兵庫-8. 武庫川(その3) 平成24年9月10日(月)曇り一時雨

朝9時33分、前回の折返し点である本庄小バス停に降り立つ。このバスに合わせて5時44分発の電車に乗り、岡山から相生までこだまを利用する。今回もみずほ、さくら用の新700系の4人掛けシートを選び、しばしの豪華気分を味わう。
武庫川の土手の上の小道は草茫々で歩くのは困難なため、丘の麓の市道にバイパスする。本庄小学校裏の田圃の中に児童のための体験田圃が有った。稲穂も色づき収穫真近である。

 01.本庄小学校の体験田圃も黄金色に

なだらかな丘に囲まれた川近くの道と、草の少ない区間は土手の小道を快調に南に下る。今日は長かった暑い夏も一休みで、涼しく汗もほどほどで気分よく歩ける。暫し別れていた国道と福知山線と広野で再会し、暫し付かず離れずの距離で並走している。右岸側の道を選択して県道と土手の道を進む。広野駅南方で福知山線は川を長いトラス橋で渡るが、無塗装橋の焦げ茶色が周囲の景色とは溶け合わず、無粋な姿を現している。

 02.広野駅南方の無粋な鉄橋

やがて道沿いに県の浄水場が広がり、今日は沈殿濾過池も水が抜かれ底の活性炭が黒い姿を現している。

 03.浄水場は空干しで炭が一面に

新三田駅を左に見ながら瀬戸橋まで来ると、久しぶりの土手上のウオーキングロードが現れる。待ってました。向こう岸には二棟の高層マンションが立ち、大阪の衛星都市となった三田市を実感する。唯我独道の真っ直ぐな桜並木が続く道を満喫する。川沿いはこうでなくっちゃー。

 04.大きなマンションが川辺に現れる

 05.待ちに待った自歩道が桜並木に

道の途中に石碑が有ったので見てみると、市民と川をつなげるため三田市は桜並木の造成に努めて来たとある。これでこの川に桜が多い理由が分かった。ガッテンガッテン。出来れば土手の上の草の除草をお願いしたい。せっかくの桜並木が台無しである。地元の人との連携が大切である。

 06.この川に桜並木が多い訳が分かった

西に広がる台地の上にはウッディタウンとフラワータウンの巨大なニュータウンが広がる。これに合わせたような形で新しい市の消防本部が右手に見える。なかなかユニークな建物で目につく。二つの団地の間から流れてくる川の合流点の先では二人の若者がギター片手にソングの練習中である。今日は涼しく、周りには邪魔も無く、邪魔もしないので思い切り歌えるだろう。足元には早くも秋を代表する花である「萩」が可憐な花を咲かせている。秋は確実にやって来ている。

 07.三田市消防本部はユニークな建物

 08.秋の名は「萩」が咲きだした

市街地に近づいて来ると右岸側には真新しい病院、郵便局、警察署などの公共施設が続いている。川の改修と合わせて施設が整備されたものと推測する。市街地に入ると一見して直ぐ消防と分かる古い本部が忽然と建っている。壁には蔦が生い茂り絡まっている。新旧建物の大きさとデザインには歴然とした差が有り、市の発展が実感できる。

 09.古い消防本部は蔦が絡まっている

中心部の古い商店街は人通りも少なく、人口増の恩恵はこちらには無関係のようだ。川沿いの一角には今が盛りの百日紅の花が咲く樹が続いている。市道、県道、国道と数多くの橋が続き、神戸電鉄の橋も仲間に入っている。丁度電車が差し掛かったのでカシャ。西端の粟生駅と東端の三田駅と両端の駅近くで電車の写真が撮れた。

 10.三田市街では百日紅が満開

 11.神戸電鉄が武庫川を渡る

今日は調子が良いので更に進み、やがて神戸市北区に入り、大きな支流である「有馬川」の橋を渡る。これまでは曇天であったが、天気予報通りの雨が降り出した。暫し傘を差しながら「道場」駅を目指す。川はここから六甲山系に連なる北摂の山の連なりに分け入る。ここから宝塚まで狭い屈曲した渓谷が続く。予定していた時間よりも30分早く道場駅に着き帰路につく。
今日の歩行距離:16.0km。調査した橋の数:28。
累計歩行距離:2,050.6km。累計調査橋数:2,586。
精査歩行距離:2,151.5km。精査調査橋数:2,824。(途中での集計漏れ)
岡山遡行歩行距離:2,821.2km。岡山調査橋数:5,504。
総歩行距離:4,972.7km。総調査橋数:8,328。
使用し
た1/25,000地形図:「藍本」(京都及大阪15号-1)、「三田」(京都及大阪15号-2)

兵庫-8. 武庫川(その4) 平成24年9月13日(木)晴れ一時曇り

久しぶりの1泊2日の遡行に取り掛かる。今日は大阪に近い所を歩くので夕方久しぶりに友と会うので、宝塚のホテルに泊まり武庫川を終える予定である。
前回の折返し点の福知山線の道場駅から下流に向かう。駅近くの第4武庫川橋梁を左に見やりながら県道327号の橋を渡り右岸を歩く。住宅地を過ぎ谷間は一層狭く険しくなる。左岸に合流する波豆川が見えない鬱蒼とした木々の間を潜ると、今度は頭上高く第3武庫川橋梁が跨いでいる。こちらはコンクリート箱桁橋で、曲がりくねる川を串刺しにして真っ直ぐ走っている。

