岡山-1.旭 川(その9)平成26年11月7日(金)晴れたり曇ったり

遡行の最適時期なので足を阿波から美作に向けて出かける。旭川上流部の本流と支流の遡行に何度も利用した中鉄高速バスと真庭市営まにわ君の乗継である。先日の折返し点であった柴原の次の橋のある山久世バス停に降り立つ。久世の市役所前から40km以上も先の蒜山高原行のまにわ君は7往復も有り、中型バスを使用した市の幹線路線である。何処まで乗っても200円という安さには驚く。これが遡行を続けた一つの理由である。

直ぐに中国電力の勝山第一発電所が現れる。今日は発電所の点検をしているのか水圧管の右側の急傾斜の放水路を勢いよく水が流れている。この発電所は岡山県内最古の発電所のようである。発電された水は川に戻さず水路で下の勝山第二発電所に送られている。ここから旭川の谷間は狭くなり平地は殆ど無い状態になる。

image1  01.まにわ君を山久世で下車

image2 02.勝山第一発電所から渓谷に入る

暫くは歩道が有ったがそれも無くなり路肩歩きとなる。幸い米子道が有るので交通量はさほど多く無く、冷や冷やすることは少ない。高速が出来る前に休みの日には良くこの道を利用して蒜山などに出かけたものである。その時と道路の整備状態に変わりは無い。

錆が見事に付いた無塗装橋の至孝滝橋の親柱には橋名の元になった滝が描かれている。

image3 03.橋名も親柱も滝だ

西側にやや平地が広がる見尾地区に来ると、国道313号沿いに山中(さんちゅう)一揆の首謀者であった山中弥冶郎生誕の地なる大きな看板が立っている。津山藩では大規模な農民一揆が各地で起こり、ここ真庭の一揆は最大であった。その首謀者の一人が弥冶郎であった。父親とは一字違いの名前で他人とは思えない。

川がU字形に大きく曲がる頂点の山裾に高さ100m以上は有りそうなコンクリートノリ枠が見える。よくもあの上まで上がって施工したものだ。天晴れ、天晴れだ。

image4 04.お懐かしやご先祖さま?

image5 05.100m以上の高さのコンクリート法面だ

次の曲がり角で旧勝山町から旧湯原町に入る。境界地点にこれから進む先にある湯原地区の5つの温泉の案内看板が目に飛び込んでくる。何れの温泉も立ち寄り湯をしたか宿泊した温泉である。天然記念物の「はんざき」が赤い丸の中に納まっている。

image6 06.旭川遡行最大のお楽しみがここだ

カーブを曲がり終わると最初の温泉である「真賀温泉」が現れる。国道の北側の山裾の狭い所に数軒の温泉宿が密集している。一段高い所に建つ建物がこの温泉の目玉の日帰り温泉である。山裾の岩の間から温泉が湧出し、そこを浴場として建物が建てられた。ごく普通の男湯と女湯の他に岩の間から源泉が出てくる狭く深い岩風呂が主人公で、混浴となっているが狭いので実際は異性が入浴していないのを確認して入らざるを得ない。当方も夫婦二人で来た時には男性が入って来ないか浴槽の外側で門番をしていたことがある。これぞ真の生まれたてほやほやの天然温泉である。

image7  07.先ずは真賀温泉から

image8 08.岩の間から温泉が噴出する所に建物を

今日は先を急ぐのでパスして北に向かう。直ぐに二番目の温泉「足温泉」となる。こちらは対岸(左岸)の川沿いに数軒の小さな瀟洒な温泉宿と和風の日帰り湯がある。5年前の6月にはここに宿泊し、蛍の飛び交うのを堪能した場所である。

image9  09.続いては足温泉が直ぐに

image10 10.手前は前回の宿、奥が日帰り温泉

都喜橋に向かうと北の彼方に怪異な姿をした櫃ケ山(H=953m)が見えだす。この山も「せん」と発音する山だ。久納集落に来ると山に登る路が国道から分かれている。

image11  11.櫃ケ山(H=953m)が現れる

image12 12.登山口から頂上まで3.4km

幾分渓谷が広くなり歩道も復活した緩い坂道を北に進む。山久世以来の堰が現れる、直ぐ上流の左岸側には勝山第一発電所に水を送る取水口も有る。取水口に渡る吊橋は前回は×としたが、ハンガーロープと横揺れ防止の制振索が新品に取り換えられている。メインロープの錆が進行しているので今回は△と判定する。

image13  13.勝山発電所の取水口の堰

image14 14.吊橋のハンガー等が交換されている

禾津地区に入る。これは「いなつ」と読む難読地名である。ここで旭川は二手に分かれ、間には数多くの家のある大きな中洲がある。2橋ある県道の橋を診て国道に戻ると西の彼方に矢じりのように先が尖った櫃ケ山が見える。

image15 15.横から見た櫃ケ山は鋭い

禾津局前のバス停に椅子と屋根があったのでコンビニおにぎりの昼を摂る。直ぐ横にシシ肉やモミジ肉などを売っている店があるのを知っていたので中に入る。丁度天然の自然薯が有ったのでお土産にお買い上げ。

