兵庫-4. 市川(その1) 平成24年3月8日(木)曇り
播磨4番目の川、市川の遡行に取り掛かる。姫路駅から左正面にある山陽電鉄姫路駅に向かう。神戸舞子に新幹線通勤していた時に時々帰路に利用した山電の駅で、大私鉄ではないが高架の4線のホームを持つ堂々たる駅である。阪急、阪神とは神戸高速線を経由して結ばれ、阪神三宮に「直通特急」なる特急が頻繁に発車してゆく。三宮で近鉄奈良行き快速急行と乗り換えれば、世界遺産の有る姫路、奈良間も簡単に往復できる時代になった。赤ひげを付けた電車が4番線にフルに揃っているうちの右端の普通車(山電ではこう言う)に乗り、市川の河口に近い「妻鹿」駅に向かう。

image1   01.山陽電鉄姫路駅ホームは満艦飾

市川の鉄橋を渡ってすぐの妻鹿駅から左岸を歩いて河口に向かう。古い国道250号を過ぎて直ぐに河川と港湾の管理境界標識がここにもあった。この先に最近250号の新しい橋が出来、法令上の河口(最下流の橋)も少し長くなったようだ。

image2  02.ここにもあった河川管理境界

程なく新250号の橋「市川浜手橋」に着き、橋の緒元と様子を見る。下流側には関電の火力発電所、大阪瓦斯、山陽特殊鋼などの巨大な工場施設が見える。この橋のあたりがかつての海岸線で、埋め立て地にこれらの施設が建設された。橋の上に上がり、360度周辺の景色を見渡すと、この橋が工場地帯と住宅地との境に有るのがよく分かる。

image3 03.最近完成した「市川浜手橋」

image4 04.橋から上流を見る

対岸の右岸に来ると、日帰り温泉施設がいらっしゃいと手招きしてくれるが、歩き始めて直ぐなので遠慮する。橋から下に降りると、橋の下が漁船の船溜まりになっている。橋の建設と同時に合併施工された施設のようだ。

image5 05.遡行開始地点に日帰り温泉が、残念

image6 06.橋の下は漁船の船溜り

こんどは右岸の土手の上を歩き、山電の踏切を渡ると鉄橋の傍らにお地蔵さんの祠があり、ここで事故に遭った人を供養するために建立されたものと想像する。三宮行き直通特急が通過したのでカシャ。
土手の上の狭い道を車が途切れることなく行き交い、車の様子に目を凝らしながら歩くが、先日の戸倉までの歩きとは大違いである。普通この程度の大きさの川の下流部の河川敷は綺麗に整備され、遊歩道なども有るものであるが、此処は土手の下はゴミだらけで、河川敷も未整備で増水時に流れてきたゴミがそのままである。今まで多くの川を見て来たがこんなにひどい惨状の川は初めてである。こんな川を歩くのは気持ちが悪い。大都市と言っても過言ではない姫路の川がこれでは県庁を持ってこなくて良かった。
交通量の多い国道2号姫路バイパスを越え、山陽新幹線と山陽本線とが仲良く川を渡る辺りから一応河川敷らしい様子になり、整備工事も行われている。

image7 07.山電特急が通過

image8 08.新快速が通過

旧国道2号の古い市川橋を過ぎた所で近くに松屋があったので昼食とする。本来はもっと先まで歩く予定であったが、この川の惨状に食指も鈍り今日は限の良いここまでとし、姫路駅を目指して歩く。2号線は駅近くでは昔から一方通行になっており、大阪の御堂筋の規制よりももっと早くから行われていた。
山陽姫路駅の入っている山陽百貨店に寄り、店内を見まわると今が旬のイカナゴの朝どれの生が陳列されている。神戸市の須磨、垂水、舞子から姫路あたりの海岸近くの家庭ではいかなごの釘煮作りが盛んで、大量の釘煮を作り親戚、知人に振る舞う習慣がある。秘密の県民ショウー風に言えば、「神戸から姫路あたりの兵庫県民はイカナゴの釘煮が大好きなんです」。となる。今日の夕飯の惣菜を買って姫路駅に向かう。

image9   09.朝取りのイカナゴが売り出された

今日の歩行距離:9.6km。調査した橋の数:11。
累計歩行距離:1,276.4km。累計調査橋数:1,926。
使用した1/25,000地形図:「姫路南部」(姫路8号-1)

