岡山-1.旭 川(その10)平成26年11月19日(水)晴時々曇り

大学のクラス同窓会に出席後に風邪をひき暫くおとなしくしていたが、足がムズムズとするので久しぶりの遡行に出かける。先日、清水から飛び降りたつもりで買った足型に合わせた中敷きを入れたあつらえの靴を履き出発。これまでのドクターサンダルでは足元が寒い季節のため冬バージョンの登場である。

旭川最後の区間の蒜山を目指す。中国勝山でまにわ君に乗り継ぎ、先日の折返し点の湯原温泉を通過する。この先は湯原ダムが堰き止めた湯原湖が延々と続き橋が無いため、橋の有る野田までバスで向かう。かつては湖岸沿いの曲がりくねった道であったが、湖岸を避けた新道は二の長いトンネルであっという間に湖が尽きる初和に至る。ここから先の国道は昔のままの歩道の無い区間となる。

11時前に野田橋バス停に降り立つ。前回は初和から歩いたが歩道が無く、路肩も無い見通しの悪い渓谷の国道歩きは危険なので野田からの歩きとし、直ぐの橋を渡り対岸の市道を歩く。前回の同じルートの歩きで5年前にタイムスリップする。真庭市になった旧町村の内これまで落合町、久世町、勝山町、湯原町そして中和村(ちゅうかそん)をかすめ八束村に入る。直ぐにマンホールが現れ、蒜山3座をバックにジャージー牛が描かれ、自分の好きな絵柄である。

image1 01.旧八束村は蒜山3座とジャージー牛

車の通らない市道を北に向かうと、これまでの渓谷が終わり、広い高原状の土地が広がる。北側の鳥取県境の高松山(H=574m)が当方を出迎えてくれる。ここから20km余りの旭川沿いの景観は西日本には珍しい高原の風景である。

image2 02.先ずは高松山がお出迎え

十六仙(H=632m)が東に出っ張り、川は大きく湾曲してその流れは北から西に方向が大きく変わる。3~5km北は鳥取県となるので本流はこの先北から流れることは無い。

西に歩行を変えた地点まで来ると「蒜山高原自転車道」が現れる。蒜山地区を細長いループ状に巡る道である。その姿はオーストリアを左右逆にしたルートである。高原ならここ、海と島なら「しまなみ海道」、歴史を感じるなら「吉備路自転車道」がお勧めである。自転車道の橋からは曇り空の元、下蒜山(H=1,100m)と中蒜山(H=1,123m)がその姿を現してくれる。

image3  03.下蒜山(右)と中蒜山(左)は雲の影

image4  04.蒜山高原自転車道はループ状に

橋を渡った対岸の休憩所で岡山駅で買ったコンビニおにぎりの昼を摂る。歩いている時は寒くは無かったがじっとしていると寒さがこたえる。10分ほどで早々に立ち去り、南側の自転車道を西に向かう。この季節自転車道にはだれも来ない。

蒜山高原は太古の時代は大きな湖で、水は鳥取県側に流れていたようで、大山の噴火で流路が変わり、南に流れるようになった。太古の時代の川の流れ口が県境の犬挟峠(H= 515m)である。この峠の岡山県側は緩やかな坂で、トンネルの無い峠である。鳥取側は急傾斜の綴れ折れの道となる。これを嫌い近年国道313号は東側の山中に長大トンネルで標高を落とした新道に切り替わった。このため蒜山地区では瀬戸内よりも日本海の方が近く、魚も鳥取産が多い。

image5 05.下蒜山(左)の右山腹が犬挟峠

冬が直ぐそこまで来ているような曇り空の下自転車道を進み、前回立ち寄った蒜山大根の洗い場を覗く。前回は7月で夏大根の洗浄の真っ最中であったが、今日は既に冬大根の収穫の終わりなのか洗い終わった大根がさかさまにズラリと並べられている。美脚が一斉にこちらを見ている。大山の火山灰が厚く降り積もったこの地区は大根栽培に適し、肌理の細かい美味い大根である。直ぐ北側の水槽には巨大な鯉が10匹ほど元気に泳いでいる。鯉の味噌煮に大根は合うだろうなー。