15分ほどの休憩で遡行を再開する。米子道の湯原インター入口を横断し進むと前回×を付け早急に補修塗装を要すと記した加佐見橋が青緑色に輝いている。平成24年の3月にお化粧直しをしたようですっかり美人に変身している。

image16  16.×を付けた加佐見橋がすっかり美人に

前回はこの橋を渡って左岸側を上流に向かったが、新道が右岸側にできているので距離の短い新道を進む。北側には米子道が川を高いPC橋で横断し、彼方に尼ケ子山とその右奥に霰ケ山(H=1,074m)が聳えている。

直ぐに西から支流の「鉄山川」が合流してくる。この川を20分ほど進むと1軒宿の「郷録温泉」が有る。ここも大きな岩の間から温泉が湧出する天然温泉で、今まで1度泊まり2度立ち寄ったお気に入りの温泉である。大阪出身の御夫婦で宿を運営されていたが今もお元気にやっておられるだろうか?

image17 17.米子道の奥には尼ケ山と霰ケ山(H=1,074m)が

image18 18.郷録温泉も岩の間から源泉が湧出する1軒宿

低い峠を越え湯原温泉大橋の袂に来ると旧湯原町の観光地図と五つの温泉の解説板が建っている。五つの温泉に全て入っているよ。

新道を歩いて来たので旧道沿いにある「下湯原温泉」はパスしてきた。下湯原温泉は日帰り専門の大きな温泉で広い露天風呂がある。「湯の駅」と称している。遡行をしてくると各地に道の駅としては名乗れない○○の駅と称する駅が多くあった。山、川、清流、木、滝などの駅である。自然をこよなく愛する日本ならではである。

image19  19.旧湯原町の観光地図

image20 20.五つの温泉は全て制覇したよー

旧道が右から現れ一緒になると直ぐに国道はそのまま北側に坂道となり温泉街を避けて行く。当方は「はんざき橋」を渡り温泉街に向かう。温泉の入口の橋の状態は芳しくない。

道路の下に旧役場と「オオサンショウウオ保護センター」があるので寄り道をする。木造2階建ての旧役場は湯原支所として現在も使用されており、内部は改装されているのであろうが良く頑張っている。表彰ものである。かつて仕事で何度かお会いした今は尾道市に編入された瀬戸田町の和気町長と古い木造の役場を想い出す。「役場を建て直すお金が有るなら町民と町の役にたつ物を建てるのが先だ!」とおっしゃっておられた。

image21  21.表彰状!貴町は木造庁舎で頑張っているので・・

支所のすぐ横には「オオサンショウウオ保護センター」のこじんまりとした建物がある。裏側にははんざき神社も有る。センターの中にははんざきと言われているオオサンショウウオの解説とホンマモンが数匹飼育されている。世界最大の両生類であるはんざきは夜行性のためお休みの最中で、グロテスクな姿、形、色は近寄りがたい。色模様は海のウツボそっくりである。中国語の解説板では「大山椒魚」と書かれこの方がぴったりである。

image22  22.オオサンショウウオ保護センター

image23 23.大山椒魚とは・・・

image24 24.これがホンマモンだ

100mほど進み再び橋を渡り左岸側の温泉宿街に向かう。橋の上にバス停が在る珍しい橋である。河原は多くの自動車駐車場になっている。

image25  25.橋の上にバス停が在る

image26 26.旭川沿いに温泉街が広がる

南北に細長い温泉街の半ばの川を見下ろせる所に足湯と手湯が同時にできる施設が有り、多くの人が手足を湯に浸けている。これでは手も足も出せない。

image27 27.ここでは足湯と手湯も有る

出羽根川の橋を渡り進むと山側に湯原温泉の名物旅館の「油屋」の木造3階建ての建物が見える。これも寅さん向きの宿である。その北隣には古い温泉には必ず有るお薬師さんの小さなお堂が建っている。温泉治療でお薬師さんにも平癒をお願いしてきたのだろう。

image28  28.ここでは油は売ってません

image29 29.古い温泉には必ずお薬師さんが

対岸のホテル、温泉に向かう吊橋を過ぎるとお目当ての河原の露天風呂である「砂湯」である。露天風呂の西の横綱と誰かが言ったこの露天風呂だけは未だ未湯峰で、ここを今回の最終到着点とした。

大きな湯原ダムの直下の河原に三つの露天が有る。入口付近は紅葉が始まりエエ感じやなー。男ばかり数名の入浴で丁度良い加減である。これに何時間入っても無料である。200円のまにわ君を使えば安上がりで、お値打ちである。帰りのまにわ君まで時間はたっぷりあるので、ぬるめの湯に長い時間浸る。これぞ遡行の極みである。

image30  30.湯原ダムの直下に露天風呂が有る

image31 31.砂湯入口は紅葉が始まった

image32 32.この湯に無料で入れるのだ

image33 33.これぞ遡行の極みである

来た道を500mほど戻りバスターミナルの立派な建物でバスを待つ。早くも暖房の入った室内は暖かく風をひく心配はない。程よい疲れと温泉効果でうとうとするのを我慢してバスを待ち16時40分時刻通りにまにわ君はやって来て乗車。この便も15名ほどの乗客でコミバスらしくない。勝山からの高速バスは途中からの乗客を足しても6名だった。

本日の歩行距離:16.0km。再調査した橋の数:17。

総歩行距離:7,612.2km。再調査橋数:73。

使用した1/25,000地形図:「横部」(高梁6号-1)、「湯原湖」(高梁5号-2)