗装履歴表示には、古くから使用されてきた「長油性フタル酸塗料」と最新の「フッ素樹脂塗料」との比較をするためなのか、両者が記載されている。その耐久性を同一条件で比較検証しようとしているようだ。2009年に塗り替えられているので、今はまだ顕著な相違点は見られない。

image13  12.新旧2種類の塗装の比較試験中か?

対岸から左岸側に戻ると、コンクリート橋部の高欄が破損されたままになっている。これは何か在るなと感じながら国道となった道を北に向かう。三叉路の北側には「みち停あさひ」なる真新しい標識が建っている。前回には無かった施設である。

image14  13.コンクリート橋部の高欄はアキマヘン

image15 14.「みち停あさひ」なる標識が

俄然交通量と大型車が増えた国道429号を北東に向かう。道路の状況は変わらないが交通量が増えたので気をつけて歩く。旧旭町の役場のあった「通谷川」沿いの西川に差しかかる。ここまで合流してきた川の全てを前回は歩いてきたが、もう一度歩く気力は無い。通谷川が合流する地点の橋を渡ると、国道は川に沿って北東方向に向かい、道は再び県道30号単独となり、西に分かれる。

image16  15.東から通谷川が合流

道が再び北に方向を変える地点で旭川を渡る大きな新しい橋の上部工工事を横河ブリッジが施工している。5年前は橋脚だけがポツンと建っていたが、いよいよ上部工の床版の工事まで進んでいる。これで江与味橋の悪い状態を放置していた理由が分かった。現橋は狭く痛みも激しいため、国道は東側(左岸)側の拡幅をせず、西側(右岸)にバイパスしてこの橋で左岸側に渡るのである。ただ三叉路改良と橋台の改築は緊急性が高いので優先して工事に取り掛かったのであろう。7m幅の車線と2.5mの歩道のある標準的な横断構成である。

image17  16.国道429のBP橋が工事中

image18  17.大手橋梁メーカーが工事中だ

再び静かになった道を北西に向かう。廻りに民家の無い所に立派な神社が建っている。「徳尾神社」である。旭川ダムの完成により川近くからこの地に遷宮してきたと神社のいわれに書かれている。正面から見ると見事な左右対称の姿である。

image19  18.徳尾神社はダム完成時にここに遷宮

うっすらと汗をかきながら道を進むが、朝と昼の温度差が大きく服装の選択が大変である。やがて今日の打ち止め点である「旦土大橋」にやって来た。旭川湖が尽きた地点をトラス1連で一気に渡河する橋である。前回の調査で早急に補修塗装が必要と判定し、×とした橋である。その後の進捗が気になっていた橋である。

image20  19.旦土大橋が気にかかる

橋はなんら手が打たれておらずがっかりする。前回写真を撮ったのと同じ部材をカシャする。塗装の剝がれ、錆が更に進行している。

image21  20.5年前の写真と同じ場所をカシャ

image22 20-1.旦土大橋の5年前の状況

 

橋の手前の通学バス待合室で岡山駅の駅弁の昼を取る。ここまで座る場所が全く無かったので助かった。10分ほどして対岸の下旦土に渡ると橋梁工事中の看板に出会う。旦土大橋よお前もか!この橋も狭く傷んでいるので、直ぐ上流に新橋をこれから数年かけて建設するようである。旦土大橋よ、お前も自然死を待つのだヨ。

image23  21.旦土大橋よお前もか!

直ぐに1日1本の山間部経由の久世行き旭川さくらバスがやって来て乗車。これも貸切状態で、勝手知ったる道を北に向かう。落合駅経由、インター前で下車し、帰りの高速バス到着までバス停前の店でコーヒータイムとする。30分ほど店内で阪神連勝のスポーツ紙をにやにやしながら読み時間を過ごす。下剋上を願いながらバス停に向かい、岡山行き中鉄高速バスに乗り込む。このバスも何回も乗ったバスである。

image24  22.旭川さくらバスが到着

image25  23.落合インターで中鉄高速バスに乗り換え

本日の歩行距離:12.6km。再調査した橋の数:3。

総歩行距離:7,526.1km。総再調査橋数:35。

使用した1/25,000地形図:「西川」(高梁3号-3)