image6  06.見事に揃った大根が上向きに

image7  07.大きな鯉が泳いでいた

前回は歩かなかった市道を進むと、屋根だけ最近架け替えられた古い阿弥陀堂が道沿いにポツンと建っている。葉が落ちた木との組み合わせに味があるのでカシャ。

image8  08.新しい屋根を付けてもらった阿弥陀堂

龍頭橋を対岸に渡り、左岸沿いの道を進み美田野橋を診て今度は国道482号を西に向かう。この辺りは平地で見通しが良いので歩道は無いが国道歩きとした。代替道が近くに無い区間には歩道が現れる。

歩道付きの道を進むと北側に「真庭市蒜山振興局」なる建物が建っている。前から気になっていたので立ち寄っていろいろと質問をすることにする。かつてあった岡山県の振興局と紛らわしい名前である。9町村が合併した真庭市は広すぎて蒜山地区から市役所まで1時間以上も掛かり、市の蒜山地区の事務の一部をここでやっているとのことである。旧八束、川上、中和の各村は地名の頭に全て蒜山を冠している。真庭よりも蒜山にこだわっているようだ。この旧3村部は市の別格扱いであるようだ。

image9 09.真庭市蒜山振興局に立ち寄る

直ぐの北に向かう道の手前には「塩釜冷泉」の案内標識が有る。この冷泉は中蒜山の伏流水が大規模に湧き出る泉で、道から直ぐの所で見ることが出来、蒜山の名物で4年前の遡行対象として見て来た所である。

image10 10.塩釜冷泉にはここを右に曲がる

歩道の無い区間では直ぐ平行にある裏道に入り西に向かう。中福田地区に入り、前回立ち寄った「蒜山焼きそば」の店に入る。蒜山に来たらB1グランプリ受賞の焼きそばを食べずには帰れまい。閉店間際の店に駆け込み久しぶりの味噌だれのそばを食す。ここの御主人はこの蒜山焼きそばの推進者の代表である。昼にお握りを2個食べていたがペロリと完食して店を出る。

image11 11.5年ぶりに蒜山焼きそばを食べる

湯舟川の橋を渡れば旧八束村から旧川上村に入る。川上村は他にも奈良県と長野県と3つ在ったが1つ減ってしまった。岡山県には川上町も在ったが高梁市に編入されたため、両川上町村は消滅してしまった。直ぐに次のマンホールが現れ、こちらはジャージ牛だけの直球1球勝負である。もうーこれ以上の物はないじゃろが!

image12 12.旧川上村はズバリ直球勝負

今度は左岸の川沿いの道を上流に向かう。直ぐに本流はそのまま西からとなり、川は大きな支流の明連川沿いとなる。本流の遡行はここまでとする。前回はもう少し上流まで歩き、タクシーを呼んで帰路についたが、今回はもったいないのでここまでとした。

北北西に目を向ければ尖った姿が特徴の「儗宝珠山(H=1,110m)」が見え、左側の彼方には雲間に大山の雪が覆う南壁がかすかに見える。

image13 13.儗宝珠山の左に雪に覆われた大山が

終了点の上福田の交差点には真新しいコンビニが出来ている。バスまで20分ほど有るので100円珈琲を店内で飲み時間を過ごす。5分前にバス停に来るとまにわ君の路線図と時刻表が掛かっている。真庭市内には37もの路線が縦横に巡らされ、どの路線も距離に関係なく1回乗車200円である。蒜山高原から久世の市役所まで50km、1時間半の乗車でもたったの200円ですぞ。この蒜山幹線は中型バスが使用され、今日も15名程度の乗客で盛況である。真庭市は公共交通確保の優等生である。なんと鳥取県の関金温泉まで行く便まである。これを乗り継げば岡山から1,750円で関金温泉まで行けるぞ。

image14  14.真庭市のコミバス路線網は凄い

image15 15.上福田からまにわ君に乗車

今日の歩行距離:14.6km。再調査した橋の数:11。

総歩行距離:7,626.8km。総再調査橋数:84。

使用した1/25,000地形図:「蒜山」(高梁5号-1)