徳島1-6.銅山川 平成25年1月19日(土)晴れ

特急南風1号に30分あまり先立つ快速に乗り坂出、多度津で乗り換え、後からやって来た南風に乗り込む。これで特急料金1050円が半額の510円となる。早起きは500円の得!特急は児島、宇多津、丸亀、多度津とこまめに駅に止り、宇多津駅で高松からのしまんとを連結するため、快速と各停の乗継でも大差が生じない。今日も寝台特急「サンライズ」が10分ほど遅れ、宇野線と四国の列車はダイヤが乱れる。タイトなダイヤと線路設備なので遅れが波状的に広がる。
阿波池田で各停に乗り換え阿波川口駅に降り立ったのが8時58分。吉野川本流遡行時に診た銅山川の合流点近くの3つの橋を横目に見ながら銅山川の遡行に出発進行。
この川は、法皇山脈の南北の山裾に広がる別子銅山群の南斜面から流れ出し、法皇山脈と四国山脈の間の谷間を東に流れ本流に注ぐ、全長60km余りの最長の支流である。徳島県側は10km余りの長さで、地元では伊予川と言い、橋の親柱にも伊予川と書かれている。この川の四国中央市域への分水問題、鉱毒事件などの余韻が川名にも残っている。狭い平地には元山城町の役場、郵便局、建設会社などの建物が川に迫り出して建っている。国道32号から別れ、この川沿いに奥に向かう国道319号の気温表示は0度。昨日の雪が路面の所々に残っている。

01.役場も郵便局も川に迫り出している

02.気温はゼロ度、雪の残る国道319を歩く

1kmほど進むと黄色も鮮やかなレンズ型の桁が見える。大規模な吊り床板橋の青雲橋である。ダム湖の上の遊歩道などに採用されてきた形式の橋であるが、このように車も通れる橋は世界初と解説板に書かれている。正式橋梁形式は「自碇式吊床版PC複合トラス橋」で、2006年国際コンクリート連合の最優秀賞を受賞し、その受賞記念碑が橋際に立っている。今は三好市になったが山城町はやるでないでがだー。

03.レンズ型の青雲橋が現れた

04.橋の説明文。大規模な吊床板橋は世界初

05.国際コンクリート連合最優秀賞受賞記念碑

この支流からも吉野川を下るラフティングの出発点があるようで、乗船場の入口には石彫りの阿波タヌキが愛嬌を振りまいている。現在の阿波タヌキは坂東英二のようである。
山峡を進んで行くと対岸の小学校に通じる吊橋が現れる。良く見ると四電の取水堰の上に架けられた四電の私道橋である。

06.阿波タヌキがラフティングに出発

07.堰の上に小学校に通じる吊橋が

狭い渓谷を縫うように走る国道は2車線から四国名物の狭い1車線になり、川からどんどん上の方に上がり、川が見えない遡行となる。道の両側から道路の上に覆いかぶさっている木や竹の枝葉から氷の小片が雨あられのように落ちてくる。枝葉に降り積もった雪が夜に凍り、気温の上昇に伴い溶けだし落ちきたようだ。足元は雪が残った滑りやすい道で、上からは霰が舞い落ちる苦行の道である。
10kmほど歩くと徳島県と愛媛県の県境となる。先日の金生川に続く県境である。山城町と新宮村の境で現実には無い京都と和歌山の境のような錯覚に陥る。直ぐに四国交通のその名もズバリ「県境」バス停が現れる。今時珍しい県を越えて引かれた路線である。テレビ東京系で放映されている日本全国路線バスの旅では、県境を越えたバス路線が無く県境を歩くのに四苦八苦していた。

08.彼方は愛媛県四国中央市(新宮村)

09.此方は徳島県三好市(山城町)

10.ズバリ県境バス停

足元は大変だが無風快晴の天候に恵まれ計画よりも早く進み、新宮15時30分発池田行きバスの1本前の13時30分発に間に合いそうなので速度を上げる。行き交う車は少なく、新宮までに出会った車は20台程度で、国道の存在意義が薄い道路である。川の見えない川面から30m以上の高さの国道をひたすら歩き、少し谷間が広がった新宮地区に入る。バスが駐車している所に13時25分に到着し、雪かきをしている人にトイレのありかを聞くと、下の川の方に有るとのことでトイレに行っていると、件のバスが出発する音が聞こえてくる。バスは対岸の始発バス停である診療所前に出かけたようなので、バス待合所に戻るとバスは待合所の手前の交差点の道を右折して過ぎ去って行く。当方はこの待合室に来るものと思っていたのでビックリ。先ほどの人に聞くと、この待合室は伊予三島に行くせとうちバスの待合所で、四国交通のバス停は直ぐ横の商店の軒先に有った。仕方なくコンビニも喫茶店も食堂も無いこの待合所のベンチで2時間待つことにする。せっかく雪道を急いだのがパー。直ぐ近くの神社に行くと、神社名は熊野神社。新宮の地名は、紀州新宮の熊野神社を勧請して神社が建てられたことからきているようだ。
帰りのバスはこれまた貸切で、狭い道を大型バスは難なく進んで行く。さすがプロの腕は確かである。それにしても850円分の長い雪道をよくぞ歩いたものである。

11.池田行き四国交通バス

12.熊野神社。これが新宮村の名前の元に

本日の歩行距離:19.2km。調査した橋の数:14。
総歩行距離:5,502.7km。総調査橋数:8,968。
使用した1/25,000地形図:「阿波川口」(高知1号-3)、「伊予新宮」(高知5号-1)