兵庫-4. 市川(その2) 平成24年3月12日(月)晴れ

姫路駅前の神姫バス乗り場は非常に数多くあるが、今日は番号北1番の乗り場から先日の折返し点である市川橋に向かう。ここの乗り場は上手く出来ており、ズラリと1番から10番ほど斜めに並んだ乗り場にバスがそれぞれ2台縦列停車し、最大20台が同時に駐車できる構造で、バスは概ね5分ごとに一斉に発車し、待合室で5分ごとに扉が自動的に開き、乗車する仕組みになっている。待合室とバス乗り場の間はバスが通過できるだけの空間があり、バスは待合室の前を通過して発車してゆく。バス乗り場に並行に駐車する一般的な乗り場よりもはるかに多くの台数がこなせる。ただし、バスは予定時間通りに構内に入ってくる必要があり、ここが始発なればこそ出来る芸当である。この構造は今まで数多くのバスセンターを見て来たが他には無かった。
満員のバスを市川橋東詰で下車し、左岸側の土手の上の道路を歩き始める。ここも狭い道路を多くの車が通り、冷や冷やしながら歩く。土手の斜面と河原にはごみが散乱し、反対側は小さな工場が続き、最悪の環境の中を我慢して歩く。家庭ごみも多く有りゴミ捨てが異常に多いのは、①近隣住民のモラルの低さ、②河川敷の整備がなされず、捨てやすい環境、③土手の上の道路にたよる道路の未整備、④ゴミ清掃をするボランティア活動の低さ、が主な原因と考えられるが、とても日本とは思えない光景である。
やがて西北方向に姫路市街を見下ろすような増位山が迫ってくる。あの歌の上手い大関「増位山関」のしこ名の基になった山である。特段特徴のある山ではないが、名前にゲンの良い位が増と入っているのが決め手になったのかな。公務員もこの名前にしては如何。

image10   01.この山が増位山

山麓まで来ると山陽道が明るい緑色の橋で川を跨ぎ、土手の傍らに今が盛りの梅が咲いている。山陽道を潜り市道の橋を渡り対岸の道を目指すと、地形図にある道が無くなっている。仕方なく橋を戻ると直ぐに樋門とその解説板が有る。ここから姫路市街地を流れる船場川が始まり、かつて市川はこの船場川の流れの位置を流れていたようだ。予定外の歩きで珍しい物が見られ、何が幸いするか分からない。

image11 02.満開の梅と山陽道

image12 03.飾磨樋門解説

image13  04.樋門から船場川が流れる

image14 05.三連アーチの樋門

この川は堤防の上が歩けない所が多くあり、その都度迂回しながらなんとか川近くを彷徨する。播但連絡道路の姫路市街地の北の出入り口の橋を過ぎ、国道312号線を歩いて行くと瀟洒なブルーに統一されたネッスルの工場が現れる。工場らしからぬ姿に製品のブランド力の向上がこめられているようだ。竜野の山陽本線沿いには赤色を使ったUCCの工場があったが、この辺りに有名コーヒーメーカーの工場が集まっているようだ。
やがて今は姫路市になった旧「香寺町」に入り、早速マンホールを見つけカシャ。久しぶりの新しいマンホールである。

image15 06.ネッスルの巨大な工場

image16 07.旧:香寺町マンホール

これから先は川沿いに歩くのは不可能と知り、区切りのよい香呂駅に向かう。播但線は姫路~寺前間は電化され、2両編成のワンマン電車が走っている。4扉のお古をJR西お得意の延命工事をした車輛で、4扉者にワンマン電車という珍妙な組み合わせでお茶を濁している。これから先しばらくはこの電車と付き合うのかと思うと気が滅入る。

image17 08.お初の播但線香呂駅

今日の歩行距離:13.7km。調査した橋の数:12。
累計歩行距離:1,290.1km。累計調査橋数:1,938。
使用した1/25,000地形図:「姫路北部」(姫路7号-2)