兵庫-8. 武庫川(その6) 平成24年9月19(水)快晴

三宮駅で新快速を乗り捨て阪急のホームに向かう。三ノ宮駅の西口はJRと阪急の改札口、ホームが至近距離にあり、乗り変えが簡単にできる。高校時代に通学に利用した阪急電車の車体のデザインは変わったが、車体の色(マルーン)、車内の色(茶)、座席の色(濃緑)、吊皮などはそのままで落ち着いた雰囲気の大人の電車である。乗客も日本有数の住宅地を数多く通るため他よりは品格があり、日本中の鉄道を乗ってきたがピカ一である。
西宮北口で今津線に乗り換え宝塚南口に向かう。かつてはこの今津線と神戸線が全国でも珍しい高速鉄道同士の平面交差をしていたが今は無くなった。路面電車同士、路面と高速とならば今でも全国に数か所あり、広電、土佐電、伊予鉄などがガチャンガチャンと通過している。今日は南口駅から武庫川の右岸側を河口付近まで歩く予定で、秋の高気圧に覆われ日差しはきつく暑さも残っているが爽やかな天候である。尼崎の立花に単身赴任で住んでいた10年以上前の日曜日に一度この川を武庫川駅から宝塚まで歩いたことがあり、その時は尼側の左岸を遡行したので今回は西宮の右岸側を下る。
逆瀬川の合流部までは川沿いに道は無く、住宅地の中を歩き逆瀬川の橋を渡り本流の川沿いに向かう。本流部まで来ると前方に土手の上の歩行者道と河川敷内の遊歩道と二つの道が手招きをしてくれる。両手に花で困っちゃうが先ずは右側の広い道に入る。

 01.さーてどちらの道にしようかなー?

体育施設、市役所の横を通るが、平日にもかかわらず多くの人が上下二段の道を歩いたり、走ったり、漕いだりしている。健康保持に川が役だっている。対岸が伊丹市に変わり、やがてこちらも西宮市に変わるが対岸は直ぐに尼崎市となる。前回歩いた左岸側よりもこちらの方が遊歩道と自転車道も有り、充実している。小さな川と仁川が合流する岬状の場所に西宮市の仁川墓苑が広がり、見事に洋風に統一された墓石が並んでいる。仁川の合流点の先ちょには高層マンションが聳え、東の大阪平野、南の武庫川と大阪湾、西の六甲山系が見渡せる絶好のロケーション位置にある。高いだろうナー。

 02.洋風墓石が並ぶ墓苑

 03.見晴らし最高のマンション

高校野球と駅伝で有名な報徳学園の校舎を右に見、新幹線と国道171号(西国街道)を過ぎると、堤防上は自動車道となり河川敷の遊歩道に避難する。ここからは土手に沿って黒松が繁りエエ感じ。六甲おろしの強い西風に松はみんな「川向けーカワ」と一斉に川の方を向いている。

 04.六甲おろしで川の方に傾いた黒松

阪急神戸線の橋は二つの単線の橋が離れて架かっている。未だ完成して新しくかつては複線の普通の鉄橋であったが、旧橋の両側に単線の橋が架け替えられたようで、こういう架け換えは珍しい。普通は旧橋の横に経済的な複線の新橋を建設するが、ここでは用地取得の制約か、大きなS字曲線を入れるのを嫌ったからなのか分離単線となっている。

 05.往復分離された阪急神戸線橋梁

名神高速道路、複々線の東海道線と交通の大動脈の橋を潜り南下を続ける。宝塚から河口付近まで両岸に遊歩道が続く武庫川は、川自体は前頭級であるが遊歩道や園地の整備では大関級である。やがて国道2号線(子供の頃はニコクと言っていた)の武庫大橋のアーチが連なる姿が現れる。これぞ親柱と言える柱の根元には「大正15年竣工、平成5年補修」と銘板が有る。国道2号は阪神電鉄の前身の会社の資金が投入されて完成され、かつては野田阪神から東神戸まで大型のかっこいい路面電車が国道の真ん中を走っていた。大阪市電の野暮ったい車体と異なりスマートな車体で、停留所に来るとステップが飛び出してくる優れ者である。橋は大正ロマンを感じさせる優雅な橋で、多くの知恵と思いが込められている。

  06.2号線武庫大橋は大正15年完成

 07.大正ロマンを感じる優雅な橋

海水の遡上を止める堰のお蔭で水面が広がり大河の姿となってくる。阪神本線の武庫川駅は川の上にあり、線路、ホーム、通路が川の上に掛かり、橋は複雑な姿をしている。阪神は他に芦屋川の上にも芦屋駅があり、川の上がお好きなようだ。

 08.阪神武庫川駅は川の上

阪神高速神戸線、第二阪神国道(国道43号)を潜り南下を続け、阪神武庫川線の武庫川団地前駅近くを歩きの終点とする。遥か先には阪神高速湾岸線の橋が川と海の境に霞んでいる。対岸にはかつて吊橋のケーブルの積算基準を作るために訪れた神戸製鋼の鋼線工場が見える。土手下の駅に向かいわずか1.5kmの盲腸線の電車に乗る。全国鉄道乗りつぶし以来の乗車であるが、当時は再び乗るとは思っていなかった。

 09.河口には湾岸線が架かる

 10.盲腸線の阪神武庫川線の終点

武庫川駅の連絡通路の橋の上を歩き、東側のホームに向かう。各駅停車のジェットカーに乗り西宮駅で乗り換えるが、やって来たのは近鉄奈良駅からの快速急行の近鉄電車。西大阪線完成に伴い近鉄奈良線と阪神が難波で結ばれ、奈良~三宮が直接繋がった。車体長さ、ドアー数などが異なるのによく相互乗り入れが出来た物である。三宮で今度は山陽電鉄の姫路行きの直通特急に乗り換え帰路につく。これで岡山から始めた遡行の総歩行距離が5千キロの大台を超え、また今日はJR(旧型車、新快速車)阪急、阪神、近鉄、山電と多種多様な電車に乗れて余は満足じゃ!

 11.阪神西宮駅に近鉄電車が進入

今日の歩行距離:14.0km。調査した橋の数:16。
総歩行距離:5,008.7km。総調査橋数:8,368。
使用した1/25,000地形図:「宝塚」(京都及大阪12号-3)、「大阪北西部」(京都及大阪12号-2)