 01.第3武庫川橋梁はコンクリート橋

やがて前方に工事中の高い橋脚とクレーン、桟橋が見える。近づくと新名神高速の工事中で解説板に完成予想図が載っている。今流行りのエクストラドーズド橋のようで、谷間の遥か高い所を通過している。ここからしばらくは新名神の現場が続き、行きかう車の殆どは工事関係車である。

 02.新名神高速の高い橋脚の工事が

 03.完成図を見れば流行りのエクストラドーズド橋だ

右岸から左岸そして右岸と何度も橋を渡り、再び左岸の道を進むと、頭上から「今日はどこまで行くの」と声がかかる。左手の上を見ると先日の歩きのあの曲地区で出会った桜の剪定作業をしていた人である。今日はここで数人の60代の人たちと草刈りをしているようだ。「恰好がこの間出会った人なので声を掛けたんや」と言ってくれる。同じ人に二度会うのは初めてでビックリする。直ぐに分かれて東に向かう。
川下川との合流点で県道は途切れ、川下川沿いには狭い市道が北に分け入っている。この川の方を見れば、福知山線の直ぐ北側で新名神の橋が工事中でこちらは桁が閉合真近である。多分先行させ、工事用道路として利用するのであろう。

 04.閉合真近な川下川に架かる橋

地形図を見ればこれから先は狭い徒歩道が記入されているが、これが曲者で今まで何度か騙されてきた。地図が作成された時にはあった道が、管理がなされないまま放置され、草木が茂り、谷間では岩塊が崩れ落ち歩けないことが何度かあった。今回も自然回帰状態になっているのではと危惧していたが、その通りで道らしきものは見当たらず、崩壊した岩と草木が生えている。県道はこの先の武田尾まで有ることにはなっているが道は無い。この先の武田尾までと武田尾の東500mほど先から生瀬迄公道は無い。大都市周辺の大きな川の川沿いに公道が無いのは初めてで、多分これからもこのような区間は無いであろう。
川下川合流部から先の右岸側は西宮市、左岸側は宝塚市となり、武田尾駅近くの集落と温泉を除けば人家は生瀬まで一軒も無い。それぐらい狭くて厳しい谷間が延々と続く。

 05.ここから下流は道が全く無い!

計画ではここから2km先の武田尾まで歩く予定であるので、なんとかまともな道が残っている所まで行こうとアタックする。川近くのガレバの木と岩が折り重なる所を汗をかきかき必死に進むが、それらしき道は現れない。すると足元の岩の間にあの恐ろしいマムシ君が独特の色と模様を見せている。一瞬背筋が凍りつく。やっこさんも驚いたようで岩の隙間に潜り込んで逃げていく。汗と冷や汗の両方がいっぺんに吹き出し、こりゃあかんわ。元来た方向に当方も逃げ帰ることにする。わずか100mほどに30分もかけて戻る。合流部付近に居たガードマンにこの先はハイキングには適さないので、道を聞かれたら危険性が高いことを伝えてあげてとお願いして来た道をしぶしぶ歩く。
道場駅近くの民家の軒下には、萩、百日紅、コスモスの今を代表する花が咲き誇り、暑さと胆を冷やした気分を和らげてくれる。

 06.道場駅に戻る途中で秋の3花が

道場駅から一駅の武田尾駅まで電車に乗り、ホームに降り立てばトンネルの中。8両分のホームの7割はトンネルの中に、残りは武庫川に架かる第2武庫川橋梁の上にある。曲がりくねった渓谷の線路を放棄し、別線は最短距離をトンネルと橋で通過している。

 07.武田尾駅はトンネルの中に

 08.ホームの端は武庫川の橋の上に

 09.付替え線路はトンネルと橋の連続

駅から上流部の温泉に向かい、直ぐにUターンして下流に向かう。元の武田尾駅の有った所は道の両側に市が造った駐車場が続く。この駅付近は温泉宿と旧駅近くに10軒程度の民家が有るだけであるが、県道327号が支流に分け入った先の北側には宝塚市が広がり、この住民がこの駅を利用しているのがメインのようである。駅下からはこの方面に行く阪急(田園)バスもある。バスで市役所に行くと大きく迂回して行くことになり、武田尾駅利用が遥かに早く行ける。

 10.旧武田尾駅は駐車場に変身

廃線跡の道の入口でUターンし、近くの食堂で昼を摂り、廃線跡の歩きが可能か聞くと、懐中電灯が有ればOKとのこと。駅に戻り今日はこれまでとし、大阪に向かう。途中の伊丹駅で下車し駅近くのイオンで懐中電灯を買い、車窓から一瞬見えていたマンホールを探り当てカシャ。絵柄は多分昆陽池に遊ぶ水鳥のようで、白鳥と多くの鴨が遊んでいる楽しい図柄である。

 11.伊丹市は昆陽池の水鳥が一杯

今日の歩行距離:12.0km。調査した橋の数:10。
総歩行距離:4,984.7km。総調査橋数:8,338。
使用した1/25,000地形図:「武田尾」(京都及大阪11号-4)